平田達哉

―まわり道―
いつもまわり道である。最初に浮かんだおぼろげなイメージから制作は始まるのであるが、最後まですんなりと仕上がったためしがない。いざキャンバスに画像として具現化してみると精気のようなものが逃げ水のようにさっと離れて行ってしまう。それを追いながら、さんざん画面をいじくった挙句、はじめとは全く違う方向へと突き進んでゆく。そうやってヤケクソで我を忘れていながらもごくたまに突然、はっと気が付くときがある。いわば「降りてきた」というような感じで、こうなったら、憑き物が落ちたかのようにあっという間に仕上がってしまう。結局は最後の数パーセントの“行き当たりばったり”が功を奏するわけで、いつも律儀にこの同じパターンのまわり道を繰り返している、なかなか作品が増えない。
平田達哉

平田達哉が明けた扉
日本の自然に向き合い柔らかい眼差しと深い呼吸をかんじさせる平田達哉の世界に
鋭い眼差しと不整な呼吸を与えたのは東北に纏わる凶事に違いない。灯る鉛の家に封印された文明の記憶、暗黒の宇宙で繰り返される核融合、されど不思議な意志により絶妙な均衡で美しくある水の玉たる地球。まわり道、迷い道を辿る平田の内なる混沌は、やがてエーテルのように気化しイメージが浮かび上がる。それはどこからか「降りてくる」ように感じても、純化された道の発見にちがいない。
島田誠

1F deux 9/6(土) ~ 9/11(木) 12:00~19:00
*火曜日は ~18:00、最終日は ~16:00