□■□2015年11月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE   Info―1159号

□■□2015年11月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
  Info―1159号
           11月14日に

1 蝙蝠日記   石原吉郎の緩慢な自死
2 季村敏夫  「断章、記憶に息を吹きかける」(必読)
4 今日の言葉   憎むとは 待つことだ

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蝙蝠日記 
10月27日の1151号のメルマガで石原吉郎のことを書き、今日の言葉でも石原を書いてき
ました。
http://gallery-shimada.com/mailmagazine/?p=210
細見和之さん「石原吉郎―シベリア抑留詩人の生と詩」(中央公論新社)を読んだからです。
石原は戦争犯罪人として8年の抑留をへて1953年帰国(抑留76万人、死者6万人と推定
されます)。
しかし石原を待ち受けていたのは強制収容所でのなまの体験は、ほとんど問題ではないと
いえる過酷な現実だったのでした。 


石原は帰国後、その過酷な現実に耐え、詩人として高い評価を受けましたが徐徐にアルコ
ール依存に向かい、1977年11月14日(13日と書いている文献もあります)発見された
のは15日。自宅で入浴中に心不全で亡くなりました。自殺を疑う人も多かったようです。
62歳でした。
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11月14日は私の誕生日と重なり、入浴中の突然死は私の父の死と同じです。75才でした。
そのことを昔から意識してきました。
日々、悔いなく、いつその事態が来てもいいと思いながら選び取るように時を刻んでい
ます。
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私を石原吉郎に導いたのは季村敏夫さんで詩集「膝で歩く」が刊行された頃、
石原吉郎のことを教わりました。
その季村敏夫さんの渾身の論考「断章、記憶に息を吹きかける」が人文書院の
HPに特別寄稿されました。
http://www.jimbunshoin.co.jp/news/n13381.html
父母の来歴への記憶、70年前、20年前への記憶、そして神戸、そして危機にある
政治的状況への危機感がひしひしと迫ります。
▲▲
季村さんの最後のフレーズです。
政治家ばかりが劣化したのではない。経済優先にがんじがらめになったわたしども国民の
知的劣化はそらおそろしい。そんな折、戦争の記憶を持つ当事者が途絶えはじめる。この
時とばかり、為政者は安全保障感をあおり、記憶のない国民はあおられ、再び戦争は勃発
する。今まさに、その時期である。だから、戦争の記憶を有するひとが一人ふたりと地上
から消える今こそ、彼らに息を吹き、死者を目覚めさせ、その息を受けつがねばならない、
そういい聞かせ筆を擱く。
▲▲▲
この論には詳細な[註]が付けられ、中井久夫「戦争と平和 ある観察」(人文書院)に触
れられています。中井先生と私の対談も掲載されていますが、重版されました。
季村さんの「断章、記憶に息を吹きかける」はある歴史雑誌の寄稿依頼で書かれ
たものですが掲載を断られたものです。
それだけ切っ先の鋭い論だということで必読です。
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パリ震撼
1月の「シャルリエプド事件」についでフランス社会がテロに震撼。
12月、今年最後の展覧会のために作品の空輸が始まったMortagne- au- Percheの山田晃稔
迪子夫妻と連絡を取り合いました。
日本大使館から、緊急注意情報がメールで4回、次々と送られて来て、被害の状況が知ら
されているそうです。
山田さん「非常事態ではあっても、日はまた昇り、人は生活を続けねばなりません」
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今日の言葉
憎むとは 待つことだ
 きりきりと音のするまで
 待ちつくすことだ
 いちにちの霧と
 いちにちの雨ののち
 おれはわらい出す
 たおれる壁のように
 億千のなかの
 ひとつの車輪をひき据えて
 おれはわらい出す
 たおれる馬のように
 ひとつの生涯のように
 ひとりの証人を待ちつくして
 憎むとは
 ついに怒りに到らぬことだ
石原吉郎(「待つ」)

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