deuxとtroisの両スペースにまたがって林哲夫展がはじまります。

作品展の紹介は→こちら でご覧になることができます。

シャープな絵画作品の並ぶdeuxに対して、troisではまったくちがう世界が繰り広げられています。それはもう同じ作家さんの作品とは思われないほど。

deuxの展示だけでとてもバラエティ豊かなものです。

今回の作品展を象徴する「空(クウ)」は、四国のご実家の納屋で発見した鳥の空巣を描いた作品です。空巣というのは泥棒ではなく、文字どおり、鳥のいない巣のこと。その「空」をはじめとする大きめの油彩作品たち。

そして比較的小さなポートレイトのシリーズ。カフカ、クレー、ゴッホ、中原中也ら、画家であり文筆家でもある林さんの関心領域の広さと深さがうかがえる人々であり、また、そのあいだに林さんの知人である市井の人々の味わい深い表情が並びます。

お求めになりやすい価格のポストカードサイズの作品や、一点もののブックカバーも。ブックカバー作品はなんと中身の本と併せての販売です。気に入ったカバーにどんな本が包まれているかはお楽しみ、というところでしょうか。

そして不思議な丸い物体「KOTODAMA」たち……。

作品を並べる林さん

さて、deuxの作品世界とのギャップに驚かれることでしょうが、troisには一転「農」あるいは「労」の世界が出現します。

柱を奇妙に華やかに飾る鎌、ペンチ、ハサミ、カナヅチ……

壁に立てかけられた鋤(すき)や大きな木づち、農具の柄……

そのほか床に置かれた小さな道具類。

やはり納屋で眠っていた林さんのお父様の仕事道具たちです。

お父様のいなくなったあとの仕事場と、鳥の空巣というモチーフが響き合います。

林さんの手で救い出され、最後には作品になることができた幸福な道具たち。古びた道具のもつあたたかさや郷愁は、物そのものに蓄えられた記憶がにじみだしてくるようです。すべて販売されています(それもたいへんお手頃な価格で!)。
道具類を掛ける林さん
端正さと荒々しさと。変化に富んでいるという、そのことを存分に楽しんでいただける作品展です。

2018年最後、そして地階unで開催中のコレクション展「蝙蝠料理エトセトラ」とともにギャラリー島田40周年の最後を飾る林哲夫展に、ぜひ足をお運びください。

ネコを掛ける林さんの腕

(T)