2011年4月のこと
仙台入りし「アーツエイド東北」の設立に関わりました。6度目の東北入りの時に仙台メディアテークでの加川広重の「かさねがさねの思い」という展覧会にて震災後描かれた1作目「雪に包まれる被災地」という作品に出会う。すぐに加川さんに是非、神戸で紹介したいと伝えた。なんの実現への見通しもないままに。
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「加川広重 巨大絵画が繋ぐ東北と神戸」展は、東北の文化復興を支援する市民活動をきっかけとして誕生した。東日本大震災は神戸の市民を再び目覚めさせ、市民からの寄付を東北の文化復興に直接活用できる仕組みを作ろうとした。
神戸での展覧会はどこで、という開催場所のあてがあるわけでもなく、でもやらねば、とだけ思いつめていたその時、出会ったのがKIITO(デザイン・クリエィティブセンター神戸)でした。その時は加川さんの巨大画のためにあるとしか思えませんでした。展示出来たことは本当に奇蹟的なことだったと思います。
2013年「雪に包まれる被災地」、2014年「南三陸の黄金」、2015年「フクシマ」が続いて開催され、巨大絵画の前でシンポジウム、コン サート、映画上映など多彩な関連プログラムも同時に展開されました。
2015年「フクシマ」展は、神戸の震災から20年に重なって、福島の復興を中心に東北の「今と明日へ」をテーマとした、開催となりました。この三つの記録誌は、未曾有の記録としてあります。
作品「フクシマ」について
福島第一原発の近くで人の気配のない街を歩き、津波の被害そのままの状態で雑草に覆われる車や船を見、生まれ育った故郷を追われた方の怒りをお聞きして、私の中に生まれた想いをこの絵にぶつけました。
加川広重
フクシマは今も収束していませんが、6年前にはさらに厳しい政治的課題もある中で、市の施設で市の協賛で開催するのですから、よくぞ実現したものです。
こうした困難の数々を神がかり的に突破してきたのは、加川広重の被災地、そしてそこに今なお暮らす人たちへの強い思いが伝わるから。そしてそれは今、世界が直面していることとも直に繋がっているからです。
2021年、今回は巨大絵画ではありませんが、ギャラリー島田の地下空間全体を使って加川広重展「3.11 夜が明けるまで」を開催いたします。作品とともに、資料展示も含めてみなさまと今を、明日を考える場にできればと思います。