高野卯港

高野卯港さんが亡くなって5年になります。2009年10月2日でした。今回は「遺作」と未発表を中心にご覧いただく稀な機会になります。書きながら最後の日々を思い出しています。9月30日、看護婦さんの呼びかけや処置にも反応はなくベッドの横に座って手を握って話しかける。透明な肌がよけい生命力の減退を表していて呼吸も浅い。それでも話し続けていると微かに頷くことが分かった。そして瞼を閉じたまま「ありがとうございました」と擦れた小声で言った。最後の日16:20、携帯が鳴り「卯港さんが4時に亡くなりました」と京子さんが声を落とした。「鞆の浦風景」は卯港さんと私の約束の風景です。暗い緑に黄色い暈を被った卯港さんのギョロ目のような太陽が絢爛たる滅びの音楽を奏でながら沈んでゆく。何一つ足すものも引くものもなく、そぎ落とした佇まいとしてのまぎれもない姿が立ち現れている。是非、ご覧下さい。
島田誠

B1F 10/4(土) 〜 10/15(水) 12:00〜19:00
*火曜日は 〜18:00、最終日は 〜17:00


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秋の古典サロンシリーズ「能あそび」
第2回 10/8(木) 19:00〜20:30(18:30開場)
会費:\2,000 (ASK会員:\1,500)
講師・演者 林 宗一郎(能楽師)