毎年この秋の頃にギャラリー島田で個展を開いていただいている藤飯千尋さんです。

社会的な事件に感じた感動や、やり切れなさを、まず言葉になさり、その言葉から作品が生まれることが多いとおっしゃいます。

その制作の過程をご自身で説明された展覧会紹介ページは こちら です。

さかまく波濤、くだける水しぶきとも見える形が描かれた作品があります。

そのような、たぎり立つ激情が迫ってくる作品と、静かな迫力を湛えた作品と。それぞれがお互いに力を削ぎ合うことなく、共振する関係を打ち立てられるよう、念入りに作品の配置を考えます。

作品の前で

一方で、闇そのもののような作品も。離れて見ると一見、真っ黒です。

 

一見黒一色ですが…

ですがよく近づいてご覧になってください。パネルに和紙を貼り、その上にアクリルで彩色されています。その和紙がよじれ、むらをつくり、波のような、葉叢のような紋様をなしています。ざわめきとゆらぎに満ちた、何と豊かな闇の表情でしょう。

マチエールが強くなりましたね

展示作業中、しばらく作品に見入っていた当画廊の蝙蝠が藤飯さんに近づき「以前にもましてマチエールが強くなりましたね」と言葉をかけていました。

藤飯さんとコウノさん

そして今回、この夏の台風で根こそぎに倒されたという木の根が展示されています。こちらも和紙をあしらい、彩色されています。

木のどの部分かと一瞬、迷いますが、根を地の底から見上げる形で置かれています。

アメリカ経済の終焉

表紙に藤飯さんの作品が使われた『アメリカ経済の終焉』が資料として置かれています。

今回の作品展のタイトル「最後の砦」とは「まだここがある」という希望なのでしょうか、「もうここしかない」という焦燥なのでしょうか。

作品をご覧いただき、ぜひご自身の目でお確かめ下さい。

ご来廊をお待ちしております。

(T)