Gallery SHIMADA メールマガジン 1091 号

□■□2015年5月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
  Info―1091号        
          PARASOPHIA(その2)

1 蝙蝠日記 魅せ方を心得ている 
2 アジール神戸学校  島田が話します
3 ご招待情報
4 今日の言葉   真の愛国とは
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蝙蝠日記  PARASOPHIAについて
全体に触れる余裕はないが、印象に残ったものとしては石橋義正を挙げよう。田中功起、
倉智敬子+高橋悟、残念ながら、そこにありながら見られなかった、やなぎみわについて
も語りたい。そしてなんといっても蔡國強(ツァイ・グオチャン)の「農民ダ・ヴィンチ」
会場全体がバコダ(六角の塔)となり無邪気ともみえ渾然一体となった「京都ダ・ヴィン
チ」。これが入り口にあり思わず長滞在を愉しんだ。アン・リスレゴーのSF的映像イン
スタレーション、京都芸術センターでのアーノウト・ミックの「異言」はマインドコント
ロールによる理解しがたい宗教的熱狂で心がうすら寒い。

さて石橋義正はともかく見せる、魅せ方を心得ている。美しい女性を今そこに実在してい
るかのように性的な面を濃厚に孕みながらリアルなオブジェ、映像、写真、が組み合わさ
り、部屋や廊下など場面が転換するごとに鮮明なメッセージを伝え見事である。ある種の
エンターテインメントを心得ながら表層に止まらないのはプロフェショナルな手腕だと
思う。
ただ、これは私だけのことかもしれないが、音楽が「いかにも」という感じがして残念で
した。音楽は、旋律、ハーミニー、リズムなどで、それ自身が完結した世界を伝え聴覚を
通じて感覚を支配する。石橋の巨大なスクリーンに投影された自然の映像においては無音
の雄弁の選択はなかったのか。
流される音楽にすこしに違和をもったのは美術館の地下室でのインスタレーションを行
なった高嶺格(たかみねただす)についても感じたのですが、高嶺はダムタイプのパフォ
ーマーとしてもその後の表現においても音が重要な表現であるから、音への違和はそのま
ま表現への違和となるのかもしれない。

石橋義正との最初の出会いは2003年のヴェネチア・ビエンナーレの
「ZONE OF URGENCY」(危機)でのKyupi Kyupi The Wide Show(Video)でした。
Kyupi Kyupiが何かは全く知らず日本のアーティストだというだけでカラフルで動きのあ
る映像に見入っていました。帰国して次男からKyupi Kyupiについて聞いた覚えがありま
す。
そういえば高嶺格もこのヴェネチア・ビエンナーレの参加作家でした。
簡単ですがそのことに触れた蝙蝠日記は下記でお読みいただけます。 
http://gallery-shimada.com/koumori/?p=112
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やなぎみわについては、何故か移動舞台ステージ「舞台車」は華麗な「ねぶた山車燈籠」
のような舞台は閉じられただのトレーラー状態で残念でした。
昨年の横浜トリエンナーレでは台湾の高雄港から黒潮にのって漂着したという「舞台車」
を見上げ、そこから生まれる物語を想像したのでした。
やなぎみわとの自覚的な出会いは2002年の兵庫県立美術館開館記念展「未来予想図: 私
の人生劇場.」でした。この展は、榎 忠, かなもりゆうこ, 児玉靖枝, しばたゆり, 内藤絹子, 黄 鋭, 堀尾貞治, 松井智惠, 森村泰昌, やなぎみわ というラインナップも先見 性を感じ、このキュレーションは素晴らしいです。そして、やなぎみわの「エレベーターガール」「マイ・グランドマザーズ」などと出会っていき、その造形能力の高さと、それ ぞれの作品で伝える女性の社会的問題への提起などの意識が高く、例えば今回であれば中
上健次の「日輪の輪」の演劇化をこの舞台車で上演しながら旅をするという。やなぎの次々
とステージを変えながら自ら大衆社会へと飛び出して行く強い意識は「今の日本は、歴史
をつくらない『忘却』による乗り越え方がどこまで続くのか、非常に不安なんです」とい
う自身の言葉に鍵がある。

PARASOPHIAは重層的な歴史都市である京都の1933年創建の市立美術館全体をたぶん
始めて隅から隅まで会場としたことと、参加作家それぞれに事前に招いて、時と場を体験
した上での制作を求めたと思われ、参加作家にも京都、この美術館という意識を孕みこん
だ作品が多いと感じ、評価が分かれるところとなっています。
そのことに正面から挑んだ田中功起は2013年のヴェネチア・ビエンナーレで高い評価を
えた作家です。記録と記憶を巡る多様な問題の考察を続けているのですが、私は初見でした。
ただ「1946年〜52年占領期と1970年人間と物質」という難解なテーマを語り合うワークシ
ョップやリーディングを延々と見続けるのはなかなか難しい。それをアートとして提起するこ
とにおいては成功しているとはいえません。
まだ蔡國強まで届きません。
さて最終日にはやなぎみわの移動舞台ステージ「舞台車」は披露されるのだろうか。

PARASOPHIAは10日が最終日です。HPです。
http://www.parasophia.jp/
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アジール神戸学校  15日に話します。
私たちの世代が若い人たちに伝えておきたいこと、若い人たちが聴きたいことを語り合う
アジール神戸学校が始まり、最初の話し手として招かれ、5月から毎月、全6回を担当し
ます。
「若い」は年齢ではなく「素直な心を失っていない」ことだそうです。
第1回は「異端概論」です。異端であることは楽しく、美しいというお話。
その後のテーマは
「発言と改革」「物語概論」「人生は四階建ての家」「磁場とはなにか」「神戸ビエンナーレ」
 などを皆さんと語り合いたいと思います。
5月15日(金)19:30から21;00 場:ギャラリー4  会費 1500円 
兵庫県神戸市中央区海岸通9 チャータードビル 2F 078-392-2880
詳細はお問い合わせ下さい。
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ご招待情報
堀文子{一所不在・旅}展  兵庫県立美術館 6月7日まで  10名様
http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_1504/index.html
鳥の目から世界を見る ボーダレス・アートミュージアム  NO-MA 2名様
関西二紀展  6月16−21日  2名様
中西勝展  神戸ゆかりの美術館 7月12日まで  20名様
http://www.city.kobe.lg.jp/culture/culture/institution/yukarimuseum/tenrankai/ 神戸の歴史とアートに旅ー近代化の轍  BBプラザ美術館      5組
http://bbpmuseum.jp/
■■今日の言葉
日本は戦争責任と戦争犯罪を認めることで世界の理性と正気の声になれる。大変難しいこ
とだが、尊敬に値するし、日本国内で平和を求める声が強まれば素晴らしい。それこそが
真の「愛国」だと思う。歴史家 ジョン・ダウアー 
5月5日 神戸新聞
蝙蝠から
このダウアーさんをはじめとするアメリカの日本研究者は歴史研究者187人が
戦後70年の平和国家としての日本の歩みが世界での尊敬を集めてきたことを
讃えると同時に、それを踏み外さぬよう安倍首相に「大胆な行動」を呼びかける
声明を出しました。
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公益財団法人「神戸文化支援基金」(こぶし基金)は兵庫・神戸の文化の土壌を
豊にする芸術活動に助成しています。
http://www.kobushi-kikin.com/
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・みなと銀行 北野坂支店 普 1656831 公益財団法人神戸文化支援基金
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■発行元 ギャラリー島田・アートサポートセンター神戸