小幡正雄(1943〜2010)は、50歳の頃に絵を描き始めた。生活していた神戸の福祉事業所で、ダンボールを集めては好みの大きさに切って、夜な夜な絵を描いていた。描かれるのは、家族の情景や結婚式、バスや列車、戦車や軍艦、そして手に入れたいと願っている楽器や嗜好品だ。小幡の作品には、孤独で厳しい前半生を歩んできた彼の憧れや願い、恐れや怒りが凝縮されている。平穏な終の棲家で、吐き出すように描き続けた小幡の思いの丈を受け止めたい。
服部正(甲南大学)

小幡正雄への道
2012年の「赤鉛筆のアウトサイダー」(兵庫県立美術館)で小幡正雄と出会った。その時は私が今回の展覧会を手がけるとは思ってもみなかった。実現へ至るには二つの要因があった。一つ目は、尊敬してやまない東山嘉事さんが小幡正雄の才能を発見したこと。嘉事さんには展覧会、パフォーマンスなど様々にお世話になり、2006年12月に72才で亡くなられて、「追悼展〜不無不夢寿限無経偈〜」を開催。ギャラリーのパティオにあったオートバイと人間が合体したオブジェ「共存の哲学」が兵庫県立美術館に嫁入りし、「風刺とユーモア!カジさんのフムフム・ワールドへようこそ」が2008年11月から4か月間、同館の小企画展として開催された。その仲人を務めて下さったのが服部正さんだった。
二つ目としては私のアウトサイダー・アートへの偏愛がある。それは美術の世界で定義される教育や属性にまつわるものではなく、自立、固執、孤立といった「異端」であることにすぎないが、自らも因子として抱えているからだろう。小幡正雄の存在もInsideとOutsideを行き来しながら、その作品は嘉事さんの発見と服部さんの強い意志によってArtとしてRescueされようとしている。そうした思いがこの場で結実してくれればうれしい。
島田誠

会場:B1F
会期:10月14日(土)〜10月25日(水)12:00-19:00
※火曜日は18:00、最終日は17:00まで

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■第329回 神戸塾 火曜サロン「小幡正雄さんのこと」
日時:2017年10月17日(火)18:30
参加無料
ゲスト:服部正(甲南大学)、山崎美和(ひふみ園)
進行:島田誠

本展覧会のコーディネーターである服部正さん、そして小幡さんのそばで生活を支援してこられた、ひふみ園の山崎美和さんをゲストにお招きし、みなさまに小幡正雄の世界を、より深く味わっていただくトークを開催します。

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