三瓶初美
2013年のINFORMATIONに〝日常的視界には見えないものを描いてきました”と述べましたが、あれから二年間、制作の道すがら、あれこれと試行錯誤を繰り返してみますと、雲母のような記憶のひだから日常的には見えないと思っていたモチーフが、実は日常そのものではなかったかと、解釈出来る発見がありました。それを率直に作品のタイトルにしてみました。
「咳の止んだ夜」は体調がやっと元にもどった時の作品でもあり、「夜半の風か、吐息かもしれない」は、私自身の自画像の化身のようにも見えます。時間を後にタイムスリップさせれば、「母に叱られた庭のあたり」は、書家だった母親と自我を通そうとする思春期の私の葛藤劇の日の天空のように思われます。その時の追憶の「気」を制作上の気配で感得しながら、手さぐりに、私の時空を超えた姿を描いているように思います。
三瓶初美

深い呼吸をしてふととめてみる。滲みだすような記憶がある。ながく吐き出す。とめる。 あの時だった。あの場だった。あの風だった。濃藍色を基調に白、墨、鼠などで少しの 哀しみを孕んだ複雑にして豊かなニュアンス。そこに強くもなく、弱くもない、しなやかな線が浮かび漂います。休止の時がそれぞれの「あの」を誘います。
島田誠

1F deux 4/18(土)〜4/23(木)  12:00〜19:00
*火曜日は 〜18:00、最終日は 〜16:00