■□■□2021年12月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1593号 12月22日

■□■□2021年12月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1593号 12月22日

   三沢かずこ展 井上よう子展 本日最終日

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1 蝙蝠日記

2 展覧会へのお誘い 三沢かずこ展 ―祈りは青に―
           井上よう子展 ―長い旅―
           堀尾貞治展(コレクション+シリーズ No.13)
           津高和一展(コレクション+シリーズ No.14)

3 メンテナンスと冬季休廊のお知らせ

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1 蝙蝠日記
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津高和一

母子像1951
曲りくねった続柄は母子列伝。
系譜の糸を持った手が鮮やかに染まり、
母子は今日という日に私語する。

埋葬1952
遍歴の跡も残さない不在証明。
前後左右。それに頭上に脚下。
この風景の中で僕はいつか紙ヒコーキを飛ばした。
きょう風信は、樹木たちの口伝のざわめきを聞く、ぼくの耳のことだった。

作品1953
痕跡だけの町で、漂泊粉を持った男がいた。
青い空にそれを撒くつもりなのだろうか。

転移1956
抜けた天に、立てかけた梯子があった。

作品1956
空白に座っていた。
呼吸をととのえようとしているのである。

シュク1957
この鉄道は不毛の未開地にまで伸びていた。

連1957
音というものは外側ばかりから聞えてくるものではなかった。
内側からも響いてくるのである。

雷神1958
むかしこの国にはいろいろの神がいた。
恐ろしくて手のとどかないものは全部神だった。
いまも口ごもる神が僕のそばにいた。

「山村コレクションによる 津高和一 作品の流れ 展」(1971年)図録より