地球全体がパンデミックで分断され、国内でも人と人とが分断され、マスク越しを強要される時代です。
例えばギャラリー島田のある神戸・北野界隈でも、パンデミック禍の前は海外、とりわけ韓国、台湾、中国のアジアの人々を呼び込み観光地として賑わっていました。
その姿をばたりと見なくなりました。
各国、それぞれに交流より分断の時代になりました。
コロナ禍で国境は超えにくくなっていますが、だからこそ「人として」、地球の乗組員としてそろそろ国境を越えて行こう、それを可能にすることこそアートの役割ではないでしょうか。
アートの世界は、分断を越えていくことを伝えねばなりません。
地域を越えて、国を越えて、繋がっていこう。
私たちは世界に繋がる作家と、時代を共有することが出来ます。
新型コロナウィルスの世界的拡大の直後からこの画廊通信で連載を開始したコラム「パンデミックの時代に」では、世界各国と「言葉」で繋がることができました。
フランス、ドイツ、英国、セルビア、カナダ、チェコ共和国、デンマーク、アメリカ合衆国在住の作家、演奏家たち、また、アフリカ、アジア、ヨーロッパ各国に詳しい国内の研究者、ジャーナリストの皆さんに、各地のパンデミック事情を伝えていただきました。
この「パンデミックの時代に」は近々ブックレットの形にまとめて発行します。
さて、私たちギャラリー島田が5月の末から6月にかけて開催する特別企画展に、私は「CREWS」と名付けました。
この時代の「今を生きる」人たちは誰しも「乗船者」として魂に刻印を受けることになります。
私たちは地球の運命共同体の乗員(CREW)として「今」を伝えようと呼びかけます。
私たちが乗っているのは、遥か未来を目指す銀河鉄道かも、沈没を運命づけられたタイタニックかも、予想もつかぬ場所へと私たちを連れていく異次元の乗り物かもしれない。
あなたもまた一人のCREWとして「今」を表現してくださいという思いを込めて―
新たな時代は世界が一の意識になり生物となる方向にある…
われらは新たな美を創る 美学は絶えず移動する…
風とゆききし 雲からエネルギーをとれ…
個性の優れる方面に於て各々止むなき表現をなせ
宮沢賢治「農民芸術概論綱要」より