天使を描き続ける寺門孝之さんの展覧会です。

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展示1

 

展示日当日、まだギャラリーの壁に舞い上がる前の天使たちです。

天の使い。神様の使者。

神ほどには遠くなく、それでもやはり人智を超えた存在として思い描かれてきたのが天使ですが、

寺門さんの天使たちは、親しみを込めたまなざしで私たちを見つめ返してくれるようです。

すぐそこにいる、身近な存在。

場合によっては、「君はぼくの天使だ」なんて言うときの。

 

展示2

 

淡い色彩で描かれた、にじむような存在。

空気そのもの、光そのもののような。

天使とは無力な存在でしょうか。

何ひとつ手に取ることのできない「ベルリン  天使の詩」(ヴィム・ヴェンダース監督)の天使のような、

積み上げられていくがれきを前に、なすすべもなく風に吹き流されていくクレーの天使のような。

天使はみつめるだけ。

ですが寺門さんの天使たちのまなざしの、優しさ。

手を合わせ、そのつぶらな瞳で私たちのために一心に祈ってくれているかのようです。

そのまなざしが、私たちの心にあたたかい灯をともしてくれます。

 

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トーク1

 

9月15日には寺門さんのギャラリートークが開催されました。

たくさんのお客様にお越しいただき、皆さんワインを片手にくつろいだ雰囲気のなか「寺門先生」(神戸芸術工科大学の教授でもいらっしゃいます)のお話に熱心に耳を傾けていらっしゃいました。

今回の展覧会タイトルは「間(あわい)の天使」。

トークの初めに取り上げられた「あわい」は、ヨーロッパで伝統的に描かれてきた「受胎告知画」の、天使と聖母マリアの、間。

その あわいの空間に描かれた言葉や柱などの形象に込められたものの謎へと私たちを誘います。

また、寺門さんは今、この受胎告知のテーマを能の舞台で表現するという計画を推し進めていらっしゃるそうです。

 

トーク4:妖精

 

ご自身の作品の制作過程のお話も興味深いものでした。

リトアニアリネンという薄い布にアクリル絵の具などで彩色をされていますが、その布の表と裏、両方から描くのだと。

「もうずっと天使を描き続けていると、手馴れてしまって、何の計画も立てずに描きはじめてもちゃんと形になってしまう。それがつまらないような気がして、布を外して裏返してみるんです。すると、ときに予想のつかないような染み方をしていて、それが面白い。それで、その上にまた自分で色をつけていく」

そうして、ある程度のところでまた裏返して、反対の面に色をつけ、しばらく進めてはまた裏返し…とそれを繰り返し、最後の最後にこちらの面で行こうと決めるのだそうです。

この天使たちは表の顔と、「裏の」顔ももっているんですね。

ですが表と裏を行き来する色彩の妙が寺門さんの天使のえもいわれぬ魅力の鍵だとしたら、これもまた「あわい」のお仕事といえるのかもしれません。

会期は9月25日まで。少し秋めいてきた日々のお出かけに、ぜひ足をお運びください。

会場には寺門さんのご本やグッズもたくさんご用意しています。

皆さまのご来廊を心よりお待ちしております。

 

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さて、寺門さん、このたび「間(あわい)のデザイン研究所」を立ち上げられ、その「始動記念トーク」を9月23日(月・祝)18:30よりにギャラリー島田で開催します。

ゲストは、まさに現在公開中、蜷川実花監督の映画「人間失格 太宰治と3人の女たち」の音楽を手がけていることでも話題の、作曲家でトランペット奏者の三宅純さん。

要予約。参加無料。まだ少しお席がございます(9/17現在)。どうぞお申し込みください。(T)