Gallery SHIMADA メールマガジン 1115号

□■□2015年7月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
  Info―1115号
         
自画像を巡って

1 蝙蝠日記   シャルフベックと鴨居玲
2 展覧会の予告 「鴨居玲と神戸」
4 今日の言葉  “飛ぶ前に見る”人をどうしても信ずる気に
なりません。

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蝙蝠日記 シャルフベックと鴨居玲
上京して鴨居玲展に二日にわたって足を運び、ヘレン・シャルフベック展を見てきました。
鴨居玲展はこちら。(東京展は終了しましたが巡回します)
http://www.ejrcf.or.jp/gallery/exhibition/201505_Rey_Camoy_Retrospective.html ヘレン・シャルフベック 魂のまなざし(東京藝術大学美術館)はこちらです。
http://helene-fin.exhn.jp/
こちらは26日(日)まで
私はもう一つ世田谷美術館の「憧憬、友情、孤独、苦闘、革新…。夭折の青年画家と
異都パリの画家群像 」を見たいと思っていました。金山泰喜が33才で急死し、パリに
残された作品を日本へ送り返したのは野見山暁冶と鴨居さんで、そのときに見た金山
作品に強い感銘を受けたようです。
金山展は下記で、9月6日までです。
http://www.setagayaartmuseum.or.jp/exhibition/exhibition.html でも時間切れで行けませんでした。終わるまでに是非。

シャルフベックと鴨居玲
シャルフベックは極めて魅力的な作家で、どの作品も「魂のあるところ」を感じさせ
ますが、とりわけ人物、そのなかでも自画像が多く、またそれぞれが魂の告白といった
内的ドラマを抱えていることに鴨居の魂の軋みが響き合っています。
ともに死に向かって自分を凝視しシャルフベックは顔の左半分の頬を抉り取られたように
描き(1913.1926の自画像)、鴨居は自死した年に自らの顔を剥ぎ取って左手にもった
「肖像」(1985)を描いた。
「シャルフベックは、自分の姿を醜く描くことで、迫りくる死に対する不安感や、自分の
人生を振り返ったときの空虚感から一時的にでも救済されることを願っていたのではない
だろうか」カタログp66
「鴨居は、この作品では、自失して呆けた顔の表情さえもが、移ろう現世の薄皮として
捨てられてしまう境地に至っていて、真っ白い顔は、これまでの蓄積もなく、これからの
展望もみえない、無に近い自身の白紙状態を表していると考えられる」カタログP85
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シャルフベック21才の時の婚約破棄は「恢復期」という喩えようもなく美しい作品を生む
が、51才の時の失恋は「未完成の自画像」を生み、死神のような顔がペインティング・ナ
イフで傷つけられている。自画像の自傷行為は、ゴッホの「耳を切った自画像」を想起さ
せる。
そして最後の自画像となった「黒とピンクの自画像」の放心した抜け殻となった顔は「1982
年、私」の鴨居の顔に繋がってみえる。
鴨居玲は制作途上であった教会の大作をペインティング・ナイフで切り裂いたものが残さ
れている。鴨居にとって教会が自己の魂の告白であるとすればこれも「自傷行為」とも
見える。(ただし作品としてではないが)。この作品は参考資料としてギャラリー島田で展
示する予定です。
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自画像は面白い。モデルが自分であるということを超えて、内面を露にせずにはおかない。
作品はすべて作家の内面の表出であるとはいっても、似顔絵でなければ、自分の存在を真
正面から問わずにおれないことは苦しいことだろう。
多くの画家は若き日にはかいても老いては描かない人が多い。
ゴッホは知られるところだが忠実に描き続けたレンブラント、ゴヤ、ドラクロア、ルーベ
ンスや日本では岸田劉生、村山槐多、松本俊介、青木繁などを思います。岸田を除けば夭折の画家ですから当然かもしれません。
しかし、鴨居玲やシャルフベックのように自傷というほどエキセントリックな自画像はそ
んなに知りません。
萬鉄五郎の「赤い目の自画像」アンソールの「骸骨となった自画像」レンブラントの不気
味に「笑う自画像」。そしてシャルフベックが一つの顔に二面性を描いたものに似たエゴ
ン・シーレの「二重の自画像」などを思い浮かべます。
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没後30周年展「鴨居玲と神戸」は8月22日から9月2日まで。
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今日の言葉
私の性格として、いや全くの本能的なものとして、“飛ぶ前に見る”人をどうしても信ずる気に
なりません。(善悪を述べているのではありません)とかく飛ぶ前に見る人は、とても美しいす
りかえの論理を使用する時がある故にです。
 しかし、“飛んでから見る”という人生。これはホンマのところしんどい事でまあります、
実感です。
たぶんフルいと、若い方に言われるでしょうけれども、私には、これしか、この方法でしか
“生きようが無い”“生きる意味が無い”といった人生を、少なくとも物を創ろうとする人間
はえらぶべきでしょう。鴨居玲(マドリーにて。プラドで会った画家に)

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