森に入って私が真っ先に感じるのは森の香りである。
春夏秋冬、朝夕、雨や霧や晴れた日とそれぞれに違う香りがする。
私はなぜこの香りがするのかを考えたり、どんな香りなのか言葉で説明しようとしたりはしない。
なぜならば香りの様な刺激がもたらすのは人々の精神に直感的な知覚を与える事であり、自然を感じる事は考えたり、探求する事ではなく、自分と自然の中の個々との繋がりの中での情緒的な、美的な反応と思っている。
香り、風にそよぐ草、朽ちて倒れる幹、流れる水、漂う雲、瞬間にしろ悠久にしろ….
時間を伴って躍動する自然の現象や、住み分けた個々の主体たちの静かで平穏な存在を、我々は五感の全てで感じるべきだと思う。
栗田紘一郎

栗田紘一郎は広告写真家として東京をベースに活動。1983年から風景写真の制作に専念。93年にニューヨークに移住。プラチナ・パラジウム・プリント作品はその際立つ静謐さで永遠へと誘う。
一切の合成を排した現場写真でありながら長谷川等伯と響き合うものを感じさせる稀有の作品である。今年、日本へアトリエを移すにあたって縁があって訪ねて下さった。それが栗田さんの誕生日の翌日で、なんと私と同じ誕生日だった。その奇遇におどろき居合わせた皆が湧いた。そして本展が実現した。是非ともお運びください。
島田誠

◆ 10月1日(火)18:30~ ギャラリートーク 栗田紘一郎×池上司(西宮市大谷記念美術館学芸員) 要予約・無料

会場:B1 un
会期:2019年9月28日(土)- 10月9日(水)11:00-18:00
※最終日は16:00まで