2016.6「なぜ、今、ギャラリー島田Troisなのか。」

ギャラリーを巡る環境が、どんどん厳しくなっている中でギャラリー島田が、借りてまで、なぜそんな無謀な航海にでるのだろうか。どう考えても日本の未来がよくなる見通しは何もありません。さらなる災害が確実視され、人口減少、格差、紛争などの複合要因を考えれば「手終い」こそが最適解と思えます。
でも、その1歩を何にの故に踏み出すのか。それは私たちが担っている役割にあります。
一つに 38年目に入ったギャラリー
二つに 300回をこえる神戸塾サロンを始とする文化拠点アート・サポート・センター神戸
三つに 創設23年を迎える公益財団法人「神戸文化支援基金」
この小さな規模でこれだけ多面的な役割を担うような場はまずないと思います。
そして、それぞれが補完し合いながらCreativeであることを目指し、学び、育ち、全体としてラディカルで在り続けています。

単なる作品を「見せる」「売る」という場をこえて繋がっていく役割を見据えながらの
ギャラリー島田Troisなのです。
海文堂ギャラリーの22年を経て、2000年のここ北野でのスタートはBFのみでした。2003年に一大決心をして1階でギャラリー島田Deuxを始めました。多分、地下だけであれば存続は難しかったでしょう。そして、隣接した場が空きました。迷いましたがTroisとすることを使命と受け止めました。

私は金持ちではありませんし、ギャラリー経営もいつも崖っぷちです。でも、やりたいこと、やらねばならないことはやります。
なぜ、それが出来るのか。
お金は天下の回り物。それは多くの皆様のおかげです。財団であれば寄付で、アート・サポート・センター神戸であれば会費で、ギャラリーであれば作家やお客さまが。この三つの装置に多くの人が関ってくださっています。そしてこれらを担っている人たちは、いまや若い人たちで、しっかりとぶれない核があれば、素晴らし才能を発揮します。そして今回、私の決断を促したのは、そうしたみなさんへの信頼と敬意です。

今、ここでは、様々なかかわり方を組み合わせながら有機体のように「いきがい」「やりがい」をキーワードとして「COMONS」を運営しています。私は、絶えず簡易で有効な実験装置を設計してきました。これもその一つなのです。
ギャラリー島田Troisは7月2日からスタートする予定です。
(注)新しいギャラリーをTroisとしQuatre(仮称)はBlogの名前とします。

2016.5「 種を蒔く人 刈り取る人 」

「足し算」「引き算」と「ゼロを目指す」話しを書いてきた。
昨年来、初歩的なブロークンな英会話しか出来ない私がにわかに国際的になってきた。
途切れなく外国人のインターンを受け入れ(みんな日本語が上手)、海外からのコンタクトが増えてギャラリー島田の作家を海外で紹介したいという流れが出来つつある。こちらが仕掛けているわけではなく、ギャラリー島田という磁場が引き寄せているようだ。そうした海外プロジェクトの打ち合わせの中で言われてなるほどと思ったことがある。

ギャラリーには「種を蒔く」ところと「刈り取る」ところがある。ギャラリー島田は「種を蒔く」ところですね。

それはそうだと思う。勿論のこと収穫もするが他人が育てたものは縁がないかぎりこちらから手を出すことはあまりなく、うちで育った作家を囲い込むこともない。

種を蒔くのは自分の地ということになるが、どうもそれだけには止まっていないようで、眼にはいる地すべてに手をいれ、土壌を改良し、耕作に適するように計らっているような「余計なお世話」をしている気もする。神戸ビエンナーレの「STOP & CHANGE」などは荒地をひたすら整地しているだけで種を蒔くのも刈り取るのも次世代の人たちであることを願ってのことです。

書き物に追われています。
・ 阪神大震災は市民社会をどのようにして拓いてきたのか
・ ギャラリー島田とはそもそも何なのか
・ 加川広重巨大絵画プロジェクトが果したこと、そして今後
それぞれが5月、6月に刊行されます。

神戸ビエンナーレ「STOP & CHANGE」活動から見えてきたこと
これは所薫子さんの「高塚門扉」の会報のために書いていますが、その後にさらに手を加えてまとめたら発表します。

ギャラリー経営の氷河期で、多くの画廊が閉廊へ追い込まれているのですが、無謀にも新しいギャラリースペースをオープンすることにしました。ギャラリー島田Quatre(仮称)。ギャラリー島田Deuxの南隣です。Quatreとはイタリア語で4番目。では3番目Toroisは?
ギャラリー島田Toroisとはギャラリー島田のスタッフblogです。

わたしたちの航海の行く末は見えません。希望の島なのか絶壁に向かっているのか。私の関わっていることの全てが創造的な挑戦です。ここからまた生まれるものや、事(こと)を見てみたいです。三人目の孫の誕生とともに三番目のギャラリーを育てるのも悪くないです。