Gallery SHIMADA メールマガジン 1119 号

□■□2015年7月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
  Info―1119号
        戦争と平和 ある観察(その1)
ほんとうにうれしい 
1 蝙蝠日記   昨日届いた本
2 展覧会  ミニアテュール神戸2015  おかげ様で
3 今日の言葉 その場にいてくれる=copresence

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蝙蝠日記  昨日届いた本
尊敬する中井久夫先生の新刊が昨日、届きました。
 「戦争と平和 ある観察」(人文書院) 発売8月5日。
ほんとうにうれしくて。
帯に
戦後70年、神戸の震災から20年  
戦争を二度と起こさないために、自身の戦争体験を語る
  加藤陽子(歴史学者)島田誠(元海文堂書店社長)との対談も収録
とあります。
中井久夫については下記で
https://ja.wikipedia.org/wiki/%E4%B8%AD%E4%BA%95%E4%B9%85%E5%A4%AB
今、もっとも大切な時期にさしかかっている日本の「戦争と平和」の議論。
そこに焦点を合わせた中井久夫先生の著書に、1997年8月の雑誌『WAVE117』創刊号で
の中井先生と対談が、この本の最後に置かれているのに感激しました。
私自身が忘れていたことを、憶えていて下さって、今という時代に生かして下さったので
すから。
http://gallery-shimada.com/blog/?p=5759
この本の表紙装画は中井久井さんご自身です。
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本書の骨格は「樹をみつめて」(2006年:みすず書房)の「戦争と平和についての観察」(P56―114)にあり、それに個人史を加え、新たに加藤陽子さんとの対談を収録した第一部。 第2部の災害対応として中井先生の論が置かれ、最後が私との対談で締めくくられていま
す。
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「樹をみつめて」の発刊の時に私は神戸新聞に「評」とも言えない「感想」を書かせて
いただき、その時、中井先生からいただいた礼状は今でも書斎に貼っています。
その評です。
 1980年に神戸大学精神科教授として赴任、新神戸駅に降り立ったとき、空も山も、空
と山を映す海も、骨まで染める青さに驚いた。この自然の額縁がこの街の様々な不整合
を消してきた。市民は神戸市のやることを我が事のように誇ったと書く。それから20年。
ハーバーランドから見る姿を「今なお美しい、しかし動きのない港は”廃市”という言葉
さえ浮かぶ」。光が強烈であるだけに影もまた濃い。しかし市民は諦観とも見えるほど
淡々としている。「神戸は生きる喜びのためにある街だ。詩人と画家が多い」。エッセ
イは書けないと思っていた著者がエッセイとしては7冊目の本著を出し、ギリシャやフラ
ンスの詩を翻訳し、はたまた童話の挿画まで手がけたのが神戸の持つ魔力かもしれない。
多田智満子さんの例を挙げられているが、表層的文化よりも地下水脈が豊かなのである。
書名「樹を見つめて」の自然観照を幕開けとして、神谷美恵子さんの人と読書を巡る論
考、どれも深く届くものがある、しかし私にとって、この本の白眉は「戦争と平和につ
いての観察」である。精神科とは社会の病理と密接であるから当然とも言えるが、’95
の阪神淡路大震災で著者は「こころのケアーセンター所長」としてまるごと震後社会と
向き合った。そして次に「戦争の切れ端を知る者として”観察”と題して提出せずにおれ
ない気持ちで」本稿に取り組まれた。歴史の中の戦争を振り返えれば、酸鼻な局面を知
る者がいなくなったときに繰り返される。ひたひたと戦争への足音を聞き、平和と言う
状況をメインテナンスするために費やされる成算なき膨大な負のエントロピーを思う。
戦争は男性の部屋を散らかす「子ども性」が水を得た魚のようになり、戦争を発動する
権限だけは手にするが、戦争とはどういうものか、どのように終結させるか、その特質
は何であるかは考える能力も経験もなく、その欠落を自覚さえしなくなる。そして、あ
る日、人は戦争に直面する。
「観察」を提示した著者が私達に迫っているのは「関与=Do Something」である。

加藤陽子さんとの対談は「中井家に流れる遺伝子」。これもとても興味深い。
偶然ですが書斎デスクのすぐ横に中井先生の本がならび、その一段下に「それでも、
日本人は『戦争』をえらんだ」(朝日出版社)が一杯、付箋がついて置かれていました。

次回は「戦争と平和 ある観察」についてもう少し紹介します。
ともかく、お読みください。
ギャラリー島田で常時、お求めいただけます。                                                   ■■■
ミニアテュール神戸2015 「ホワイボン」
大変、好評をいただき、四日目にして昨年の実績を超えました。作家の皆さんの意気込み
が伝わるのですね。
お見逃しなく。
会場風景です。
http://gallery-shimada.com/blog/?p=5730
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今日の言葉
阪神淡路大震災のときに、わたしは当時神戸大学の附属病院に勤務しておられた精神科医
の中井久夫先生から一つの言葉を教わりました。
copresence という言葉です。中井先生はこの言葉を「いてくれること」と訳し、他人の
copresence が被災の現場でいかに重い意味をもつかを説かれました。
被災直後、中井先生は地方の医師たちに救援の要請をなさいました。
全国から多くの医師が駆けつけたのですが、中井先生はじめ神戸大学のスタッフが患者さ
んにかかりっきりで、応援団になかなか交替のチャンスが、回ってこない。
そのうちあまりに長い待機時間に小さな不満が上がりはじめたとき、中井先生はその医師
たちに集まってもらい、「予備軍がいてくれるからこそ、われわれは余力を残さず、使いき
ることができる」と語りはじめました。
そして、「その場にいてくれる」という、ただそれだけのことが自分たちのチームにとって
どれほどポジティヴな意味をもつかを訴えられたのです。
平成22年 鷲田清一総長が大阪大学の卒業式で述べられた「祝辞」から

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