第377回 神戸塾 火曜サロン 港大尋ライブパフォーマンス「トゥーンベリさんへの音楽による応答」 港大尋(作曲家・ピアニスト・プロデューサー)と澤和幸(ギタリスト)を迎えて。

出演:港大尋、澤和幸
友情出演:季村敏夫(詩人)
日時:2019年11月12日(火)19:00~20:30
会場:B1 unにて
参加費:前売(予約)1500円、当日2000円
季村敏夫プロデュースによる港大壽ライブは4回目。

「よくもそんなことが言えますね」
「あなたがたは私達を裏切っています」

これは、ニューヨークの国連本部で9月23日に開かれた気候行動サミットでのグレタ・トゥーンベリさん(16)の演説の一部である。衝撃を受けた。あなたがたのなかに、この私が含まれているからである。

全身怒りにふるえ、涙ながらに訴えるトゥーンベリさんはスウェーデンの高校生。衝撃を受ける私は初老の市民、人生の最終コーナーにさしかかっている。

「あなたがたが私達を裏切る選択をするなら、あなたたちを絶対にゆるさない」。

これは演説の結語。最終コーナーにさしかかる足取りは凍りついた。怒りは環境問題に向けられていたが、私は、日本の現在に突きつけられたと受けとめ直し、これまでをふりかえった。ビートルズやゴダール、ピカソに心ひかれた1960年代の青年時代。ベトナム反戦闘争に関わった。1995年阪神大震災以後、支えあうことの大切さに目覚めた。

しかし、私達の小さな声を、巨大システムが巧妙に蹂躙する事態にうなだれた。

安穏と暮らす、このことは、誰かの苦しみや悲しみを日々無自覚に踏みつけ、見て見ぬふりをして通り過ぎていることでもあり、ある意味避けられない、とこう書けば、言い過ぎであろうか。トゥーンベリさんの声を耳にして以来、なぜかわたしは、通り過ぎることのそら恐ろしさを抱いている、このままでよいのかと。

凍りついたままでは生きていけない。各々の場で確かな一歩を踏み出さねば、このことを音楽家の港大尋さんと澤和幸さんにお伝えし、今回の運びとなった。若いひとのピュアな声を受けとめ、音楽で応答する場、do something、ぜひ。

季村敏夫