金子善明

近年私の作品は古本を媒体としたものである、本は私にとって自分の肉体に近い、本に空けられた穴は己を傷付け、他をも傷付ける。そして本の奥深くは地底へと繋がっている。
「初めに言葉があった。言葉は神と共にあった。…この言葉に命があった。そしてこの命は人の光であった。光は闇の中に輝やいている。(ヨハネ福音書)」この言葉を私が体感したのはスペインの洞窟画を見ていた時のこと。
私はそれを夢中で見ていたため取り残され電気を消された。その闇の上下のバランスさえ無くす恐怖の中で感じた、彼らは人類最初の言葉を地底深くに刻んだ。それは地球の腸(はらわた)であり彼ら自身の腸に描いたことと同じである。私も本という地球の腸に同じ行為をくり返しているのだと思う。
金子善明

ギャラリー島田初登場といっても年季の入った作家である。 大分出身、武蔵野美術大学、麻生三郎、パリで7年半、奈良在住。履歴に関心を寄せるわけではないが、その後の発表の足跡を不思議に思って辿った。「はじめに、言葉ありき」と「スペインの洞窟画」 体験が金子さんの根底をなす思想と体験である。繰り返される億年の日々がその根底に照射されると新しい相貌として立ち現われてくる。それを覗き込むと作家の慈愛の双眸と出会う。
島田誠

1F deux 2015年 8/1(土)〜 8/6(木) 12:00〜19:00
*火曜日は 〜18:00、最終日は 〜16:00