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■□■□ 2017年6月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1332号 6月29日

■□■□ 2017年6月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1332号 6月29日

        Robert Frank展の魅力を伝えたい
        続々とサロン&トーク&OP 

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1 蝙蝠日記  写真家 Robert Frankの魅力

2 神戸塾 火曜サロン

3 展覧会案内  マキコムズ展

4 トークサロン 平田達哉 自作を語る 

5 今日の言葉  未知の相手にむかって手紙を書く

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1 蝙蝠日記
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ワクワクとみんなで独創的に作るプロジェクトに関わっています。
そのサロンを第327回 神戸塾火曜サロンで開催します。
総合プロデューサー、林寿美さんからのメッセージをどうぞ。

〇〇〇
「Robert Frank: Books and Films, 1947-2017 in Kobe」について
林寿美(インディペンデント・キュレーター)

「面白い企画ですね、関西でもやれたらいいのに」。ほんの軽い気持ちで関
わることになったのが、スイスの写真家ロバート・フランクの展覧会でした。
なぜ面白いかと言えば、そこで展示されるのが美術館などで目にする額縁に
入った写真作品ではなく、ロール状の新聞用紙に刷り出されたイメージだと
いうこと。しかも、展覧会の終了時にそれらはすべて破り捨てられて、美術
市場に流れることはないというのです。金銭的価値を持たない=美的価値を
持たない、ではないということを堂々と示しながら、作品展示としてのクオ
リティを担保するという新しいスタイルの展覧会だと思えました。
 そもそも、この展覧会が生まれるきっかけになったのは、フランクの写真
の価格が高騰し(1点が約8,000万円の値が付くものも)、美術館が作品を所
蔵者から借り出す際の保険料が払えず、かつてのようにロバート・フランク
写真展を行うことがほぼ不可能になってしまったという現状でした。また印
画紙に焼き付けられた写真は、絵画に比べてかなり脆弱で劣化が早く、保存
を考えれば、所蔵する美術館で公開される日数も年にほんの数週間に限られ
てしまいます。優れた写真であればあるほど、人の目に触れる機会を失うと
いうこのジレンマを、フランク自身が憂い、美術書を専門とするドイツの出
版者シュタイデル社のゲルハルト・シュタイデルとともに企画したのが、こ
の展覧会なのです。
「アメリカを広範かつ豊富な写真で記録する」ことを目的にグッゲンハイム
奨励金をもらい、フランクがアメリカ全土へ撮影旅行に出かけたのは、1955
年、31歳の時のことでした。走る車のなかから、あるいはバーのカウンター
に座ってシャッターを切り、市井の人々の暮らしやその土地固有の風景をと
らえた写真は2万8千枚を超え、そのうち83点を収録した写真集『The Americ
ans』は、今も現代写真史における金字塔として知られています。展覧会では
この『The Americans』の収録作品をはじめ、故国スイスからニューヨークへ
移住する際に携えてきたポートフォリオ『40 Photos』、大都市ロンドンとウ
ェールズの炭鉱地区の人々を撮影した『London / Wales』、身近なものや友
人に目を向けた『Partida』など、これまでフランクが手がけてきたイメージ
の数々を一挙に展覧します。さらには『The Americans』で成功を収めた後、
いったん写真を離れて取り組んだ映画の仕事、レイアウトや製本にもこだわ
った写真集もあわせて紹介されます。
 2014年にカナダ、ハリファックスのノバスコシア美術デザイン大学で始ま
ったこの展覧会は、現在、世界50ヶ所を巡回中です。日本では、昨年11月に
東京藝術大学の学生との協働の下、同学の陳列館で開催されました。そして
国内でもうひとつとなる会場は、今年開港150年を迎えた神戸。学生や市民、
地元の企業や団体など、みなさんでともに作り上げる展覧会になるよう、鋭
意準備中です。どうかお楽しみに。

【Robert Frank: Books and Films, 1947-2017】
会期:2017年9月2日(土)〜22日(金)
会場:デザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)

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2 神戸塾 327回 火曜サロン
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「写真家 Robert Frankの魅力とプロジェクトの現代的意味」
7月4日(火)18:30(開場18:00) 
会費¥1000(全額プロジェクトへ寄付いたします)
電話 メール FAX でご予約下さい。
http://gallery-shimada.com/salon/?p=358

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3 展覧会案内
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「マキコムズ展 Face ☆ かお・顔・カオ」  7/1(土)〜7/6(木)
――――――――――――――――――――――――――――――――――
マキコムズは、2014年からカワサキマキとマスダマキコの2人で活動している
ワークショップユニットです。実物大のキリンを子どもたちと描いたり、移
動しながら参加型のパペットシアターをやったり、鳥の帽子をつくったりと、
大人も子どもも面白いことにマキコんじゃおうという気持ちも込めています。

ユニークな展覧会で、みんなとワークショップも あれあれ、見たことある
顔も・・・
http://gallery-shimada.com/?p=4529

7月1日(土)12:00〜ライブペイント、17:00〜オープニングパーティー

――――――――――――――――――――――――――――――――――
武内ヒロクニ展 29日(木) 16:00までです。
――――――――――――――――――――――――――――――――――
お見逃しなく
http://gallery-shimada.com/?p=4487

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4 トークサロン 平田達哉 自作を語る
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トークサロン 平田達哉 自作を語る
聞き手 島田誠
7月2日(日) 15:00 展覧会場にて *無料 *予約不要
http://gallery-shimada.com/?p=4483

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5 今日の言葉
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 この歳になって、何となくわかってきたのは、「書く」といおう行為はど
こにいるか知れぬ未知の相手にむかって手紙を書くということ。わたしにと
ってそれがだれかは今もわからないのだが、かって瞼にえがき探しもとめた
生父もその一人だったのだろう。 
窪島誠一郎「日暮れの記」 あとがきより)

27日(火) 上京
「日暮れの記」の出版をお祝いする会に行ってきました。
上の言葉は「あとがき」からですが、帯に抜き出された言葉でもあります。
私が時折 言ってきた「投瓶通信」と同じ意味ですね。
ここの生父は水上勉さん。

信濃デッサン館 38年 無言館 20年 のお祝いでもありました。
「戦没画学生の絵画展」の最初の展覧会は「50年目の戦場」と言われた阪神
大震災の1995年、海文堂ギャラリーでした。

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■□■□ 2017年6月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1331号 6月23日

■□■□ 2017年6月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1331号 6月23日 
 
            作家とお話しください  

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1 蝙蝠日記   美しき諧調とドキドキ
      
2 展覧会案内  平田達哉展
         武内ヒロクニ展

3 今日の言葉  壊すことばかりが革命ではない
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1 蝙蝠日記
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はじまります。

昨日は二つの展覧会の設営でした。
6名がワクワクしながらの作業。
最近はギャラリー島田Troisも関連させているので、なかなか大変です。

作家はこの日に向けて渾身で準備し、私たちもそれを全力で受けとめます。

その設営風景も、ともにご覧ください。

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2 展覧会案内 
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「平田達哉展」 6/24(土)〜7/5(水)  B1F
――――――――――――――――――――――――――――――――――
とても好きな作家です。
http://gallery-shimada.com/?p=4483
美しくも不思議な空間です。
天井にはゆっくりとなにかが回りつづけ。赤信号のようなものが追尾してい
ます。
どうか作家とお話しください。
空間にもリズムがあり
諧調があり
美があります。
東京から、作家はずっとおられます。
http://gallery-shimada.com/blog/?p=7196

――――――――――――――――――――――――――――――――――
「武内ヒロクニ展」 6/24(土)〜6/29(木)  1F deux
――――――――――――――――――――――――――――――――――
ヒロクニさんにはドキドキする。
島田誠さんに悪態をついたり、眼光鋭く見つめられたり、それだけで小心者
の私はすくんでしまう。描くことが生きること、人生と丸々引き換えと言わ
んばかりの求道者のような創作には、心がザワザワする。真冬の青空のよう
な、突き抜けた明るい色鉛筆の色彩、苦難と呻吟の最奥で見出した色と形の
躍動からは、貧乏ロックバンドの中古レコードを物色して街をぶらついてい
た若い頃の自分を思い出してワクワクする。恐ろしく、切なく、それでいて
晴れやかなヒロクニさんは、とにかく気になる存在なのだ。

服部正(甲南大学文学部准教授)さんが寄せて下さった文です。

http://gallery-shimada.com/?p=4487

ヒロクニさんとは
「糞ったれ」の投げ合いから始まりました。
1900年の海文堂ギャラリーでの初めての展覧会のことです。
拙著「絵に生きる 絵を生きる」をお読みください。

このハチャメチャをこよなく愛しています。

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3 今日の言葉
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調性を壊すことばかりが革命ではない。
日本にいた人たちも、彼らなりの前衛精神で闘っていた。
あの時代の自由さは、今も振り返るたび、とてもいとおしいです。
一柳 慧(作曲家)

(今朝の朝日新聞 30面 語るー人生の贈りもの の最後)

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■□■□ 2017年6月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1330号 6月22日

■□■□ 2017年6月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1330号 6月22日 
 
                テオな人  

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1 蝙蝠日記   生きている時代と向きう
      
2 展覧会案内  平田達哉展
         武内ヒロクニ展

3 今日の言葉  青春を 歳月のなかで組織する
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1 蝙蝠日記
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神戸学院大学で若者と向き合って話しをしました。
演題は「より自由な神戸でありたい――ギャラリー島田の三つの取り組み」
でした。
その前の6月10日に甲南大学で「NPO法人想像文化研究組織」の主催で「現代
アートと<いのち>のテーマでお話しさせていただきました。
それに応答するように坂田晶一さんの「思泳雑記」が、詳細に報告を書いて
下さいました。
「テオ」な人―「生きている時代と向き合う」
http://bibou726-49.jugem.jp/

発言する、書くという行為は「投瓶通信」、すなわち受け手を想像しないの
が基本だと思います。

この「思泳雑記」では、私の20年以上前のことなど、詳細に読み込んでのこ
と。よくぞ、ここまで。

お読みいただければうれしいです。


フランティシェク・ノボトニー 無伴奏ヴァイオリンソナタの夕べ 
素晴らしかったですね。
格調を気魄が空間を満たし、聴き入った人たちの拍手が地鳴りでした。

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2 展覧会案内 
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6月24日(土)から二つの展覧会が始まります


東京からお迎えする
「平田達哉展」 6/24(土)〜7/5(水)
とても好きな作家です。
http://gallery-shimada.com/?p=4483


私に悪態をつく
「武内ヒロクニ展」 6/24(土)〜6/29(木)
http://gallery-shimada.com/?p=4487
このハチャメチャをこよなく愛しています。

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3 今日の言葉
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年をとる
それは青春を
歳月のなかで組織することだ
(ポール・エリュアール)

◆●◆
詳しくは「思泳雑記」をお読みください。
エリュアールのLiberte(自由)が好きで、ここでも最近、紹介しました。
プーランクの合唱曲も大好きです。

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■□■□ 2017年6月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1329号 6月18日

■□■□ 2017年6月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1329号 6月18日

            スマホを銃に持ち替えて

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1 蝙蝠日記   14,000分を背負って
      
2 神戸塾 326回 火曜サロン 無伴奏ヴァイオリンソナタの夕べ No.4
               6月20日(火) ご予約 お急ぎください。

3 Fundraising Concertのお知らせ

4 今日の言葉   紐が緩い間に、それを解かなければならない
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1 蝙蝠日記   14,000分を背負って
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神戸学院大学での「トップランナー特別講義」で話してきました。
「ゆったりと、語りかけるように」と、準備していったのですが、156人も
の学生さんが・・ 90分。
私はこの若者たちの234時間を預かっているのだと想うと、「座って、ゆっ
くり」どころか、立ち上がって熱弁となってしまいました。

演題は「より自由な神戸でありたい――ギャラリー島田の三つの取り組み」

学生さんへの課題(レポート)は
「持続する志(こころざし)」
変転する人生において、これだけは貫きたいと思うこと。そして自分を導い
てくれる人や、本や、アートとの出会いについて語ってください。 

12:45拍手に送られて授業を終え、別室で佐藤雅美学長や関係者のみなさん
と、お弁当をいただいていると、全員の200字ほどの感想文のコピーが届き
驚きました。課題(レポート)は一週間後だそうです。
楽しみですが156名分ですか!
234時間の重み。聴いて下さった若者たちにどこまで、伝わったでしょうか。

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2 神戸塾 326回 火曜サロン
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「フランティシェク・ノボトニー 無伴奏ヴァイオリンソナタの夕べ No.4」
日時:6月20日(火)19:00 (開場18:30)
会費:一般¥3,000 / ASK会員¥2,000

端正にして深い精神性を感じさせるチェコのヴァイオリニスト、フランティ
シェク・ノボトニーさんがバッハの無伴奏ヴァイオリンのためのパルティー
タ ロ短調を中心に、バッハ以前から、近代に至る緊密なプログラムを「ギ
ャラリー島田の精神と空間」を思いながら構成されました。
http://gallery-shimada.com/salon/?p=352

その空間には、まさに絵画の無伴奏といってもいい現代絵画としてのドロー
イング展です。

是非、お運びください。

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3 Fundraising Concertのお知らせ
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コンサートを聴いて「こぶし基金への寄付」を
「フランティシェック・ノボトニー & 伊藤 ルミ デュオ2017」
日時:6月25日(日)14:00開演
会場;神戸市立灘区民ホール
特別価格:¥3,000 
アート・サポート・センター神戸を通じてチケットを購入された方に限り、
財団へのご寄付とすることが出来ます。
(受領書発行のために必ず住所 氏名をお書きください)
伊藤ルミ理事による新しいFundraisingの試みですが、
いままでに¥1,389,400の寄付をいただいています。
http://www.rumi-itoh-pianism.com/concert_j/170625_ko_0509.pdf

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4 今日の言葉
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今なら私たちはまだ物が言える。縛ろうとしている紐が緩い間に、それを解
かなければならない。強く締まってしまえばもはや個人の力で解くことは難
しくなる。
「国外脱出」あるいは「地球脱出」など考えなくてもいいように、縛るもの
を解くのは今のうちだ。

この先に来るのは「憲法改悪」、再び戦争への第一発が撃ち込まれ、後戻り
できない破目になるだろう。スマホ片手の若者も近い将来、スマホの替りに
銃にを持たねばならなくなるのだ。
玉川侑香 「戦前」という風景  文芸日女道 590 巻頭時評から

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■□■□ 2017年6月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1328号 6月16日

■□■□ 2017年6月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1328号 6月16日 
 
            恥ずかしくはないですか  

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1 蝙蝠日記   静かに聞いてみたい
      
2 若い人に伝えたい

3 今日の言葉  自分の感受性くらい 自分で守れ ばかものよ
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1 蝙蝠日記
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このごろ、なかなか眠りに入れません。

読む本にもはいれず。

書斎に入り、ふと手にしたのが「茨木のり子の家」(2010年:平凡社)でした。

電話ひとつだって
おそるべき文明の利器で
ありがたがっているうちに
盗聴も自由とか
便利なものはたいてい不快な副作用をともなう
川のまんなかに小舟を浮かべ
江戸時代のように密談しなければならない日がくるかも

「時代おくれ」の一節 「倚りかからず」(1999年)から


政治家という人に
官僚という人に
メディアの皆さんに
教育に携わる人に
宗教に関わる人に
とりわけ宗教と政治の両方に関わる人に
文化や芸術に関わる人に

心が痛くないですか

そして「清冽」(後藤正治)さんの
凛としたたたずまい を読み返していました。

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2 若い人に伝えたい 
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今日は、神戸学院大学で150名の学生さんにお話しをさせていただきます。
こうした思いを込めて、ゆっくりと話し、応答をしたいと思います。

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3 今日の言葉
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「国家はすべての冷酷な怪物のうち、もっとも冷酷なものとおもわれる。
それは冷たい顔で欺く。 欺瞞はその口から這い出る」
金子光晴の長編詩「寂しさの歌」の序文から。昭和20.5.5 端午の日。
すなわち、終戦の三ヵ月前。
「清冽」(後藤正治)P176 から

「自分の感受性くらい」
ばさばさに乾いてゆく心を
ひとのせいにはするな
みずから水やりを怠っておいて

気難かしくなってきたのを
友人のせいにするな
しなやかさを失ったのはどちらなのか

苛立つのを
近親のせいにはするな
なにもかも下手だったのはわたくし

初心消えかかるのを
暮らしのせいにはするな
そもそもが ひよわな志にすぎなかった

駄目なことの一切を
時代のせいにはするな
わずかに光る尊厳の放棄

自分の感受性くらい
自分で守れ
ばかものよ
            茨木のり子

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■□■□ 2017年6月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1327号 6月10日

■□■□ 2017年6月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1327号 6月10日 
 
           次はどこへ? 精神科ですね  

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1 蝙蝠日記  
      
2 展覧会案内
  「ギャラリー島田コレクション 現代美術家たちのドローイング 」
  「里井純子展」

3 今日の言葉
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1 蝙蝠日記
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音楽が歪んで聴こえる。
何ということだ。
いろいろ検査を受けた。
最後は脳神経科でMRIを。
1989年7月27日、脳脊髄の手術を受けた。
幸い再びの命をいただいた。
その恩人の先生を訪ねた。
先生は満面の笑みで「島田さん、脳はとてもきれいですよ」

では、次はどこで検査をうけましょうか? と聞く。

「精神科ですね」
これは冗談。
でも、いまの日本の状況はあまりに異常で、気が変になりそうです。
そう思いませんか?

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2 展覧会案内 
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「ギャラリー島田コレクション 現代美術家たちのドローイング 」
6/10(土)〜6/21(水) B1F
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ギャラリー島田コレクションによる、奥田善巳を中心とした現代美術家たち
のドローイング展です。
重要な作品が並びました。
http://gallery-shimada.com/?p=4500

緊張感のある、そして端正な空間です。
奥田さんは初めてご覧いただく初期のドローイングも。
1968、1973、1974、1977などのペン、墨、コラージュ、油彩などのドローイ
ング。
松谷武判、元永定正、黄鋭、堀尾貞治、上村亮太、梅田恭子などの印象的な
作品が・・

スタッフブログから
http://gallery-shimada.com/blog/?p=7168
貴重なアーカイブでもあります。

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「里井純子展」6/10(土)〜6/21(水) 1F deux
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2012年の初個展から5年ぶりの個展です。前回のオイルパステルで塗りこめら
れた花の連作は、華麗とは遠い陰影を宿し、ひたむきに押し殺した声を発し
ているように見えた。
そして今回。
「あそびましょ」は無邪気ではない。囁くこえが空、地、森、海、人々へと
木霊し、次第に宇宙へと美しくもまた哀切に交響する。

会場風景です。
http://gallery-shimada.com/?p=4480

展示作業風景から
http://gallery-shimada.com/blog/

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3 今日の言葉
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絵画を今の美術(コンテンポラリー)に位置づけるとするならば、自分と他
者を分けて世界をみようとする固定的な視線への拒否、つまりは「わかりに
くさ」、そして映像的ではない「それがここにある」生々しさ、過去でも未
来でもなく、「今ここにそれを見る」という生々しさが意味を持ってくると
思われる。(中井浩史) 
ギャラリー 301 中井浩史展 資料から  6月11日まで
http://www.gallery301.jp/

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■□■□ 2017年6月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1326号 6月7日

■□■□ 2017年6月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1326号 6月7日 
 
          フルートコンクールと金昌国さん  

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1 蝙蝠日記  神戸国際フルートコンクールと金昌国さん

2 フランティシェク・ノボトニー 無伴奏ヴァイオリンソナタの夕べ No.4

3 今日の言葉
   大バッハが人生の最期に、このような曲を書いた気持ちがよくわかる
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●訂正とお詫び●
前号の、川西英に「交響樂」という色彩デッサンが残されていてそれはカン
ディンスキーの「印象派(コンサート)」(1991年)の引き写しに見える。
この1991は1911年の間違いでした。

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1 蝙蝠日記  酩酊するフルート
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第9回神戸国際フルートコンクールが、かってない活況のうちに終了しまし
た。一時は中止を発表された中で、劇的に当初の「フルートの街・神戸」ら
しく蘇ったことに関わったみなさまに心から敬意を表します。

第8回まで実行委員長だった金昌国さんは神戸高校の同級で、一時、同じ吹
奏楽部にいて卒業演奏会(神戸国際会館)で、ともにソロの舞台に。私は独
唱でしたが。

その金さんから電話があり、久しぶりに会いました。
二人とも「杖」をついて。

酩酊するフルート
ALL-STAR FLUTE GALA(審査員コンサート)を聴きました。
ところが美しく輝きわたるフルートの音色が酩酊したように不安定に揺れる
のです。
体調のせいなのです。早く整えなければ。

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2 サロンのご案内 
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神戸塾 326回 火曜サロン
フランティシェク・ノボトニー 無伴奏ヴァイオリンソナタの夕べ No.4
日時:6月20日(火)19:00 (開場18:30)
会費:一般¥3,000 / ASK会員¥2,000
予約お急ぎ下さい。

端正にして深い精神性を感じさせるチェコのヴァイオリニスト、フランティ
シェク・ノボトニーを迎えての無伴奏ヴァイオリンソナタの夕べも4回目とな
りました。
バッハのパルティータ ロ短調を中心としたプログラムです。
詳細は下記でお読みください。
http://gallery-shimada.com/salon/?p=352

フラントの言葉です。
ソロのプログラムについて考えるときはいつも、ギャラリー島田の精神と空
間を思います。
伝統的なクラシックの作曲家の中から、ほんの少しモダンさを感じさせる音
楽を選びました。

会場は「現代作家たちのドローイング展」です。
まさに美術と音楽の無伴奏の競演、共演となります。

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3 今日の言葉
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「昨年の夏でしたか、眠れない夜があり、ハノーヴァーの自宅の地下室でフ
ーガの技法のスコアを引っぱり出し、拙いピアノを奏いてみたのですが、ふ
るえるような感動をおぼえました。大バッハが人生の最期に、このような曲
を書いた気持ちがよくわかるような気がしました。フーガの技法を何回か漠
然と聴いたことはあったのですが・・・」
金さんが立ち上げた「東京バッハアカデミー」の旗揚げコンサート(1981年
7月8日/大阪府立労働センター)のプログラムから。36年前のことです。
金さんと会うことになった朝、全く偶然に書棚の本の隙間に「読書アラカル
テ1981・8月」(海文堂書店)を見つけたのでした。

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■□■□ 2017年6月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1325号 6月3日

■□■□ 2017年6月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1325号 6月3日 
 
              未知との遭遇  

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1 蝙蝠日記   『抽象の力』

2 展覧会案内  根木悟展    今日から
         松岡美子展   お見逃しなく
3 今日の言葉
大きな展開=先行世代からの断絶は漱石の存在なしには説明できない。
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1 蝙蝠日記   抽象の力
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川西英に「交響樂」という色彩デッサンが残されていてそれはカンディンス
キーの「印象派(コンサート)」(1991年)の引き写しに見える。二十歳を
出たばかりの大正3年(1915年)、湊川神社近くの相生橋西詰にあったカフェ
・ブラジルでの川西の初個展だった。
カンディンスキーは調性音楽を脱し、無調による十二音技法を創始したアー
ノルド・シェーンベルグの音楽との出会いにより20世紀近代絵画において決
定的な一歩を踏み出す抽象絵画への扉を開けたといわれる。そしてその後、
純粋抽象としての「コンポジション」が生み出されていく。では川西は世界
的にもまだ未知といってもいい前衛芸術を知り、また描いたのだろうか。

6月11日まで豊田市美術館で開催されている岡崎乾二郎の認識―『抽象の力
―現実(concrete)展開する、抽象芸術の系譜』(豊田市美術館)は、川西
英を通じて考えてきた
日本の抽象画の嚆矢である恩地孝四郎との交流などを一気に世界同時軸で読
み解いていて
かつ、画家ではなく夏目漱石の論考が文学のみならず美術の世界においても
革新をもたらしたことを知り、心底、興奮した。

川西英は竹久夢二との深い交流に鍵があり、1920年代の抽象主義とか表現主
義といった「前衛」芸術の動きに強い関心を持っていて、カンディンスキー
が所属していたドイツの芸術グループ「青騎士」が出した唯一の芸術雑誌も
持っていた。近くに住む竹久夢二に感化されてカンディンスキーを知り、そ
の影響によって抽象表現へと向かった恩地孝四郎(創作版画)もまた川西に
未発表の試し刷りを送り、版画家としての高次な意見を求めたり、作品を交
換するなど深く交流している。
1921年欧州大戦後のベルリンでダダイズムや構成主義に触れ、帰国後 前衛
芸術集団「マヴォMAVO」を結成、わが国の1920年代「前衛」活動の中心人物
であった村山知義の貴重なリノカット(lino-cut)の作品も川西のコレクショ
ンにある。
この「マヴォMAVO」も豊田展で触れられている。

私の川西英を巡る文は「KAWANISHI DESIGN WORKS -川西英が手がけたデザイ
ンの仕事」(シーズ・プランニング・神戸市広報課)に「井のなかの蛙が見
上げたもの」(P38)として書いたものから引いています。

Gallery INFORMATION 7月号では『抽象の力』展への季村敏夫(詩人)の論
考を掲載いたします。

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2 展覧会案内 
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根木悟展  今日から  6月8日まで
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これは1つの、抽象絵画の理想だと思う。「さらに加えれば、たった一本の
描かれた線が、あらゆる社会的 ーー 道徳的な意識をもった芸術にもまして、
より人類のためになり、魂を高揚させ、人間の心にひびき、人間を変革させ
ることができるのだ。純粋なただの形、色、調子、動きの中に、滲み出る魂
の美しさがある。人間はいつもそれを知っているのだが、つい忘れ、また思
い出す。」リトアニアの映画監督ジョナス・メカスの言葉である。そんな絵
が描けたらと、いつも考えている。
(根木悟)

美しい展示になりました。上の言葉を心に留めながら根木さんの世界をお楽
しみ下さい。
http://gallery-shimada.com/?p=4447

美しい光を孕んだ空間ですね。
http://gallery-shimada.com/blog/

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3 今日の言葉
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1903年にロンドンから帰国し、数年後には発表されはじめた夏目漱石の仕事
は、若い芸術家たちの芸術理解を大きく変更するほどの影響力を持った。漱
石の理論に触れた第一世代である津田青楓、坂本繁二郎、青木繁という世代
が示した大きな展開=先行世代からの断絶は漱石の存在なしには説明できな
い。そのなかでも漱石の理論にもっとも本質的な影響を受けたと思われるの
は熊谷守一である。
(『抽象の力』展より)

◆●◆蝙蝠から
私の守一は「独楽」(藤森武)の飄々たる世界でした。
そこに至る道は「未知」との遭遇でした。

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