■□■□2020年6月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1541号 6月26日

■□■□2020年6月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1541号 6月26日
 
              Black Lives Mater
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1 蝙蝠日記  Strange Fruit

2 新企画  オンライン・ストア

3 神戸文化支援基金より  緊急支援助成を終えて

4 今日の言葉  世界がほろびる日に
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1 蝙蝠日記  Strange Fruit
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黒人を取り巻く格差にとどまらず、
日本でもアイヌがあり水俣があり沖縄があり福島がある。

日本に生まれ育ちながらも不条理がまかり通っている。

昨年3月に梅田恭子さんはギャラリー島田で個展をされた。
「合唱曲 ロ短調」
http://gallery-shimada.com/?p=5976
上がっている画像が「 Strange Fruit」である。

ビリー・ホリデーが女性ヴォーカリストとして人種差別にとどまらない社会
問題と壮絶に闘った。

Strange Fruitもビリー・ホリデーの歌。

奇妙な果実(Strange Fruit:訳詞)

南部の木は、奇妙な実を付ける
葉は血を流れ、根には血が滴る
黒い体は南部の風に揺れる
奇妙な果実がポプラの木々に垂れている

勇敢な南部(the gallant south)ののどかな風景、
膨らんだ眼と歪んだ口、
マグノリア(モクレン)の香りは甘くて新鮮
すると、突然に肉の焼ける臭い

カラスに啄ばまれる果実がここにある
雨に曝され、風に煽られ
日差しに腐り、木々に落ちる
奇妙で惨めな作物がここにある。

次の詩は偶然、長田弘全詩集を見ていて発見した。

吊るされたひとに
森の向こうの空地で 
鉛を嚥みくだす惨劇がおわる 
あまりにも薄明な朝
一人に市民が吊るされた
絞首台
の真新しい木の香り
が乾いてゆく
ほんのひとしずく赤く
こぼすことさえ拒否した血は
悶絶をこらえ
べったりと霧を抉って
紫黒い死の斑を滲ませる
それでもまだ揺れている
のはその瞬間まで生きていた
その証のためだ
屍が揺れているのか
世界が揺れるのか
黙りこくる
残された
石造の家々の上で
おお ぶるぶると揺れている
揺れているのは
あなただ
垂れた脚が
ぶあつい地球の中心へ
なお降りてゆこうとするので
たしかにひき裂かれているあなただ
足元で夥しく草の花が萎え
涸れた空へあなたを吊るす
張りつめた一本の綱
あなたの顎を 眼を
朝をはげしくひきつらせてあるもの
それは何
吊るされたひと
ぼくにとってあなたとはいったい何
ぼくの誕生をすばやく刺しつづけるあなたは
午前は傷のようにぼくの前にひらき
証明の昼も また夢も
ぼくは未だ持たぬ

    (ナチスのユダヤ人迫害の記録をみて)

長田弘 全詩集(みすず書房)の 
冒頭に置かれた詩「吊るされたひとに」である。

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2 新企画 オンライン・ストア&オンライン・ミュージアム
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新しい挑戦がどんどん始まっています。

オンライン・ストア
「絵本作家きたむらさとしさんの挿絵原画」はすでに
朝日新聞でもご紹介いただき、大変好評をいただいております。
近々、第2集をアップする予定です。
http://gallery-shimada.com/?p=6842

ギャラリー島田オンライン・ストア
https://gallery-shimada.stores.jp/

オンライン・ミュージアム
没後35年を迎える鴨居玲とギャラリー島田との関りを貴重な資料とともにご
覧いただきます。
特別企画展「未来圏から!」をギャラリー空間とともに海外から参加される
作家の作品もご覧いただきます。

今後、さらに充実した企画を続々とお届けいたします。

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3 神戸文化支援基金より 緊急支援助成を終えて
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皆さんへのご報告を、画廊通信6月・7月 合併号で纏めました。
特別寄稿「パンデミックの時代に」を
服部孝司 ((公財)神戸市民文化振興財団理事長)
ひがのぼる(夢街道国際交流子ども館理事長)
お二人に寄稿いただきました。

今回のプロジェクトの総集編、保存版という趣の力の入ったものです。

会員の皆様には郵送にてお届けしておりますが、
その他の皆さまにはギャラリー入り口にご用意させていただいております。

また、5月号に続き、ブログのほうでも特別公開をいたしました。
http://gallery-shimada.com/blog/?p=9756

どうぞご覧くださいませ。
    

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4 今日の言葉  世界がほろびる日に
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世界がほろびる日に

かぜをひくな

ビールスに気をつけろ

ベランダに

ふとんを干しておけ

ガスの元栓を忘れるな

電気釜は

八時に仕掛けておけ

石原吉郎『シベリア抑留詩人の生と死』(中央公論新社 P299 から)

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