塩塚夕紀子
2001年の夏、トロントの地下鉄ホームで一人の少女に目が釘付けになった。
すぐスケッチブックを取り出し描き始めた。しばらくして私に気付いた少女が話しかけてきた。妹が通訳をしてくれた。「あなたがあんまり素敵だから描きたくて」と、少女はにっこりして「出来上がったら見せてね」と言って、もとの所に戻って行った。
「描きたい」と思った瞬間、鉛筆を走らせる。早く捕まえないと逃げていく。
ずっとそうやって描いてきた。たぶんこれからも……
塩塚夕紀子

塩塚さんはギャラリー島田初登場の福岡県柳川の作家。大阪や博多で、意欲的に発表してこられ、個展を前提として神戸で、博多でお会いして準備をしてきた。私は若き日、北原白秋の「柳川風物詩」に親しんだ 塩塚さんはこの風土を慈しみ、そこで自分が生きている世界として、抑制された色彩と大胆に選ばれたフォルムで描く。運河と柳と夕陽に穏やかに沈む街。私自身の幻燈に過ぎないが、未だ見ぬかの地への思を懐かしく抱く。
島田 誠

1F deux 6/28(土)— 7/3(木) 12:00 — 19:00
*火曜日は —18:00、最終日は —16:00