ギャラリー島田とは海文堂ギャラリー時代以来のお付き合いとなる井上よう子さん。今年は地階unでの開催です。
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今年も展示室が静謐な青い光で満たされています。
井上さんご自身、今度の展覧会に添える言葉に「光を」と繰り返しお書きになりました。
「光の捉え方が素晴らしいですね」「光を感じました」——お客様の言葉にも光があふれています。
心細い夜を過ごしたあとで、私たちが夜明けの光に感じる希望。
つらい一日の終わりに、暮れ時の残照に感じる安らぎ。
井上さんの描くそんな光の情景が、出口のない不安な時代を生きる私たちに励ましを与えてくれます。
今回、雪の光景が描かれた作品が何点か展示されています。
「心静かに」と題されたこちらの作品は、デンマークのルイジアナ近代美術館のジャコメッティ・ルームの印象をもとに描かれたそうです。
窓の向こうにつづく雪の降り積もる野原。ほんの少し前まで誰かが座っていたような椅子。
静かで奥深い雰囲気に、いつまでも見入ってしまいます。
展覧会初日には、オープニングイベントとしてギタリスト・熊谷朋久さんのコンサートが開かれました。
井上さんの作品をイメージして作られたオリジナル曲、そして「枯葉」や「ムーンリバー」などのスタンダード・ナンバー。
しっとりと心に染み入るようなギターの音色が井上さんの作品と響き合い、絵と音楽の空間が私たちを優しく包み込みました。
井上さんの作品の砂浜に立ち、青い遥かな空の下で波音に耳を澄ませている、そんなひとときでした。
2020年最後の展覧会の一つです。
どなたにとっても不安な年であったことと思います。
悲しいことに、まだ終わりは見えてきません。
井上さんの絵の前に立つとき、きっと皆様の心に穏やかな光が投げかけられるはず、そう信じ、ギャラリーで皆様をお待ちしています。
※12/9と12/16の水曜日は休廊です。ご来廊の際はどうぞお気をつけください。
(スタッフT)