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■□■□2020年7月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1544号 7月29日

■□■□2020年7月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1544号 7月29日
 
         母からのギフト 父からのギフト
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1 ウグイス日記  高濱浩子「お弁当日記」と「私書箱1284」

2 蝙蝠日記  洗いざらされた人としての魂と出会うということ

3 展覧会のご案内  未来圏から!

4 今日の言葉  音、沈黙と測り合えるほどに
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1 ウグイス日記  高濱浩子「お弁当日記」と「私書箱1284」
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ギャラリー島田とは、長いお付き合いの高濱浩子さん。

高濱さんの表現には、色々なシリーズがあるのですが、昨日(7/28)放送の
NHKの人気番組「サラメシ」に登場したのは、お母さんのお弁当日記。
https://www.nhk.jp/p/salameshi/ts/PVPP6PZNLG/episode/te/91M8MJJP2V/

お仕事に行く高濱さんに、毎日お母さんが作ってくれたお弁当を、絵とその
時々のことばで日記のように、記録したものが、ズラズラーっと並んでいる
画面は圧巻でした。画家として、人としての高濱さんの日々、絵を描いてい
いるところも見ることができました。ご覧になった方もいるかと思いますが、
見逃した方も、
再放送 7月30日(木)午後0:20〜午後0:45
    8月 2日(日)午前8:25〜午前8:52

がありますので、是非みてください。
(*地域によって異なるかもしれません)

そして、今朝(7/29)の神戸新聞でも取り上げられています。
「夢支えてくれた母の弁当 画家の女性、8年間のスケッチ彩色」
https://www.kobe-np.co.jp/news/kobe/202007/0013551800.shtml

それで、今回、ギャラリー島田のオンライン・ストアでは、そのお母さんの
お弁当日記、
ではなく、貿易商だったお父さんの、神戸中央郵便局p.o.box1284、に色々
な国から届いた郵便物の切手から生まれた作品シリーズ、「私書箱1284」を
ご紹介しています。

キプロス、ナイジェリア、リビア、チュニジア、シンガポール、タイ、、、
切手そのものも、面白いのですが、その小さな切手の小窓から広がっている
高濱さん独自のイメージは、一言で言うと、恋する切手!かなと。
色、線、形。言葉にならない、ドクドク、フワフワ、と異国に馳せる心の景
色、切手にのせた旅心、旅に恋する絵心の世界が広がります。

このシリーズは、裏面に、焼印でナンバリングがされているのですが、それ
は番号の前後の作品と割印でつながっています。これも密かな高濱さんの心
遣いがこめられていることと思います。

高濱のさんの引き出しは、まだまだ、、、
でも、サラメシの中の「お弁当日記」は母から、オンライン・ストアで登場
する「私書箱1284」は父からの、何か大きなギフトが作品となって、誰かの
手へとまた、手渡されていく、心と心がつながっていくような、世界だなー
と思いました。

この度、絵がセットされた台紙は、そのまま飾れるような美しさ。
そして、絵をご購入いただいた方には、会って直接お話できにくい今日この
頃ということもあり、高濱さん直筆のお手紙が、これまた、違う切手シリー
ズの作品に書かれて一緒にお送りいたします。

詳細は是非ともオンライン・ストアページを是非ご覧いただきたいと思いま
す。

高濱浩子「私書箱1284」open!
https://gallery-shimada.stores.jp/

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2 蝙蝠日記  洗いざらされた人としての魂と出会うということ
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新型コロナウイルスで私たちの日常は一変しました。
それはまさにパンデミックであり、あらゆる局面における危機と言えます。
しかし、その一方で、人が人として失われることなきものが洗い出され、根
源のものが彫琢されるように姿を現してくる。
そんな「今」でもあります。

私たちは新しい社会的実験ともいえるインターネットを使った試みに挑戦し
ています。そして、それが好評をいただき、そのどれもがワクワクする試み
です。
そうした新鮮さは、すべて洗いざらされた人としての魂と出会うということ
かもしれません。

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3 展覧会のご案内  未来圏から!
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2020年特別企画展「未来圏から!」

コロナ以降、初の本格的な展覧会に、毎日途切れなくみなさまに来廊いただ
いております。
でも、よい具合に、各部屋に1〜3名ほどでゆったり過ごしていただいてお
ります。

オンライン・ミュージアム「未来圏から!」も25日より公開しており、
トピックも随時増殖すべく、企画中です。
https://www.galleryshimada-museum.com/

メールやお電話でお問合せもいただいており、嬉しく思います。

会場風景はホームページにて
http://gallery-shimada.com/?p=6860

展示作業の様子はスタッフブログにて
http://gallery-shimada.com/blog/?p=9802

未来圏から!への参加作家の想いを一部掲載しています画廊通信8月号も
ブログにてご覧いただけます
http://gallery-shimada.com/blog/?p=9840

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4 今日の言葉  音、沈黙と測り合えるほどに
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私はまず音を構築するという観念を捨てたい。
私たちの生きている世界には沈黙と無限の音がある。
私は自分の手でその音を刻んで苦しい一つの音を得たいと思う。
そして、それは沈黙と測りあえるほどに強いものでなければならない。

武満徹「音、沈黙と測り合えるほどに」 新潮社 P13

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■□■□ 2020年7月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1543号 7月25日

■□■□ 2020年7月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1543号 7月25日
 
            未来圏から! 続報

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1 特別寄稿 賢治からの伝言「未来圏から」の風

2 蝙蝠日記 

3 展覧会紹介 未来圏から!

4 今日の言葉  かがやく宇宙の微塵となりて無方の空にちらばろう
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1 特別寄稿 賢治からの伝言「未来圏から」の風
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未来圏から!   
本展の基本理念を提示された松田素子(編集者)さんによる特別寄稿を、
ご紹介いたします。

賢治からの伝言「未来圏」からの風

 2012年の初夏のことだった。東日本大震災の津波で地域ごとさらわれてし
まった仙台市閖上地区の子どもたちに会うという機会を与えられた。岩手県
で「宮沢賢治」をテーマにしたイベントを開くから、というのは口実で、仮
設住宅で暮らす方々に、ゆっくり温泉につかってしばしの間でもくつろいで
欲しいというのが企画者の本当の意図で、家族みんなでやってくるから、子
どもたちの前で何か賢治の話をしろというのが私への依頼だった。

 引き受けたものの、あんな体験をした人たちの前で、何を話せるというの
だろう。考えれば考えるほど、自分が言うかもしれない言葉の空虚さを思い
知らされ、結局私は、「話すことは、できない」と覚悟を決めて、話す代わ
りに一人一人に手渡す小さなファイルを作った。青い表紙に緑色の紙を貼り、
そこに「ジョバンニの切符」というタイトルをつけた。そして副題として、
小さく「――宮沢賢治からの伝言――未来圏からの風」という言葉を添えた。

 そのファイルの中に入れたのはどれも、私自身が励まされ、問いかけられ
続けてきた、賢治の様々な言葉である。そして、この中に入れたひとつが
「生徒諸君に寄せる」という詩だった。「未来圏」という言葉は、この詩の
中にある。引用しよう。

  諸君はこの颯爽たる

  諸君の未来圏から吹いて来る

  透明な清潔な風を感じないのか

 賢治は、編集者の私にとって、その絵本化に取り組み続けている作家であ
ると同時に、私自身の人生の恩人でもある。私は賢治の言葉にどれほど背中
をおされてきたかわからない。

 賢治が生前唯一出版した童話集『注文の多い料理店』の序文にこんな言葉
がある。「これらのちいさなものがたりの幾きれかが、おしまい、あなたの
すきとおったほんとうのたべものになることを、どんなにねがうかわかりま
せん。」――この言葉は、私にとってずっと握りしめている切符のようなも
のだ。賢治は、自分の言葉が誰かの食べ物になることを、すなわちエネルギ
ーになることを願っていた。そのことに胸が熱くなる。

 そして現在、コロナという暗雲が世界を襲った……。しかし、立ち止まっ
たからこそ見えてきたこともある。新たな未来を見すえて歩き出そうとする
人たちもいる。「未来圏」という言葉が、その眼差しを照らすエネルギーに
なるとしたら、賢治はきっと喜ぶに違いない。

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2 蝙蝠日記
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私たちはこのパンデミックの渦中に生きるものとして、
3ヶ月の準備期間を経て、2020年特別企画展「未来圏から!」をスタートし
ています。
86名の国内外作家が参加する、7/18(土)― 8/19(水)にかけての1か月間
におよぶ展覧会です。

そしていよいよ本日、オンライン・ミュージアムでも公開いたしました。

海外から参加の作家をふくめて初めての試みです。

今回の招待作家には宮沢賢治のメッセージに対する応答として今と言う時代
を生きる作家自身の言葉が添えられています。それは会場でも掲示されてい
ますがオンライン・ミュージアムでは掲示作品に添えられズームアップして
「見」また「読む」ことが出来ます。

私もテストアップを視だして長く惹きつけられ、心が静かに揺さぶられまし
た。それはあたり前のことです。いままで経験したことのない「宇宙の時空」
に、私たちはみな「ひとり佇んでいる」のです。表現者としての自負も吹っ
飛ぶような未来圏!で自答する作家のことばは「ともかく美しい」ことに撃
たれます。
誰もが自ら選び取ることはない、今というパンデミックという危機。
そこで露わになる人としての本質。
それが表現者であれば問いの刃は自らへと向かう。何度も繰り返しまずはこ
こへ立ち返ろう。

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3 展覧会紹介 2020年特別企画展「未来圏から!」
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オンライン・ミュージアム「未来圏から!」本日7/25公開
こちらからご覧ください
https://www.galleryshimada-museum.com/

会場風景はホームページにて
http://gallery-shimada.com/?p=6860

展示作業の様子はスタッフブログにて
http://gallery-shimada.com/blog/?p=9802

未来圏から!への参加作家の想いを一部掲載しています画廊通信8月号も
ブログからご覧いただけます
http://gallery-shimada.com/blog/?p=9840

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4 今日の言葉
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まずもろともに
かがやく宇宙の微塵となりて無方の空にちらばろう
われらに要るものは銀河を包む透明な意志
巨きな力と熱である・・・

(農民芸術概論綱要)

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■□■□2020年7月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1543号 7月19日

■□■□2020年7月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1543号 7月19日
 
            未来圏から!
           
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1 蝙蝠日記  パンデミックの時代に

2 展覧会のお知らせ  2020年特別企画展「未来圏から!」

3 今日の言葉  日本は非常に豊かになったが、幸せにならなかった国だ
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1 蝙蝠日記
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パンデミックの時代に世界中がある。
たんに地域におけるコロナ感染に留まらず生死の水際どころではなく
人が人であることの在り方そのものが、繰り返し問われ続ける日々だ。
人の美しさも醜さも全てが露わになっている。

ダンテ 地獄篇 最終章
かくてこの処をいでぬ、ふたたび諸々の星をみんとて

私たちも諸々の星をみんとて宮沢賢治の伝言「未来圏から」の風に
私たちのこれから、命の明日を見つめ、応答が始まりました。
今までにない在り方で。

全てが新しいチャレンジです。
国境を越え、世代を越え、人が人であることはどのようなことなのか。
私たちの希望は何処にあるのか。

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2 展覧会のお知らせ
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2020年特別企画展「未来圏から!」  7/18(土)― 8/19(水)
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約3か月の準備期間を経て、いよいよ始まりました!
86名の国内外の作家たちに、コロナ禍の只中、未来へ向けてのそれぞれの思
いを表現していただきました。

展示作業は総勢12名の作家さん&スタッフで行い、
久しぶりにギャラリー空間が活気づきました。

http://gallery-shimada.com/?p=6860

会期はじめの1週間は実展示のみでご覧いただき、
7/25(土)よりオンライン・ミュージアムでの公開を予定しております。
公開日が近づきましたらURLをお知らせいたします。
遠方のみなさま、海外のみなさまもどうぞお楽しみに。

――――展覧会開催中の新型コロナウィルス感染症対策について―――――

ご来廊に際し、以下の対策にご協力を賜りますようお願い申し上げます。

・体調のすぐれない方、体温が37.5℃以上ある方は来廊をご遠慮ください。
・ご来廊の際には、マスク着用と手指の消毒をお願いいたします。
 消毒液は会場入り口に設置しておりますので、ご利用ください。
・受付にて、お名前とご連絡先を用紙にご記入いただきます。
・受付にて、検温をさせていただきます。
・会場内は出入口の扉や窓を開け、常に換気を行います。
・会場内の多くのお客様が触れる箇所は定期的に消毒いたします。
・会場内が込み合うときは、入場制限を行います。
・スタッフは、マスクを着用して、お客様の対応をさせていただきます。

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3 今日の言葉
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日本は非常に豊かになったが、幸せにならなかった国だ。
これほど豊かになって、これほど幸せにならなかった国はめずらしい。
われわれは、非常に大切なものを、豊かさという名でうしなってしまった。
あるいは忘れてしまった。

池内紀

柳田國男の山桃忌の講演から
季村敏夫個人誌「河口から6掲載」時里二郎

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■□■□2020年7月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1542号 7月1日

■□■□2020年7月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1542号 7月1日
 
              無愛想な蝙蝠
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1 蝙蝠日記  コウモリだって助け合う

2 7月の開廊予定のお知らせ

3 オンライン・ストア  「悩みのるつぼ」挿絵原画第二弾 本日7/1公開

4 今日の言葉  もともと地上には道はない
         歩く人が多くなれば
         それが道になるのだ
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1 蝙蝠日記
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世界をパニックに陥れているコロナ禍。
その起源はコウモリが持っているコロナウイルスが野生動物を通じて人間に
うつったと考えられているようです。
そんな中で、よく平気で蝙蝠などと名乗るものです。

私が蝙蝠を名乗ったのは1993年。初めてのエッセイ集を出した時でした。
商売人でもない文化人でもない、何処にも属さない。鳥でも獣でもない。
自立といえば恰好いいが、「夜な夜な徘徊」と揶揄された。
かわいいと言われ始めたのは、ハロウィンナイトのころから。
私の蝙蝠コレクションは相当なものだ。
それが今は肩身が狭い。

コウモリだって助け合う

たとえ自分が損することになっても、他人のために行動する。
このような利他的行動は、人間社会だけで見られる立派な行動というわけで
はない。
チスイコウモリという動物は、食事にありつけなかった空腹の仲間がいたら、
自分が飲んだ血を吐き戻して分け与えることが知られている。
相手が自分の家族でなくとも、同じ集団に属する仲間であったら快く血を分
ける。
吸血鬼のような恐ろしいイメージとは裏腹に、団結した社会を形成して利他
的に振る舞うのだ。

主食の血液は消化が早く、二日後獲物にありつけないと餓死してしまう。そ
のため、仲間が互いに援けあうことで、餓死のリスクを下げているそうだ。
「自分が飢え死にしそうな時は血を分けないが、後日満腹になった際にはい
つも以上に気前よく分け与える」「いつも助けてくれる相手がたまに分けて
くれなくとも、関係性は悪化しない」など、人でも思わずうなってしまうよ
うな素晴らしい行動も知られている。 以下略

郡司芽久のキリン解体新書 より
(6月24日 朝日新聞 23面 から)

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2 7月の開廊予定のお知らせ
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コロナウィルス後、徐々に営業を再開しておりますが、
6月より、B1F un の一部と1F trois にて、
ギャラリー島田コレクションによる武内ヒロクニ作品展を開催しています。
ひきつづき、7月14日まで開催予定です。
(予告なく変更になることがございます。ご了承下さい。)

開廊時間は、
7/1〜7/14 12:00〜17:00  *休廊なし
7/15,16 展示作業日
7/17 休廊日
7/18〜8/19 11:00〜18:00  *毎週金曜休廊

なお、7/18〜8/19は、
2020年特別企画展「未来圏から!」を開催いたします!
http://gallery-shimada.com/?p=6860

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3 オンライン・ストア
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ギャラリー島田オンライン・ストア
きたむらさとし「悩みのるつぼ」挿絵原画。

おかげさまで大変にご好評をいただき、全国の多くの皆さまに作品をお届け
させていただいております。

本日7月1日、第2弾として、
新たに100点以上の作品を公開・販売を開始いたしました。
長年の連載の挿絵の中から、改めて選りすぐりの作品をご覧いただけます。

さらに充実したきたむらさんの作品世界で、
きっとお気に入りの作品に出会っていただけることと思います。
是非ご覧ください。

https://gallery-shimada.stores.jp/

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3 今日の言葉
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思うに希望とは
もともとあるものともいえぬし
ないものともいえない
それは地上の道のようなものである
もともと地上には道はない
歩く人が多くなれば
それが道になるのだ

魯迅

ひがのぼる(夢街道国際交流こども館 理事長)からいただいた手紙から

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