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下町芸術祭2015(長田)を二度訪ねた。 分かりにくい場所を探すあいだに、もっとも印象に残って、来て良かったと思ったのは至る所にある路地だった。
その佇まいの美しさだった。 発表するつもりもなかったその写真をここに上げるのは、長田弘さんの「路地」を読んだからです。

路地。または露地とも書く。街なかにあつまる家々のあいだをぬける通り道。
たがいの軒先をとおってゆくような道の両がわの玄関先に、鉢植えの花がでている。
そのむこう、ブロック塀のうえを花台にして、いくつもの鉢植えがならぶ。
春には桃の花。夏の朝顔。サボテンの花。秋は真っ青な桔梗。あざやかな花ばなが、ひっそりとした路地を明るくしている。
そこに花ばながおかれている。ただそれだけなのに、花ばなのおかれた路地をとおりぬけると、ふっと日々のこころばえを新しくされたようにかんじる・・
おたがいいい一日をもちたいですね ・・ふっとそんな声をかけられたようにおもう。
花ばなをそこにおき、路地をぬけてゆく人びとへの挨拶を、暮らしのなかにおく。
誰もいないのだが、花がそこにある。
そんな路地の光景が、好きだ。

長田弘「深呼吸の必要」P74,75