■□■□2020年5月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1539号 5月28日
亀井純子さんが託したこと
1990年5月28日 40才 没
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1 蝙蝠日記 パンデミックの危機に
2 緊急支援助成 について
3 今日の言葉
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1 蝙蝠日記
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あらゆる芸術文化活動が休止に追い込まれ、先行きも見通せなくなっていく
4月。もともと地域に根差し経営基盤が強くない団体や拠点の存続を心配し
ました。
公益財団ですから厳密に定款や規則に則って運用されねばなりません。議論
を重ね、かつ迅速に事を運ぶことに力を注ぎました。
私が「緊急支援助成」の趣旨と仕組みについて財団の役員の皆さんに諮った
のが4月6日。
政府が緊急事態宣言を出したのが4月7日でした。
財団の全役員が関り、兵庫県下の活動を6地域を深堀りするように調査し三
段階に分けて「志縁」を決めて行きました。
財団は亀井純子さんの「志」を受けて設立され今に至っているのですが、不
思議な縁を感じずにはおれません。
今回の助成決定を亀井純子さんの没後40年の命日(5月28日)に行うことに
しました。
そして兵庫県は6月1日に全面解除となります。
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2 緊急支援助成 について
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支援総額は960万円:55件でした。
今回の支援は申請していただき助成するのではなく、私たちが調査をして支
援(志縁)するので、先方は私たちの財団についてなにもご存じないのがほ
とんどで、それだけにいただい感想が、審査にあたって強いられた私たちの
緊張を和らげて下さいました。
詳細は公益財団法人神戸文化支援基金のHPでご覧いただけるよう準備を進め
ています。
ギャラリー島田の画廊通信の次号(6・7月号)は公益財団法人神戸文化支援
基金により立ちあがった緊急支援助成についての特集をさせていただきます。
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3 今日の言葉
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新型コロナウィルスのパンデミックは歴史の流れを変えるのではない。すで
に起きていたことを加速させ、その亀裂を露見させると考えるべきです。
(略)
政治家がろくな対策を打てず「ひとまず家にいてください」というしかない
状況だった。でも市民は、それなりに秩序だった社会を維持した。
「エリートが機能しなくても社会の統制はとれる」という経験をしたことは
大きい。このような国では、既存のエリートの正当性がますます失われてい
くでしょう。
(略)
お金の流れをいくらグローバル化しても、いざという時に私たちの生活は守
れないことははっきりしました。
長期的にみると、こうした経験が、社会に歴然と存在する不平等を是正しよ
うという方向に繋がる可能性はあります。これまで効率的で正しいとされて
きた新自由主義的な経済政策が人間の命を守らないし、いざとなれば結局そ
の経済自体をストップすることでしか対応できないことが明らかになったの
ですから。生活に必要不可欠なものを生み出す自国産業は維持する必要があ
るでしょう。
エマニュエル・トッド(歴史家・人口学者)
2020年5月23日 朝日新聞 オピニオンから
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