「GRAVURE」

野口明美個展

凱旋個展

昨年10/16から今年の2/1までフランス国立カルナバレ美術館(Musee Carnavalet)で大展覧会を開催。大変、好評で会期が延長されたそうです。銅板やメゾチントの作品は知的で精緻な仕事です。野口さんがコツコツと寡黙に精励してきた作品群が、パリで認められ、日本で、ギャラリー島田へ凱旋(少々言葉が大時代的ですが)してきました。浜口陽三、長谷川潔がパリで評価され真の国際作家となったように野口さんも、その入り口に立ったのは確かです。ライフワークのメトロのシリーズとメゾチント「雲」のシリーズをご覧頂きます。

野口明美のフランス便り 「オーベールへの道」パリの北端のポルト・ドゥ・ラ・チャペルから国道14号線で5km北上して郊外の繁華な街サン・ドゥニ市が終わる辺りから道幅も細くなって国道328号線が北西に繋がっている。この通称オーベールへの道といわれる旧街道がほぼ一直線に約20km続いている。昔は馬車、徒歩等で通ったであろう石畳も所々に残っていて、オーベール・シュー・オワーズという画家ゴッホゆかりの町で、この街道は終わっている。  20世紀幕開け前後のパリの画家たちの多くも、この街道を通ってオワーズ川景勝の地オーベールの町に足を運んでいる。お金のある者は馬車で、或いはポントワーズまで汽車で行き。そこから馬車を乗り継いだであろうか。  パリからサンドゥニまでの5㎞、サンドゥニからオーベールまでの20㎞。25㎞の行程を早足で歩いたとしても、5,6時間は要するであろう。早朝に出発しても昼は過ぎる。当時の人々の足は強健だから昼飯前か? 今の私ならこの街道の途中の町エルモン市に住んでいるので、ぼろ車でも20分弱で悠々と着いてしまう。街道が行き着くドン突きにゴッホが描いた「オーベールの教会」がせり上がった坂の、町が見渡せる中途に建っている。当時も今もほとんど変わりなくゴッホの絵の構図のままに在る。坂道を登りきった台地に麦畑が展開している。ゴッホの絶筆といわれる「カラスに麦畑」が畦道もそのままに在る。  この現場を見るまで、本当の写実、写生というものを私は誤解していたと思う。印象派の何々として見分けるのではなく、過去からの連続した(物を見て描く)という一本の筋がある。その写実を強烈に突き進め両眼も爆発せよと描くゴッホでしかない超リアリズムがそこにはある。  広い台地の麦畑の中にオーベールの墓地が在る。ゴッホと弟テオの、くずれ易い砂岩質の石碑に刻まれた文字がかろうじて判読できる墓碑が二つ並んでいる。この心もとない墓碑がすべてを語っているようである。

◆B1F deuxにて 12:00~19:00
※火曜日は~18:00、最終日は~17:00まで。

■会場の様子 ※画像をクリックすると拡大して表示されます。

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