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伊津野雄二彫刻展

伊津野雄二さんは神戸に所縁のある方ですが、お招きしたのは、作品に作家に強く惹かれたからに他なりません。伊津野さんは1948年、兵庫県生まれ。神戸では初個展です。 風雪に晒された石や倒木や漂流物が時に見せる美しさ懐かしさを感じさせるように、時空に晒された悠久の人の存在が高貴な佇まいとして立ち現れたのが伊津野さんの作品です。深い沈黙から漏れ聞こえる、かそけき吐息といった気配がブロンズ・木・石・テラコッタなどに満ち、祈りの場が現出します。今年、一番、見ていただきたい展覧会の一つです。

島田 誠

少年時代を阪神間ですごしました。まだ家々が六甲山麓を駈けのぼらず、海辺には美しい砂浜がひろがっていたころに。山の小学校の校庭からは、ゆたかに表情をかえる海が望まれ、ときに光の中をゆきかう外国船は少年たちの夢をはこびました。つよくあこがれ、のちに作品の中に、知らぬ間に顔を出すギリシャやエジプトそしてユーラシアの砂漠も、少年時代に見た光る波涛の彼方にありました。しかし今は理解しています。見ていたのは彼方ではなくきらめく海そのもの、そして私の仕事はそのきらめきの形象化ではなかったのかと。そして同時に、そのきらめきは、この日々の些細ないとなみの中にこそあるのだということを。握りしめた指からこぼれる、白い海砂のようなその手ざわりを大切にしたいと願っています。 悲しみを越え、やさしさをまとった街、神戸で初めて作品を見ていただくことになります。喜びとともに、私の中ではひとつの円環がつながってゆくように感じています。 海の見える街に住む人は幸せです。そして心の中に海をいだく人も。

2009・5 伊津野雄二

◆B1F deuxにて 12:00~19:00
※火曜日は~18:00、最終日は~17:00まで。

■会場の様子 ※画像をクリックすると拡大して表示されます。

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