~たどりついた寓話~

日下部直起展 たどりついた寓話

海文堂ギャラリーで初めて個展をさせていただいてから、今回で6回目となります。当時は海辺の漂着物や、風化した魚、昆虫、錆びた道具など、時を経たものの美しさを甦らせようと描いておりました。9年前にフィレンツェに留学してから、そのテーマがイタリアの壁や扉や鍵、そしてアーティチョークへと移りましたが、底に流れるものは変わっていません。音の出なくなった楽器、錆び付いて回らなくなったミシンやコーヒーミル、緑青の吹いたオペラグラス、どれも道具として機能していた時にはなかった表情を見せてくれます。刻が作り出した滲みが微かな光にまぶされて、名前を無くしたものたちが持つ本来の形と色が甦って来ます。人間の創造を遥かに超えた「もの」の質感を、忠実に描き出したいと思っています。光と空間もひとつの「もの」として捉えたいのです。

日下部直起

全ては大地が、火が水が、生む。その恵みが花となり石となり煉瓦となり鉄となり人の営みを支える建物や道具を生む。それらは時に晒され、命の盛衰を見届け、時を刻印しながら美を孕み、画家は自らの証しとしての寓話を画布に紡ぎだしていく。人も物もその役割を終えてからまた何かに蘇り、新しい命を養う。輪廻再生、それが希望だ。

島田 誠

◆B1Fにて 12:00~19:00
※火曜日は~18:00、最終日は~17:00まで。

■会場の様子 ※画像をクリックすると拡大して表示されます。

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