高野卯港 デッサン展

いくつもの線の重なりの向こうに画家がいる。その姿は定かではないけれど、悲しげで人恋しそうな眼をしている。 猥雑な世界にあってその中に身を置きながら、高野卯港は澄んだ眼を曇らせることなく画家として生き、二00八年の秋、六十年足らずの生を終えた。残された作品を見るかぎり、悦びや哀しみがないまぜになって人間臭く、 振り返れば、その生涯は愛すべき日々の集積であった。

岸野裕人

存在全体に悲しみを抱えて疾走した卯港さんが逝ってもう3年になる。絵を描くことに全てを注いだ生涯と作品は、全てを予感したように完結して美しく輝いて見える。翻って、私はといえば、認められたいと願った卯港さんに、十分に応えぬまま、これからという時に逝ったという意識が消えない。「高野卯港スケッチ帖」が刊行され、続いて念願の卯港さんの言葉を添えた画文帖「夢の道」を出すことが出来た。
卯港さんが望んだ東京展も2回実現し、それが契機となって「美術の窓」(2012年1月号)のデッサン特集に選ばれ、その魅力について岸野裕人(前・倉敷市立美術館長)さんが書いて下さった。案内状の文はその一部である。「絵に生きる 絵を生きる 五人の作家の力」に卯港さんを書いたが、その締めくくりは「『いま頃でごめんね』と卯港さんに謝らねばならない」である。

島田 誠

◆1F deuxにて 12:00~19:00
※火曜日は~18:00、最終日は~16:00まで。

■会場の様子 ※画像をクリックすると拡大して表示されます。

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