内海聖子

ボールペンで○・を繋いでいく作業です。描くことを作業と訳すのは、事務的で味気ない感じですが、私にはしっくりくるのです。感情に任せて一気呵成に筆を走らせる、ということはありません。できたとしても、描きはじめのほんの数分だけのことです。感情は自由で勝手気ままですから、すぐに作業の方が追い付かなくなります。私が私に置いて行かれる不思議な感覚です。感情の私は既にどこかへ行ってしまって、残された私がそれを引き継いで淡々と作業を続ける、という具合です。「なぜこのモチーフを選んだのだろう?」「なぜここを黒く塗りつぶす必要があるのだろう?」気ままで無責任な私を疑ってみたり、「なるほどそういうことだったのか」と共感したり、時には先に駆けていったはずの私にまた追い越され、一瞬目が合ったり。まるで失踪した私自身を取材して旅しているような不思議な感覚なのです。
内海聖子

ボールペンを使ってミクロとマクロに揺れ動く、不思議な世界を作りだします。微細な丸の僅かな大小の違いが濃淡となり凹凸となり、拡散しまた収斂する。微細なものには強く誘引する力があり、凝視すれば、作家の内奥の宇宙的な無限の旅の同行者となる。描かれた線はクールで乾いているのに、連綿と繋がることで、にわかに粘性を帯び、熱線を放射する。緻密な行為はストイックさを感じさせるものだが、近作にはどこかユーモアとゆとりを感じさせ、内海さんの成長を感じる。
島田誠

1F deux 12/13(土)~12/24(水)  12:00~19:00
*火曜日は ~18:00、最終日は ~16:00