小学時代「アンネの日記」に衝撃を受け、中3での姉の死から大きな喪失感を抱えた高校時代は、石川啄木「一握の砂」「悲しき玩具」、高村光太郎「智恵子抄」に、失われゆく自己・存在・命への愛おしさ、激しくはない静かな言葉にこそ宿る深淵な哀しみを共感していた。描き続けてきた絵には、そんな言葉達から受けた物が少なからず影響していると思う。
近年「言葉」に寄り添う依頼が重なり、不思議な気持ちでいる。
白石一文さんの小説への挿絵、後藤正治先生の「節義のために」「言葉を旅する」の装幀画…他。今年は村上春樹展や装幀画展、図書館での展示依頼。
変わらずブルーに塗れ、光を追いながら、言葉と共に…の展を構想しています。
井上よう子

30年前に出会い、すでに画ける人だった。そのころから青を基調にしていたが、誠実極まりない表現者としての深化を伴走できたことはこの上ない喜びだ。命あるものは必ず逝く。その哀切を抱きながら人は生きる。死や別離の降り積もる体験が抒情を削ぎ落とし、近作では荘厳の気配に満ちながら射し落ちる光が背筋を正す。日常でも画作においても「生きること」を飽まず問い続ける姿勢は、恩師、三尾公三の「完成度、インパクト、発想の斬新性、格調」の教えへのまっすぐな応答である。
島田誠

会場:1F deux & trois
会期:2019年12月7日(土)- 12月18日(水)11:00-18:00 ※最終日は16:00まで
◆ 12月7日(土) 初日夕方にはささやかにドリンクを用意してお待ちしております。