濱田千鈴《その向こうから》展

さる二月に出版した美術エッセイ、「美への讃歌」を記念して個展を行うことにした。エッセイは私に熱いものをふりそそぐ現代美術、現代アート第一線で活躍中の作家たち十名を取上げてその軌跡に触れた時の感動と衝撃を綴ったものだ。ところで絵画の道を歩んでいた私に文字への扉を開いたのは、震災後インフラが整備されて初めて耳にしたミサ曲《ミゼレーレ》だ。その心に染み透るようなソプラノ独唱を聴いているうちに不意に文章を書いてみたいという思いに突き上げられた。現代美術をターゲットにしたのは、カンディンスキーの「音楽が擬声音を用いなくとも、対位法や和声の法則にしたがって音を配置して、作者の感情や精神をあらわすように、絵画もまた点、線、色彩を、意図された精神的なものの表現に、最も効果的であるように配置しなければならない。かくて絵画は音楽とひとしい自由に到達するのである」というパンセに共感を覚え、それを絵画の指針にしてきたからだ。今回の個展のテーマは《その向こうから》だが《その向こう》を想像すると無限とか永遠とか死とかいう言葉が自然に浮かんでくる。死からは在るのではなく成るを実感し、無限からは宇宙の混沌を、永遠不変には神を創造します。その向こうには何があるのだろうか。限りない無用の魂の深遠なのか。それとも純粋に光輝く時間空間なのか。耳を澄ませば点、線、色・・・。

濱田千鈴

◆1F deuxにて 12:00~19:00
※火曜日は~18:00、最終日は~16:00まで。

■会場の様子 ※画像をクリックすると拡大して表示されます。

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