北野町にギャラリーを移して、一月半が経った。日常のいろんなことが変わった。
何より、閉鎖空間から、開放空間に移り、毎日の天候や、時間の推移に敏感になった。
ここは地下一階なんだけど、安藤忠雄さんの不思議な空間設計で、自然光がふんだんに
入ってきて、空も見える。物理的時間は人類平等なのだけど、ここの体感時間は透明感に溢れ、さらさらと流れる感じなのだ。ならば、いままでどんな時間をすごしていたのか思い出せば、もっとゴツゴツして、ねっとりしていたように思うのだ。(脳梗塞寸前だ!)
58才にして、こんな困難な時代に、よく冒険への旅に出れるなと皆さんが心配して下さる。その通り、海図なき航海に帆を上げた心境である。
友人の精神科医が「貧乏強迫症にかかっていませんか?」と電話をくれた。訪れる人がなければ、すぐに「やっていけないのではないか」と弱気になり、家賃が払えるのかとすぐに心配になる。ぼくも立派な貧乏強迫症の患者なのだ。友人は「誰もがかかる病だから心配するな」と励ましてくれるのだが、患者としては「誰でもかかる風邪でも、こじれれば命を落とすこともある」とやはり心配なのだ。(これって重病なのかな?)
それでも、やはり予測のつかない旅に出るというのは「ワクワク、ドキドキする」。
ここを城と定めて、新しい海図を自分で描く喜びがある。いままで重い荷物を積んできて、よたよた進んできたのが、荷を下ろして軽快になった実感がある。でもこの船は老朽船で、どこかに穴があいていて、浸水、沈没せんかいな、と怖れながら船長は舵を握っています。(ああ、これは重体や!)
でも画廊の仕事と、アート・サポート・センター神戸のことに集中できることは、私にとって、何にも代え難い喜びなのです。朝、5時や6時に起きだしてきて、9時15分の出勤時間までのゆったりとした時間に、本を読んだり、真理子に向かったり、調べものをしたり。ギャラリーでもお客さまとゆっくりお話ができる。ホームページも類例のない、面白いものにしたい。そのために改めて調べ物をしたり、思索にふけったり、ともかく毎日が面白くて仕方がないのです。寝ている時間が惜しい。でも歳が歳ですから、
そうもいきません。仕方なくセーブしてます。そんなことで神戸経済に全く貢献していない、私です。
遠くなって、おっくうだとおっしゃる方。だまされたと思って、是非、一度、訪ねて下さい。プレゴ(いらしゃいませ・ウエルカム)。とてもいい空間に、いい作品があり、いい時間がお待ちしています。かけがえのない貴方の時間に豊かな何かを加えていただけると思います。実は隣りのレストランが「プレゴ」というお店です。良い店ですよ。但し、夕方5時からの営業で、無休です。078―332―1770