森本秀樹

~「風景」の中の歌心~
森本秀樹の絵画は以前にもまして色彩はやわらかな〈響き〉といったものを感じるようになった。
そして色数は抑えながらも相互の色彩は心地良く〈ハーモニィ〉を奏でている。彼の作品に〈音楽性〉を感じるのは私のみではあるまい。
それら静謐は風景画の背後に声高でない彼の〈歌心〉というものが潜んでいる。
その〈歌心〉は何処へ。昨今の作品にもまま散見する「採石所」や「機関区」・「造船所」等々、単なる風景画ではない人々の永きにわたる営みや命を繋ぐ労働への視点、そしてそれが潰えて行くことへの愛惜の情が側々として心に染み入るかのようだ。更に風景の中へ、奥へ。
森本秀樹は日本人の営みの歴史と心を画布に探ろうとしている。
御子柴大三(アートディレクター)

2年ぶり4回目となる個展です。東京にいても故郷・宇和島を描き続けた森本さんが宇和島へアトリエを移されて4年になります。宇和島を描くといっても、特定の地域、特定の時間、特定の物を描くのではなく、いつでも、どこにでも、だれにでもある確かな記憶、確かな感触を幾重にも、染色し、脱色し、風雪に晒しきったような、淡いようで深い絵肌で視覚を捉え、どこか非現実めいた狭間へと誘われます。晒された刻、記憶、風景がモノローグとなって囁きかけ、消された形や、色が私たちの中で蘇って来るようです。森本さんの絵は「なにもない」けど「かけがえのない」ものを探す旅で、そして私たちはその旅の同行者となるのです。
島田誠

B1F 9/6(土) ~ 9/11(木) 12:00~19:00
*火曜日は ~18:00、最終日は ~17:00