Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE   Info―号外号  

□■□2015年12月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
  Info―号外号  2015年12月20日
      
           号外!!号外!!
フランス便り・・・イギリス便り
■■迪子のフランス便り
売れない絵描きの話
私たち夫A と妻Mはフランスに在住する<売れない絵描き>です。
生活はいつも苦しくて、いつか<売れる絵描き>になりたいな、と、
話し合って来ました。
「そうだ!売れる絵を描かねば」
「売れ絵を描こう!」ウレエ、ウレエ!と叫びましたが、<売り絵>ではなく
<売れ絵>は<良い絵>のことです。
私たちのサイノウではなかなか其れは実現出来そうにありません。
それでもなんとか<売れない絵描き状態>を続けながら、フランスに居住し続け
ました。
フランスに存在する日本人は十万人以上と言われていますが、私たちはせっかく
フランスに居るので、出来るだけフランス人のことを知りたいと思い、日本人との
お付き合いは極力避けるように心がけました。
そして、フランス人の<仲良し>を作る事を心がけました。
運のいいことに沢山の友人が次々出来ました。
今は住んでいる村の百数十人と20人ばかりの芸術家が友人です。
中にはドイツ人、英国人、ポルトガル人、オランダ人、イタリア人、アイルランド人等な
ど外国人もいます。共通語はフランス語です。
そのヨーロッパ人中でアジア人のAとMはちょっと特殊な存在です。
福島の災害が起こった時には、特にみんなの注目を集めました。
沢山の友人知人が気遣って連絡が来ました。
でも、遠い国日本のことは誰にもどうすることも出来ませんでした。
友人の彫刻家は<ふくしま>と題する青銅像を制作しました。
絵描きは絵で、詩人は詩で<ふくしま>にたいする思いを表現しました。

それから随分の日が経ちました。
縁あって、<売れない絵描き>の絵を扱って下さる何とも不思議な画廊主と出会う事にな
り、ギャラリー島田でのA ,M展覧会が実現しました。
この不思議な画廊主は、画廊のケイエイは2の次のように、フクシ事業のような事を熱中
的に行なわれておりました。
私たちの展覧会の同時期に神戸のKIITO会館という広い場所で、フクシマのための
運動を巨大な<芸術イベント>として真に実行中なのでした。
画廊に入れ替わり立ち代わり駆け込んで来られるスタッフの方達の一生懸命な様子は、
<一心不乱>の言葉がピッタリ当てはまるようでした。
そして、実際みなさまご存知の<加川プロジェクト>を実際に拝見出来るチャンスに恵ま
れました。そこで、この巨大<加川プロジェクト>が成功に導かれているのは、優れたス
タッフに恵まれたこの不思議画廊主=自称<蝙蝠>氏の魔術による事を発見したのです。
早速フランスに帰った私たちは、友人芸術家たちと、フランスでも<加川プロジェクト>
を実現出来ないものかと計画を練りました。
フランスは日本以上に書類を重要視する国です。それも<美しい書類><独自の書類>を
作成しなければなりません。
友人芸術家たちは皆貧乏を絵に描いた様なのですから出だしから<挫折か?>と思われま
した。が、
実は妻Mは、フランスの現在住んでいる村では<魔女>と言われているのです。
「蝙蝠魔術に負けてなるものか」と魔女も魔法の箒を振り回してフントウいたしました。
アルバイトを見つけ、みんなでお小遣いをかき集め、印刷用の紙やインクを
買って来て、昼夜<資料作り>に励みました。
プロジェクトを進めて行くためには、あちこちに<お願い>に行かねばなりませんところ
が、わたしたちの住んでいる辺りは<地球の果て>と呼ばれているくらいの過疎地で,鉄
道も通っていず、車無しでは生活が出来ない場所なので、<お願い>
のための目的地への往復ガソリン代も問題でした。そんな難問も魔女の箒の威力でどんど
ん解決出来て行きました。
蝙蝠+魔女の威力で、大プロジェクト実現か!!
寸前まで進行した時、突然テロ事件が起こり、一変してしまいました。
1年半に渉るフントウが露と消えるなんて残念無念。
我ら貧乏芸術家だけで何かフクシマに因んで出来ないものか
彫刻家マークのアトリエで何かを実現することになりました。
詳細はおたのしみ!!

追記 ギャラリー島田での個展に滞在中のA & Mさんの手元に詳細はございます。
   23日(祝)17:00までにお訪ね下さい。

■■
千香子のイギリス便り
「夢を叶えて―オールドバラ音楽祭―」<前編>

世の中一寸先は闇というが、一寸先が花畑のこともある。

展覧会をしても赤字続き。還暦も近くなってアルバイトを続けながら、更に売れない絵
をせっせと作っている私に、ある日1本のメールが届いた。
「あなたをアーティスト・イン・レジデンス(居住者)として第67回オールドバラ音
楽祭に招待します。期間中当地に滞在し制作しそれを発表してください。同時に個展も開
催できるよう画廊も用意します。航空券、滞在費などすべてこちらで負担します。連絡お
待ちします」と。
「オールドバラ音楽祭」というのは作曲家B・ブリテンが67年前に始めた音楽祭。
イギリスの東海岸で毎年6月開催されている。日本ではあまり馴染みのない作曲家だが、
私は大ファンなので近年彼のオペラをテーマに木版画作りを始めていた。
作ったからにはみて欲しい。それもブリテンファンに。そう思って1昨年前からメールで
「オールドバラ音楽祭」にその旨知らせていた。昨年は実際に一観光客として渡英し、音
楽祭を楽しんできた。
世界中からブリテンファンの集まる場所。ブリテンは生前から自分の全財産を投じて財
団を設立し、自前のオーケストラをもつ大コンサートホール、録音スタジオ、図書館、
ギャラリーなどを建てた。地元の子供たちの音楽教育も含めて、音楽・美術・ダンス・
工芸等アーティストたちの中心となる一大施設をつくり、育ててきたのだ。6月の音楽
祭だけでなくコンサートは一年中行われ、それは約250人のスタッフとそれ以上の地
元ボランティアに支えられ、現在も運営されている。
「喜んで」そうメールを返したのは2013年の12月。その日から私の超多忙な日々
が始まった。
アルバイトがあるので制作に費やせる時間は週に2〜3日。75平米の主展示室と公開
制作のアトリエにもなる続き部屋、両方で作品が35点は必要、と予定を組んだ。
高齢の両親の世話、主婦業がこれに加わる。6月の出発の頃には手の指が擦りむけ、酷
使のため右手首が痛み、アルバイトを休んだ日もあった。倒れそうになったら、栄養の
ある食事をとるよう心がけた。一晩眠ればリセットする自分の健康に感謝の日々。

2014年6月11日日本を出発。翌朝ロンドン・ヒースロー空港に到着。出迎えの車
は何とマイクロバスだった。 続く

「夢を叶えて―オールドバラ音楽祭―」<後編>

誰一人知る人のいない土地での個展が、いよいよ始まる。夢にまで見たオールドバラ音
楽祭。関連企画の扱いだけに、責任重大だ。独断で私を選んだというプロデューサーの
カルロがにこやかに迎えてくれ、6月13日搬入。翌14日オープン。12時開場と同時
に人が入ってきて夜のコンサートの始まる直前まで人がきれない。
私は海辺のコテージからお迎えの車に乗って約10分の画廊に連日出向いた。新作を制作、
その合間にお客さんの質問に答え、写真を撮られたり時にはサインを求められたりした。
自分が心から好きなテーマに出会い、それを思うままに表現し作品をつくる。そしてそ
れが沢山の人に賞賛され、理解され、評価の最大の結果として人々が購ってくれる。作家
としてこれ以上のシアワセはあるだろうか。初めて羽を広げる場所に来た鳥のような気持
ちでいた。
夜はコンサートやオペラに出かけた。画廊から目の前にあるコンサートホールまで、か
かとのある靴に履き替えてダッシュで走るわたしに、会場スタッフは「チカコ、今日は
何枚売れたの?」「体調はどう?」と親しげに声をかけてくれた。
18日間の会期中、平均500人前後というのに私の個展には約900人もの人が来て
下さった。財団の支援、そして25人のボランティアに支えられ全てにおいて個展は過去
最高のものとなった。
そしてこれからのこと。私は今回「オーウェン・ウィングレイヴ」というオペラに出会
った。これは、軍人の家に生まれながらも徴兵を拒否し、その意思を貫いた男の物語。
それが私の次のテーマだ。
ブリテンは平和主義者としても有名な作曲家だった。特に今年は第一次世界大戦開戦か
ら百年。「戦争の愚かさについて」というテーマで音楽だけでなく、絵画、インスタレーシ
ョンなども音楽祭で展開された。
ブリテンの平和への祈り、願いを私は今後作品のなかで受け継ぎ、表現していきたいと
思う。それこそがこの稀な機会に恵まれた私の役目なのだと今思う。
「来年もくるんでしょ?」と言ってくれる多くの新しいファンの声を支えに、ただ今来
年の個展の実現に向けて活動中だ。1979年から83年、私は英国に留学して絵を学ん
だ。その時出会った、私にブリテンのオペラの素晴らしさを教えてくれた友人(1992
年9月エイズの為死去)の言葉を忘れず、新たな夢を追いたいと思う。
「チカ、なぜ挑戦しないの。何も失うものはないのに」

あと二日(23日まで)となりました。
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今年最後のサロン(No302)とパーティー 
12月22日(火) 19:30開演 (開場19:15)
思わず顔が緩みますね。たのしそう。
http://gallery-shimada.com/salon/?p=270
2015年最後のサロンは、みんな大好き、リコーダー部にご登場いただきます。
前半はリコーダー部による生演奏ライブ。
後半は、パーティー(クリスマス会&忘年会ですね!)どなたでもどうぞ。
無料で予約も不要ですが、パーティーはポトラック(持ち寄り)です。
ギャラリーは23日(水)で今年の展覧会を全て終えます。
どなたも、楽しみましょう。
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豊かにする芸術活動に助成しています。
http://www.kobushi-kikin.com/
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