Gallery SHIMADA メールマガジン 1082号

□■□2015年4月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
  Info―1082号         
         NYから川島猛さんをお迎えします  
1 蝙蝠日記  川島猛さん順子さんを囲んで
2 大重潤一郎さんの魂の旅 
3 今日の言葉  お互いに分かち合っていきる他に道は無い
 
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蝙蝠日記  川島猛さん順子さんを囲んで
4月18日(土)17:00からささやかな囲む会を行ないます。
瀬戸内国際美術展には毎回出展されていますが、個展は久しぶりですね。
楽しい時を過ごしましょう。
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北野にギャラリーを移転してから5度目の川島先生の個展となります。NYのアトリエを何度もお訪ねし、神戸では理化学研究所のモニュメント2体を制作していただきました。パワフルで明快な、「KALEIDSCOPE(万華鏡)」のような、また「Maze(迷図)」な、「Dream Land(未来図)」でもありそうな、旺盛で奔放なイメージの湧出は心踊ります。 ■■■
「友よ! 大重潤一郎 魂の旅」は40名ほどの参加をいただき、トークも含めて長時間
に及ぶ、深い時間を皆様と過ごしました。
沖縄・奄美を知る過程でチベット、ヒマラヤへ繋がりアジアのルーツを辿る求道の旅はを
聞きながら昨今の国を巡る諍いの多発、国境の争いのなんとむなしいことかと「THE
WALKING PEOPLE」(一万年の旅路―ネイティブ。アメリマンの口承史=ポーラ・アン
ダーウッド)のことを思っていました。
人類の起源がアフリカにあり「歩く人」がアメリカに渡る部族の歴史です。
日本人は何処から来たのか、そのルーツは。
門野里栄子さんから深い論考をいただきました。
今でこそ大重潤一郎の魂を知り学び受け止め浸透させねばなりません。
ご了解をいただきご紹介させていただきます。

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光に魂をみいだし、風に生をみる大重潤一郎さんは、「感知の人」であると思う。私は
大重さんと面識もなければ、彼の作品をこれまで観たこともない。今回上映された映像
の中で語る姿が、初対面の大重さんである。
1983年に撮影を始めた沖縄県八重山郡にある新城島(あらぐすくじま、別称パナリ)につい
て、大重さんは「何もないけど、ある」という。一般的には、映画にできない島である。
しかしながら大重さんは、映像、しかもドキュメンタリーという表現領域にありながら、
目に見えないもの、聞こえないもの、存在しないものを『光の島』という作品に仕上げ
ている。おそらく、物事を「知る」ということにおいて、説明や分析や証明に依拠する
のではなく、事物を深淵まで見つめることによって見えてえてくるものがあり、じっと
耳を傾けることによって聞こえてくるものがあるのだろう。それを大重さんは「心に映
る」と言っていた。「心に映った」ものは、きっと「ある」のだ。しかしそれが形にな
るには、12年後の阪神・淡路大震災を待たなければならなかった。パナリ(新城島)に
流れている時間の波長と合う、震災直後のユートピアに流れた波長がなければ、「心に
映った」ものは生まれないのかもしれない。
映像の中の大重さんは、「求道者」のようでもあった。沖縄・奄美を知ろうとする過程
で、カツオやその燻製法、旗の文様、祭りの装束や面などの生活文化を通して、アジア
の共通点を調べ上げる。地図を穴が開くほど見つめ、学説を地図上に落とし、アジアの
川の源流をチベットに発見する。関心を持つ対象としつこいまでに付き合い、現地に赴
き、直接見聞きする。そうした真理を追究する情熱と愚直な実践が、目に見えないアジ
ア人のルーツを浮かび上がらせ、また自らのルーツとも出会うのだろう。求道者である
がゆえに、感知の人になれるのだ。
文化の源流を辿る姿は、まるで自らの源流を辿るかのようだった。上映後に流された大
重さんからの声のメッセージにあったように、映画を撮ることは、自分とは何か、生き
るとは何か、を探求することである。皮肉なことに、大重さんは「感知の人」を体現し
ている。2004年に発した脳出血の後遺症によって、視床痛という聞きなれない症状に
悩まされている。損傷部と反対側の身体上に耐えがたい痛みや眩暈を伴うものだが、痛
みの原因はわからない、というか、ない。大重さんいわく「架空の痛み」である。存在
しない痛みに、耐えがたい激痛を感じている。そのような目に見えない激痛に耐えなが
ら映画製作をするのは、これまた目に見えない自分の身に宿る内なる祖先を喜ばせたい
からだという。
チベットを源流とするアジア文化圏、さらにはアフリカにたどり着く人類の起源という
壮大なロマンが、大重潤一郎という一人の個体につながっているのが「見える」ようだ。
また、激痛を生き抜くその先に、自分自身を探求し、生きるとは何かを考え、その集大
成として映画『久高オデッセイ 第三部 風章』を完成させた「充足感」があることを、
身を以て伝えてくれている。そこには「風」にみえる「生きていること」がきっと描か
れているはずだ。
門野里栄子
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今日の言葉
何も無いアジアの村で得たものは、
カネでは買えない豊かな人間関係です。
生活があまりにも便利になり過ぎ、
自分のことだけ考えていれば
夜が明け、
日が過ぎて行くかのように思えて・・・。
人は独りでは生きていけない、
お互いに分かち合っていきる他に
道は無いのが、
この宇宙船地球号の実態なのです。
ネパールの父と呼ばれた 岩村昇さんの言葉です  
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■発行元 ギャラリー島田・アートサポートセンター神戸