■□■□ 2017年6月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1328号 6月16日
恥ずかしくはないですか
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1 蝙蝠日記 静かに聞いてみたい
2 若い人に伝えたい
3 今日の言葉 自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ
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1 蝙蝠日記
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このごろ、なかなか眠りに入れません。
読む本にもはいれず。
書斎に入り、ふと手にしたのが「茨木のり子の家」(2010年:平凡社)でした。
電話ひとつだって
おそるべき文明の利器で
ありがたがっているうちに
盗聴も自由とか
便利なものはたいてい不快な副作用をともなう
川のまんなかに小舟を浮かべ
江戸時代のように密談しなければならない日がくるかも
「時代おくれ」の一節 「倚りかからず」(1999年)から
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政治家という人に
官僚という人に
メディアの皆さんに
教育に携わる人に
宗教に関わる人に
とりわけ宗教と政治の両方に関わる人に
文化や芸術に関わる人に
心が痛くないですか
そして「清冽」(後藤正治)さんの
凛としたたたずまい を読み返していました。
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2 若い人に伝えたい
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今日は、神戸学院大学で150名の学生さんにお話しをさせていただきます。
こうした思いを込めて、ゆっくりと話し、応答をしたいと思います。
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3 今日の言葉
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「国家はすべての冷酷な怪物のうち、もっとも冷酷なものとおもわれる。
それは冷たい顔で欺く。 欺瞞はその口から這い出る」
金子光晴の長編詩「寂しさの歌」の序文から。昭和20.5.5 端午の日。
すなわち、終戦の三ヵ月前。
「清冽」(後藤正治)P176 から
「自分の感受性くらい」
ばさばさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて
気難かしくなってきたのを
友人のせいにするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか
苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし
初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった
駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄
自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
茨木のり子
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