■□■□ 2017年5月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1321号 5月20日
奇想の系譜
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1 蝙蝠日記
2 展覧会案内 三瓶初美展 20日から
高野卯港展 24日まで
3 今日の言葉 自由(リベルテ)
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1 蝙蝠日記 奇想の系譜
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20日(土)から兵庫県立美術館で「ベルギー 奇想の系譜展」が始まります。
一足早く、ゆっくりと見てきました。
http://www.artm.pref.hyogo.jp/
ヒエロニムス・ボス、ブリューゲル、マグリット、アンソールなど好きな作
家がずらり。
ボス、ブリューゲルは海外の多くの美術館で見てきました。
私の最初のエッセイ集「不愛想な蝙蝠」(1993)の最初が、スペインへの旅
でその書き出しが、プラド美術館。その2行目にはボッスの「快楽の園」と
ブリューゲルなのですから年季が入っています。
スペインには三度、ベルギーにも一度行っています。
ここでは、その大好きな作家、毛色の変わったパナマレンコ
に触れておきましょう。(カタログP132,133)
飛行物体を作品に引用するので「パンアメリカン航空」から名前がついてい
るそうですが、そういえば姫路市立美術館でぶら下がっている巨大な作品を
みました。多分、学芸員の方も誰も知らないエピソードを。
パナマレンコの若き日、私が繰り返し紹介してきたスェーデン在住の中島由
夫さんと一緒に暮らしていたことがあるのです。
1965年のことです。その写真もあるのです。
KAIBUNDO GALLERY が出版した「YOSHIO NAKAJIMA DOCUMENT 1940-1994」
(1994)に収めています。
そしてこのDOCUMENTを編集したのが、当時のギャラリースタッフ佐野玉緒さん、
すなわち、花方の珠寶さんなのです。。
今や、国際的に研究も進んでいる、中島由夫ですが、その基礎がこのDOCUMENT
にあるのです。
ギャラリー島田でご覧いただけるようにします。
中島由夫については下記で
http://www.yoshionakajima.net/
ギャラリー島田での中島由夫展は、今年 10月28日―11月8日 です。
◎ご招待情報
兵庫県立美術館「ベルギー 奇想の系譜展」10名様
FAX Mailにて受付いたします。
お名前、枚数、お電話番号をお知らせいただ後、ご来廊ください。
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2 展覧会案内
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三瓶初美展 風は約束にも思える 5/20(土)〜25(水) 1F deux
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2年ぶり、三度目の個展です。
あの時、あの場、あの風だった。立ち竦み、誘われ、見えないものが「内」
「外」を浸し、滲みだすような記憶が懐かしさと少しの哀しみをない交ぜに
しだ軌跡を遺す。
風は詩だった。詩は濃藍色を基調に白、墨、鼠などの豊かなニュアンスとな
り絵となり、心を震わせて通り抜けていく。
風のゆくへを見送る私もまた私の「あの」を抱いて佇みます。
誰が風をみたでしょう ぼくもあなたも見やしない
けれど木の葉を震わせて風は通り抜けていく
http://gallery-shimada.com/?p=4412
展示作業から、スタッフブログです。
http://gallery-shimada.com/blog/?p=7136
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高野卯港展 哀しみを抱いて 24(水)まで B1F
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洲之内徹に愛された卯港さん。
やはり豊かな情感を感じさせ、いいですね。
初めての方も是非・・・
http://gallery-shimada.com/?p=4409
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3 今日の言葉
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としをとる
それは おのが青春を
歳月のなかで 組織することだ
(エリュアール)
エリュアールはどんな失望の中にあっても真正面から「生きぬく希望」を書
きつづけた。
(石橋毅史 「本屋な日々」No.62 から)
◆●◆蝙蝠から
自由が制限され抑圧される危険な状態に直面しています。
「加川広重巨大絵画が繋ぐ東北と神戸2014」(KIITO)でアカペラ合唱団
「タローシンガーズ」にポール・エリュアールの詩、プーランクが作曲した
名曲「リベルテ」を歌ってもらい、感動しました。
小学校のノートに
僕の机に、木々に
砂に、雪に
僕は書く 君の名を
読んだすべてページに
白いすべてのページに
石に、血に、紙に、灰に
僕は書く 君の名を
金ぴかの肖像に
戦士の武器に
王様の冠に
僕は書く 君の名を
ジャングルに、砂漠に
獣や鳥の巣に、エニシダに
子供時代の木霊に
僕は書く 君の名を
夜の素晴らしい時に
昼の白いパンに
婚約した季節に
僕は書く 君の名を
僕の青空の切れ端すべてに
カビた太陽の池に
輝く月の湖に
僕は書く 君の名を
野に、地平線に
鳥たちの翼に
さらに影の風車に
僕は書く 君の名を
夜明けの 吹きつける風に
海に 船に
そびえ立つ山に
僕は書く 君の名を
雲たちの泡に
嵐の汗に
降りしきる退屈な雨に
僕は書く 君の名を
きらめく形象に
色とりどりの鐘に
自然の真理に
僕は書く 君の名を
目覚めた小道に
広がった道路に
あふれる広場に
僕は書く 君の名を
ともる灯りに
消える灯りに
集まった僕の家々に
僕は書く 君の名を
ふたつに切られた
鏡の中と、僕の部屋の果物に
空っぽの貝殻の僕のベッドに
僕は書く 君の名を
食いしん坊で大人しい僕の犬に
その立てた耳に
そのぎこちない前足に
僕は書く 君の名を
ぼくの戸口の踏み台に
慣れ親しんだ物に
祝福された炎の波に
僕は書く 君の名を
同意した全ての肉体に
友だちの額に
差しのべられた手それぞれに
僕は書く 君の名を
驚きのガラスに
沈黙よりはるかに
慎み深い唇に
僕は書く 君の名を
破壊されたぼくの隠れ家に
崩れ落ちたぼくの灯台に
ぼくの倦怠の壁に
僕は書く 君の名を
希望のない不在に
裸の孤独に
死の歩みに
僕は書く 君の名を
よみがえった健康に
消え去った危機に
記憶のない希望に
僕は書く 君の名を
そして、ただひとつの言葉の力を借りて
僕はまた人生を始める
僕は生まれた
君を知るために
君を名づけるために
自由(リベルテ)と。
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