聞いたこともなきパンデミックのうちに夏から秋へ、穏やかに冬を迎え、そして春がきた
私達をそして知る多くの人の命を抱き込むように
生死の水際に誰もがあり 私も共にある
私の脳は今あることが不思議である
心の彫像 安らぎの韻律 永くあることの恩寵
瀬戸内の日々 そこで生まれ 泳いだ日々
70過ぎた日々に今も ゆったり明けて行く
それを眺める 大阪 和歌山 淡路 徳島 愛媛 香川 美しすぎる多島美
そして知多の日々 伊勢湾 知多湾 三河湾を経て太平洋へと通じる
久しぶりにギャラリーB1Fでの伊津野雄二展
そして1Fではコレクションによる伊津野雄二展
こうして全体を見渡せば大作、小品。テラコッタ、組作品、水彩、デッサンなど実に多彩で見惚れてしまいました。
ギャラリストとしても気持ちよく展示構成が出来ていました。
画集「光の井戸」も数少なくなりました。
とともに、こんな時こそ、今、ここに、ここでこそ心の彫像、安らぎの韻律とともに・・・ どうぞ・・・ おすごしください。
ポンピドゥーセンター
前号の「パンデミックの時代に25」はフランスから松谷武判さんの「Covid-19に遭遇して」でした。
そこでこの ポンピドゥーセンターについて「1977年ピアノとロジャースが設計し建築した、裸のまま機能設備がオブジェ風に露出する前衛的建築の実験的総合芸術センター」と紹介されていました。私は大好きで数限りなく行きました。
私のポンピドゥーセンターへの偏愛については、2000年に出版した『忙中旅あり 蝙蝠流文化随想』の一章「我が愛しの王国」で語っています。
そういえば、ギャラリー島田では個展をされる作家は全員、革装のMemorial Bookに自画を必ず描いて頂いています。
今は何枚になるのでしょうか?
昔はこの ポンピドゥーのお洒落なshopで買ってきました。最初のころの5,6冊はここのものでご覧いただけますが、その後各地の革装画集を画家の皆さんにもお願いしたもので、私たちはこれをMemorial Bookと呼んでいます。
松谷さんによれば、この ポンピドゥーが補修改築を余儀なくされ、2023年末から3年間、閉館をするそうです。
画家の皆さんによるメモリアルブック
さてそのMemorial Bookですが、ギャラリーで展覧会をされる作家にそこに絵を描いていただくことを始めたのは1992年1月28日のことです。
1992年は今に連なる多くの作家と出会い、公益信託「亀井純子文化基金」(現在の公益財団法人「神戸文化支援基金」)が誕生した年でもあります。
そして1995年の阪神淡路大震災が私たちの航路を定めました。
これらの本は私が海外へ行く都度に求めたもので装丁もサイズもまちまちですが、美術をめぐる旅の思い出に繋がっていて今では14冊目となりました。即興的であったり、本音や、別の面がでていたり、とても興味深いものです。これも本にまとめる計画があります。
『詩の好きなコウモリの話』
ランダル・ジャレル 作、モーリス・センダック 絵、長田弘 訳。
この頃ではコウモリの姿が見えなくなったのは、人間の暮らしのなかに自然がうしなわれるようになってからです。人間だけの世界ではない。動物も植物もいっしょに住んでいるのだ。そのことを忘れていると、いつか春がきても鳥たちがうたわなくなる世界がくる。そう警告したのは、有名な「沈黙の春」を書いたレイチェル・カーソンでした。
これは「沈黙の春」を望まない小さなコウモリの話です。
『天の劇場から』
「いのち一つ消えるということは、一人の死にとどまることを意味しません。死者を忘れかけている人々の心の傷は、時と共に癒えるかに見えながら、また新しい傷口となって血を流しつづけ、一人の死は縁ある多くの人々の心に突き刺さった鋭い鏃ともなるのです。」(澤地久枝『いのちの重さ』)