2014.9 1000回の・・・

1000回のメルマガ
ギャラリー島田のメールマガジンが1000号に達し、読者から励ましの感想文を沢山いただいた。海外をふくめ、遠方からの方が多いのは、日常的でないぶん、それだけメルマガ情報を新鮮に受け止めて下さるからだろうか。
 1000回という区切りについて「千日の稽古をもって鍛とし、万日の稽古をもって錬とす。」
と五輪書にあることを教えてくださったのは岩崎ナギさん。
 1000回も尋常ならざる勢いで書くのを「誰に向けて書いているのか」「内なる島田誠に対して書いているのだろう」
と指摘した中島淳さん。確かに書くテーマによって明確に相手を意識していることも多い。私のもの言いは、そうした相手を刺激したり挑発したりいているから。そんなことを考えていたらガンジーの言葉に出会った。

  あなたがすることはほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。
  そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられないようにするためである」 (ガンジー)
「永続敗戦論」(白井聡)P201から

1000回の繰り返しの無意味さは「世界によって自分が変えられないようにするためである」
という言葉に深く共感する。
白井聡さんは「永続敗戦論」の最後を

  「侮辱の中に生きる」ことに順応することは、「世界によって自分が変えられる」ことにほかならない。
  私はそのような「変革」を断固として拒絶する。私が本書を読む人々になにかを求めることが許されるとすれば、
  それは、このような「拒絶」を共にすることへの誘いを投げ掛けることであるに違いない。(P202)

と結んでいる。同じ思いを私も抱いている。

『あと1000回の晩飯』
いろいろな徴候から、晩飯を食うのもあと千回くらいなものだろうと思う。
72歳になる私が、漠然とそう感じているだけである。病徴というより老徴というべきか、
だからうまいものを食べたいとも思わない。確実なのは遠からず逝くということです。
1000回の晩飯を食べることは残りの日をカレンダーから消していくことです。やたらと
日々を大切に生きたいと思い、時をしっかりと刻みたがるのは「残りの晩飯」を考えているせいでしょうか。

1000日の修行

ついでに言えば、今の私は「千日回峰行(せんにちかいほうぎょう)」の修行中のように感じないでもありません。
荒行中の荒行とされている比叡山廷暦寺の「千日回峰行」は、千日といっても連続して3年間という意味ではなく、7年間をかけて通算1000日の間、行なわれるそうです。
常坐三昧は私はPCの前にひたすら常坐
常行三昧は私は寄り道することなくひたすらギャラリーと自宅を常行
時に絶食、私はハンストストリレー
毎日の生活そのものが修行のようなもので、出会う人々すべての仏性を礼拝
山川草木ことごとくに仏性を見いだし、いとおしく感じます。

秋の季節に向かって

夏が異変です。全世界的な規模の破局的な異常気象 異常が常態になる 振り返り立ち止まり、その都度、大雨を降らしたり、地を揺らしたりしながら、大きな被害を残す。早くためらいがちでも去って行って欲しい。
異常なのは自然現象だけではないですね。私たちが多くの経験や智恵で学んで積み重ね築き上げてきたのがあらゆる議論を超えた「まかせなさい、悪いようにはしません」とばかりに手続きを省略してみせる。きわめて危険な領域へ突入してしまった。
加藤周一さんは最後に到達した「日本文化における時間と空間」で、

  日本人は「今」を尊重する。「彼岸」を考えずに「此岸」を考える。即ち、現世利益。「集団内部の大勢」として現れ、
  「大勢順応主義」という日本人の社会的行動様式が導き出され、かくして「全会一致」が理想となり「村八分」がその理  想を保障する。これはなにも伝統的な村落共同体に見られた現象ではなく、今日のビジネス社会にも見られる現象だろう。

と書かれているが、いまは「全会一致」どころではなく「権力一点集中」です。
 私たちは芸術文化に関るものとして、その力を信じ、国境を越え、人種を越え、人が人としてあることが出来る社会を目指さねばなりません。私たちが取り組む「「加川広重巨大絵画プロジェクト」は、全体としてその希望を伝えるための挑戦です。今夏、私たちメンバーが東北を歩き、出会い、語ったことは確かなる希望を伝えています。そしてこの通信のコラム「美の散歩道」に2回に分けて書いていただくゴトウ千香子さんの「世の中一寸先は闇というが」は「戦争レクイエム」を作曲したベンジャミン・ブリテン(イギリス)の「平和」を目指す壮大な仕事と、そこに関っていったゴトウ千香子さん(由布院在住、ギャラリー島田で個展3回)がなした奇蹟のごとき物語です。ここにも芸術の豊かな可能性と希望が語られています。

新しい作家たち
夏季休廊を終え、年末まで、多くの初登場の作家さんがたをお迎えします。
北海道、東京、名古屋、京都、大阪などから。内藤伸彦、岩井博石、貝塚理佐、杉本たけ子、増田寿志、山本ミノ、市英昭さんたち。
また、10年ぶり、5年ぶりなど、満を持しての登場も。楽しみです。