– 刻の薫り –

日下部直起展

イタリアの街には、それぞれ違った色がある。
深く長い歴史と時間を沁み込ませた壁や屋根は、建造物という枠を越え、ある人格を持った生き物のように言葉を持ち、色と表情を浮き立たせてくる。それぞれの土地で採取される大理石の色が違うように、街がひとつのかたまりとして独自の色を滲ませてくるのだ。
何百年の刻を経て、用途のなくなった塔はただ孤独の中で突っ立ち、扉や窓や鍵は風化して全く別のモノとして語りかけてくる。
アーティチョークは私自身の分身として育て、乾燥させたものである。イタリアの壁と出会い、新しいモノとして甦り、かけがえのない刻の薫りを醸し出している。

日下部直起

風に、水に、砂に、陽に晒され、流され、削られ、洗われ,時を刻印していく漂着物たち。
日下部さんにとってのイタリアの街は、それらの漂着物と重なり、また異なる。街には人の営みが壁や石畳や扉に記憶され、それらは確かな刻を印し、今を存し、予兆を孕む。
そのえも言われぬ美しさに喚起されるように、画家は過ぎ去った人々と語り、あたかも自らを内に封印し晒すように、刻の薫りを画布に留める。

島田誠

◆B1F deuxにて 12:00~19:00
※火曜日は~18:00、最終日は~17:00まで。

■会場の様子 ※画像をクリックすると拡大して表示されます。

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