松田一

「おふくろ」
大正6年生まれの実母は、戦中戦後の貧しい時代に、安月給の父を助け、私ら5人の子供を育てるために、ボロ布集め、縫い子、駄菓子屋、保険外交など必死で働いた。
「なんとかなるわい」と浜育ちの快闊な気風でいつも身の回りをござっぱりとし一方で信心深く「ありがとう」が口癖だった。が「旅」が大嫌いであった。
今の度神戸に旅させたが “早よう 帰ろうや” と云っているかも
晩年は気ままに心遊びして、92年目に昇天した。
そんな母の最期の病床の姿を描くのは辛かったがもうすぐ消え行く母の実態を残したくて、鉛筆を走らせた。母が描かせてくれた、生まれ出た私の魂の宝物。
おふくろさん”ありがとう”
(息子)松田一記

私は、人間が頭(知)で考えて作ったものは信頼しない
五感で認識されるものだけ信頼する
生死の真実は五感で認識するしかないということを死の現場で死者たちから教わったからである
この世(色)は眼・耳・鼻・舌・身の五感で認識された世界である
現場にあって五感で認識しなければ
「色即是空」も成り立たない
松田一さんの絵には五感で認識された世界がある 現場がある
大地の臭いまでもが伝わってくる
知識や思想や才能あたりに根を置いている作品は信頼できない
どうにもこうにもならない生死の現場に立つとき
そこに真実がある
青木新門(作家・映画「おくりびと」の原作者)

1F deux 4/25(土)〜4/30(木)  12:00〜19:00
*火曜日は 〜18:00、最終日は 〜16:00