小泉直彦

なにか立ち止まってしまう感覚がある。
それは前からなのか後ろからなのか。
小さな頃、歴史に興味を持ち武者絵を描いたり土器拾いに熱中したりしていた。
そして削られて剥き出しになった武甲山を日々眺めながら。
必然的に緑に覆われている武甲山を夢想しながら。
それが自分が古層を求める土壌になっているのかもしれない。
小泉直彦

これからがホンバン ―小泉直彦の神戸展に寄せて―

十年近く前、この青年と出会った。青年というより少年だった。大学を中退、埼玉県秩父のスーパーで働きながら、クラフト紙を再利用して絵を描いていた。 線も色も下手っぴいだったが、テコでもひかぬ「表現の意志」は汲みとれた。男には秩父の山が似合った。秩父の山しか描けないようにもみえた。
昨秋、絵をお見せした秩父出身の俳人金子兜太先生から、「秩父古生層の塊をさながらに感受する」「古生層に負けない力感がある」という過分な讃をいただいて、本人は有頂天だ。
青年が秩父の「古生層」の奥ふかく、どれだけ己が真実の生命を注入してゆけるか、これからがホンバンだろう。
窪島誠一郎 (「信濃デッサン館」「無言館」館主)

1F deux 2015年 8/22(土)〜 8/27(木) 12:00〜19:00
*火曜日は 〜18:00、最終日は 〜16:00

協力:信濃デッサン館