みずからをはげます人
数かぎりない出会いがあり、別れがあり、日を重ねています。
人が人である限り信頼と背信があり、理想と現実があり、
叶うものがあり、叶わぬものがあり、慌ただしい振り子のようです。
全ては私を源とし、私に返ってくるものです。しかも日々、降りかかり、積み重なるもの。
友人が言います。「あなたに必要なのは克己心です」
「え??」
「強すぎる克己心を捨てる克己心です」
眠りに入るまえに本を開く。間違えば、ますます眠れなくなる。
昨夜、手にした本から
「そう考えない自由が私にあるのだ」
西暦121年生まれのマルジュス・アウレーリウスの「自省録」から
「いったいいつ、きみは単純であることを楽しむようになるだろうか」
「ここで生きているとすれば、もうよく慣れていることだ。
またよそへゆくとすれば、それはきみののぞむままだ。
また死ぬとすれば、きみの使命を終えたわけだ。そのほかはなにもない。
だから、勇気をだせ」
これらの言葉は、長田弘「記憶のつくり方」(晶文社)の最後におかれている。
その題は「みずからをはげます人」
私のまわりにいる多くの、「みずからをはげます人」に、この言葉を捧げます。