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■□■□ 2017年5月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1324号 5月29日

■□■□ 2017年5月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1324号 5月29日

             現代アートと<いのち>

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1 蝙蝠日記  私がアートと関わるということ

2 今日の言葉
誰でもない自分でいること、それは人間にとって最も過酷な戦いを挑むこと

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1 蝙蝠日記  生きる実感の共有
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長くアートに関わってきました。
私にとってはアートは、どんな意味を持っているのか?
どのような思いでアーティストとつながり、今を生きること、
すなわち「現代」と、そして<いのち>と繋がっているのでしょう。

そんなテーマでお話しをする機会をいただきました。

榎 忠さんの仕事と生き方を考えながら
私の仕事と生き方をお話ししたいと思います。

昨年に続いての機会をいただきました。
ありがたい、そしてうれしいことです。

現代とは、まさに直面している今のことです。

皆さんとのやり取りも楽しみにしています。

◇ 想像文化研究組織 新カレッジ ICI ◇
  現代アートと<いのち>
お話:島田 誠
6月10日(土) 14:00−16:00
場所: 甲南大学 10 号館 1 階 1013 教室
受講料: 800 円(3講座一括 2000 円)
定員: 40 名です。ご予約お急ぎください。
(定員になり次第締め切ります)

>>ご予約はICI事務局へ
メール ici.uemura2010@gmail.com
電話  080-8946−5171
詳細は http://ici.webcrow.jp/

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2 今日の言葉
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「常にあなたを他の誰かのようにしようとする世の中で他の誰でもない自分
でいること、それは人間にとって最も過酷な戦いを挑むことを意味する。戦
いを諦めてはならない。」
川久保玲(コムデギャルソン)

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■□■□ 2017年5月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1323号 5月28日

■□■□ 2017年5月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1323号 5月28日 
 
              衝撃を受けて興奮  

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1 蝙蝠日記   導かれるように
2 展覧会案内  充実の空間  二つ
         松岡美子展
         花井正子展
3 今日の言葉  
 今という悪夢へとむかう時においてすら「他人事」でおられるということ。
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1 蝙蝠日記   抽象の力
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ほとんど毎夜のごとくうなされるように眠りが中断される。
それは現今の状況への怒りが内向してのことのように思える。

心配され、もっと気楽にどうぞ。と、様々に誘われる。
でも、時間が出来れば、いきたかったけどいけなかったところを目指す。

26日(金)
季村敏夫(詩人)に誘われるように豊田市美術館(愛知県)を訪ねた。
そこでやっていた東山魁夷展にはめもくれず
特別常設企画展示 岡崎乾二郎の認識―「抽象の力」 
現実concrete展開する、抽象芸術の系譜
を時を忘れて見入りました。
そうか! と唸りながら。

これは、ともかく凄い!!
http://www.museum.toyota.aichi.jp/home.php

いま、詳しく触れることはできませんが、6月11日までです。

旅の友は十川信介「夏目漱石」(岩波新書)だったのですが、
会場でいきなり漱石と出会い、ど肝を抜かれた。

 日本の近代文学を基礎づけたことで知られる文豪、夏目漱石(1867-1916)
 はロジャー・ フライ (1866-1934)よりわずか2ヶ月遅れ1867年2月に生ま
 れている。漱石の功績は20世 紀以降の芸術を支配するモダニズムとよばれ
 る一連の問題群をその基礎から構造的 に把握し、批評、実作によって実践
 的に示したことにある。漱石によってモダニズム芸 術の思想は世界同時性
 をもって日本に着床する。(図録P4)

表現世界をある時で輪切りにして様々に起こったことが作品体験とともに。

漱石が「草枕」(1906)で、やがて抽象画と呼ばれるもの が出現することを、
すでにはっきり予告していた。

グレン・グールドの死の枕に「草枕」がおかれていたことも思い出します。

時間を忘れました。このことはまた書きます。

岡崎乾二郎さん、ありがとう。

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2 展覧会案内 
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――――――――――――――――――――――――――――――――――
松岡美子展  構築的で堅牢
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然りながら繊細で複雑な陶磁肌のごときマチエール。
真摯な追及の到達点を是非、ご覧ください。

会場風景です。
http://gallery-shimada.com/?p=4444

――――――――――――――――――――――――――――――――――
花井正子展 虚(キョ)
――――――――――――――――――――――――――――――――――
花井正子の強い思い
追い詰め、切り落とし、削り、磨き、ギリギリまで。
あろうことか、展示も延べ3日をかけた。

その思いが強度をもって伝わる。
会場風景です。
http://gallery-shimada.com/?p=4415
実は、これからさらに展示替えされているのです。

そこまでの強い想いを孕んだ作品空間とお出会い下さい。

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3 今日の言葉
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「国民は主権者ではない」ということの方が多くの日本人にとってはリアル
だということである。
戦後生まれの日本人は生まれてから一度も「主権者」であったことがない。
家庭でも、学校でも、部活でも、就職先でも、社会改革を目指す組織におい
てさえ、常に上意下達の非民主的組織の中にいた。
(内田樹 信濃毎日新聞 5月24日をはじめ、様々に語られていることば。)

◆●◆蝙蝠から
それが今という悪夢へとむかう時においてすら「他人事」でおられるという
こと。

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■□■□ 2017年5月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1322号 5月26日

■□■□ 2017年5月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1322号 5月26日 
 
              力を尽くして  

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1 蝙蝠日記  
 
2 展覧会案内   松岡美子展 27日から
          花井正子展 27日から  
          
3 今日の言葉 
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1 蝙蝠日記  やること 受け止めること
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高野卯港展、三瓶初美展が終わりました。
高野展では京子夫人が播磨町から三瓶さんは東京から終日、滞在されました。
そこに至るまでにもここの空間や宿るものを感じるために何度も打ち合わせ
を。

27日からの二人の作家、松岡さんは奈良から、花井さんは名古屋から、なん
ども運ばれてきての展覧会です。

日々、私たちもまた、それにふさわしい場であるべく努力を重ねます。

働きすぎ、もっと息を抜いて、齢を考えて・・・
なかには「そんなに儲けてどうするの?」と場違いな感想をいう人も・・

作家の皆さんの「気」がひたひたと迫って来るのをギャラリー 全体として
しっかり受け止めるために気を抜ける時がないのです。

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2 展覧会案内   是非、見ていただきたい二つの展覧会
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――――――――――――――――――――――――――――――――――
松岡美子展  27日(土)から
――――――――――――――――――――――――――――――――――
2009年、2012年に続く5年ぶりの個展です。
数多くの作品を見てきましたが、今回の展示を終えて、小品、組作品、大作
で構成された空間全体がまたゆるぎなく構成され、松岡美子の到達点を示し
ています。

その世界については下記をお読みください。
http://gallery-shimada.com/?p=4444
まだ完成した会場風景はご覧いただけませんが、どう空間を構成していくか
試行中のスタッフです。
http://gallery-shimada.com/blog/?p=7143

――――――――――――――――――――――――――――――――――
花井正子展 虚(キョ) 27日(土)から
――――――――――――――――――――――――――――――――――
なにもかも うつろい かわる・・・風景の曠野
ニンゲンの意図などには 関わりなくある  
圧倒的な あっけらかんとした風景  
到底   辿り着けない青 を・・・あかるい虚無・・・と
狭めることは 深めることでもある・・・  ポッと 灯だけ が のこる  
バリエーションでなく 一点完結に  なっています  冒険です
おおらかで  優しくて  そして 穏やか  
これは punk で 過激なこと(或人から)

花井正子

花井はイラストレータとしては大きな仕事をしてきたが2015年に「画家宣言」。
虚(キョ)を謳ってきた。しかし、その虚は「うつろ」ではない、全てをそぎ
落としでなお残る「核」と言ってもいい。
うつくしいではないか。
http://gallery-shimada.com/?p=4415
展示も未完である。

Punkな虚
面白い。
横溢する虚
展示作業途上の風景。
横溢する虚
http://gallery-shimada.com/blog/?p=7151

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3 今日の言葉
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虚(キョ) 言葉景

力 抜いて 危うきに あそぶ
ビロードの 華やぎ

おおきな愛 風は歌

背負われながら まぶたが オチた こども
とぉい とぉい・・・雷鳴
無限の胎内に 身をゆだね

鼻腔に沁みた ハッカのにおい
中央アジアの 大陸からの

この野原
吹きまくる風と
葉ウラを かえす木
冷たい熱
たぶん 知っている
コレハ deja-vu

はるか 西に 行こうとして
ぼんやり 
大地の 静寂を おもう

とおくの みどりの 山肌は
風のゆらぎに 
濃淡を ゆらし

東から西へ またたくあいだに 色をかえる
のびやかで 活発な
大地のふところ

圧倒的な しあわせに
ふいに 笑いが こみあげる

空と 風
ほかに 何が 必要だろうか
H砂丘

浮世離れ な
花の艶
(すべて知る あるいは 知らない)
痴の 光沢
華奢な 華やぎ

空が あんまり トルコ石色に 光れば
かえって昏く ガランとして
白いザクロが 割れた瞬間
平野も 顔色も 少し 青い
水の底で 少し 眠ろうと おもう

神聖な場所 
風の音にぞ おどろかれぬる
(なんともいえない 可笑しさに)

そらのはてに たちあがる すずしい幻想を夢みつつ
サイの目が 西と でたので 今日より明日は
K台地

さっきから 風景が とまったままなので
おもいは 放物線を 描いて ひろがる
悠久への 狂おしい 憧れ
T高原

浮世離れ

胸が熱くて 異国で deja-vu で
色ガラスの イメィジ

カラスウリの 熱の色
deja-vu 遠い 血の色
不意に 瞼が 熱く

午睡から醒める 恍惚
遠くでうねる 太鼓の 乱打の 抑揚
アニスが のみたい

南の海流と うるんだ積乱雲を なつかしみ
すこし 眠ろうと おもう

ひとつぶの
枇杷の
これほどの 優雅
はるかな 大陸の
おおらかな イエロウ

まるめろ
まるめろ
カリンの なつかしい 耳障り
あてなしの 自由
空の ひろさ

花の底の無心 浮遊の暗示
光沢(つや)消しの
光を孕む ノスタルジア
腔中に 満つる
水菓子の キオク
酸っぱく 甘い
恍惚の パラノイア
酸桃・・・

天の楽人たちが鳴らす 鼓や管が
きこえた気がした
宙に浮かぶ あまい桃の 至福

遠くに静かな 花火 水晶の火の玉
電熱の 灯り あびつつ
あわてて目を 反らし

楽士たちの 不意の 饗応
弦や 鉦や 鼓や 管や
セクシィで ヒュウモラスな
serenata
アニスが おいしい

一杯 一杯 又一杯
李白の ユゥトピア
このごろの うつろな 夢心地 は

冷たい 火照りの 蛍光に
ゆらぎ出る 翡翠の 果実
つきはなして なつかしい
根の 涼しさ

風も光も まばゆい土手の
白磁の雲を 眺めたら
からだは
リンネルを 懐かしむ

こんな明け方
どこまでも 白い道が つづくのは・・・

氷西瓜を 歯で味わって
れから まったり 
午睡に おちる
氷河の軋む
音の夢
(八月白昼 厭世的な 恍惚)

すべて忘れるほどの 赤

宇宙塵の 澱の底
ふわふわただよう
あかるい虚無
柘榴石に 似た
無花果の 赤

とろりとした空気の ながれ
ほろにがく ぬくい感情が からだに おこる
すべてを 肯定的に ながめる自分が いる
N砂丘

なつかしい 彼岸・・・
熱に浮かされたような 此岸・・・
K川

遠くに静かな花火
水晶の火の玉
よわよわしい光
あいまいで おだやかな
あてのない 行き先

弦の音に ちょっとふるえた だけのこと?
ただよう水晶の色を 捕まえられない だけのこと?
青紫のパラフィンが 世界に満ちる

あいたい

かすかに ぱちんと 聞こえたの は
芽吹きの 音
それから ゆらゆら 空に 風

El cielo azule
あおいあおい 空
海の向こう たちあがる
涼しい幻想を 夢みつつ・・・

水晶の 
雨の
透明な
夢うつつの
おと・・

遠い花火
無窮のかなた
過ぎていく甘さ
やさしい苦さ
まどろみ・・・
夏の おわりの 印象

滲むのは
モナドの粒子
電熱の灯り
つつむのは
溶解する
月光の慈愛
光の艶

冷たい炎が 溶け出すように
ピンクが ながれた
風景が 露の玉を
含んで 滲む
ほの暗い ユウウツに そこだけが
夢のような
ハスの 風格

紫紺色というのか
青の勝ったむらさきの
水際に群生するのは
かきつばた
たまゆらの
うつつの ゆらぎ
光こぼれる 5月

ニンゲンの なつかしさとは なに?
とおり雨は 
あたたかく 品位のある 母親を 思わせる
T川土手

心が疼く edgeの 風景
T川土手

うるんだ風で 
にわかに まわりが ひかりだす

注)島田より
上記は花井正子展で作品とともに提示される予定です。
ここでは改行などは原文とうりではないことをお許し下さい。

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■□■□ 2017年5月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1321号 5月20日

■□■□ 2017年5月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1321号 5月20日 
 
              奇想の系譜  

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1 蝙蝠日記
 
2 展覧会案内   三瓶初美展 20日から
          高野卯港展 24日まで  

3 今日の言葉   自由(リベルテ)

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1  蝙蝠日記  奇想の系譜
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20日(土)から兵庫県立美術館で「ベルギー 奇想の系譜展」が始まります。
一足早く、ゆっくりと見てきました。
http://www.artm.pref.hyogo.jp/

ヒエロニムス・ボス、ブリューゲル、マグリット、アンソールなど好きな作
家がずらり。
ボス、ブリューゲルは海外の多くの美術館で見てきました。
私の最初のエッセイ集「不愛想な蝙蝠」(1993)の最初が、スペインへの旅
でその書き出しが、プラド美術館。その2行目にはボッスの「快楽の園」と
ブリューゲルなのですから年季が入っています。
スペインには三度、ベルギーにも一度行っています。

ここでは、その大好きな作家、毛色の変わったパナマレンコ
に触れておきましょう。(カタログP132,133)
飛行物体を作品に引用するので「パンアメリカン航空」から名前がついてい
るそうですが、そういえば姫路市立美術館でぶら下がっている巨大な作品を
みました。多分、学芸員の方も誰も知らないエピソードを。

パナマレンコの若き日、私が繰り返し紹介してきたスェーデン在住の中島由
夫さんと一緒に暮らしていたことがあるのです。
1965年のことです。その写真もあるのです。
KAIBUNDO GALLERY が出版した「YOSHIO NAKAJIMA DOCUMENT 1940-1994」
(1994)に収めています。

そしてこのDOCUMENTを編集したのが、当時のギャラリースタッフ佐野玉緒さん、
すなわち、花方の珠寶さんなのです。。

今や、国際的に研究も進んでいる、中島由夫ですが、その基礎がこのDOCUMENT
にあるのです。

ギャラリー島田でご覧いただけるようにします。

中島由夫については下記で
http://www.yoshionakajima.net/

ギャラリー島田での中島由夫展は、今年 10月28日―11月8日 です。

◎ご招待情報
兵庫県立美術館「ベルギー 奇想の系譜展」10名様
FAX Mailにて受付いたします。
お名前、枚数、お電話番号をお知らせいただ後、ご来廊ください。

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2 展覧会案内
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――――――――――――――――――――――――――――――――――
三瓶初美展  風は約束にも思える   5/20(土)〜25(水) 1F deux
――――――――――――――――――――――――――――――――――
2年ぶり、三度目の個展です。

あの時、あの場、あの風だった。立ち竦み、誘われ、見えないものが「内」
「外」を浸し、滲みだすような記憶が懐かしさと少しの哀しみをない交ぜに
しだ軌跡を遺す。

風は詩だった。詩は濃藍色を基調に白、墨、鼠などの豊かなニュアンスとな
り絵となり、心を震わせて通り抜けていく。
風のゆくへを見送る私もまた私の「あの」を抱いて佇みます。

誰が風をみたでしょう ぼくもあなたも見やしない
けれど木の葉を震わせて風は通り抜けていく

http://gallery-shimada.com/?p=4412

展示作業から、スタッフブログです。
http://gallery-shimada.com/blog/?p=7136

――――――――――――――――――――――――――――――――――
高野卯港展 哀しみを抱いて   24(水)まで B1F
――――――――――――――――――――――――――――――――――
洲之内徹に愛された卯港さん。
やはり豊かな情感を感じさせ、いいですね。
初めての方も是非・・・
http://gallery-shimada.com/?p=4409

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3 今日の言葉
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としをとる
それは おのが青春を
歳月のなかで 組織することだ
(エリュアール)

エリュアールはどんな失望の中にあっても真正面から「生きぬく希望」を書
きつづけた。
(石橋毅史 「本屋な日々」No.62 から)

◆●◆蝙蝠から
自由が制限され抑圧される危険な状態に直面しています。
「加川広重巨大絵画が繋ぐ東北と神戸2014」(KIITO)でアカペラ合唱団
「タローシンガーズ」にポール・エリュアールの詩、プーランクが作曲した
名曲「リベルテ」を歌ってもらい、感動しました。

小学校のノートに
僕の机に、木々に
砂に、雪に
僕は書く 君の名を

読んだすべてページに
白いすべてのページに
石に、血に、紙に、灰に
僕は書く 君の名を

金ぴかの肖像に
戦士の武器に
王様の冠に
僕は書く 君の名を

ジャングルに、砂漠に
獣や鳥の巣に、エニシダに
子供時代の木霊に
僕は書く 君の名を

夜の素晴らしい時に
昼の白いパンに
婚約した季節に
僕は書く 君の名を

僕の青空の切れ端すべてに
カビた太陽の池に
輝く月の湖に
僕は書く 君の名を

野に、地平線に
鳥たちの翼に
さらに影の風車に
僕は書く 君の名を

夜明けの 吹きつける風に
海に 船に
そびえ立つ山に
僕は書く 君の名を

雲たちの泡に
嵐の汗に
降りしきる退屈な雨に
僕は書く 君の名を

きらめく形象に
色とりどりの鐘に
自然の真理に
僕は書く 君の名を

目覚めた小道に
広がった道路に
あふれる広場に
僕は書く 君の名を

ともる灯りに
消える灯りに
集まった僕の家々に
僕は書く 君の名を

ふたつに切られた
鏡の中と、僕の部屋の果物に
空っぽの貝殻の僕のベッドに
僕は書く 君の名を

食いしん坊で大人しい僕の犬に
その立てた耳に
そのぎこちない前足に
僕は書く 君の名を

ぼくの戸口の踏み台に
慣れ親しんだ物に
祝福された炎の波に
僕は書く 君の名を

同意した全ての肉体に
友だちの額に
差しのべられた手それぞれに
僕は書く 君の名を

驚きのガラスに
沈黙よりはるかに
慎み深い唇に
僕は書く 君の名を

破壊されたぼくの隠れ家に
崩れ落ちたぼくの灯台に
ぼくの倦怠の壁に
僕は書く 君の名を

希望のない不在に
裸の孤独に
死の歩みに
僕は書く 君の名を

よみがえった健康に
消え去った危機に
記憶のない希望に
僕は書く 君の名を

そして、ただひとつの言葉の力を借りて
僕はまた人生を始める
僕は生まれた

君を知るために
君を名づけるために

自由(リベルテ)と。

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■□■□ 2017年5月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1320号 5月12日

■□■□ 2017年5月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1320号 5月12日 

             哀しみを抱いて  

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1 蝙蝠日記    何という忙しさ
 
2 展覧会案内   高野卯港展 5月13日 明日から  

3 アート・サポート・センター神戸から
          
4 今日の言葉
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1  蝙蝠日記  何という忙しさ
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黄金週間は普通はギャラリーは静かなのに今年は杉本裕子展も、南輝子展も
終日、ざわざわとにぎわっていました。

それは作家の思い、魅力が磁力となっているのでした。

南輝子展―WAR IS OVER! は後半に入りました。遠くからの方も多く、
画家、エッセイスト、歌人としての魅力が横溢すると同時に、この危機的な
時代への意識が共振しているのですね。
http://gallery-shimada.com/?p=4377
ライブペインティングも・・・

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2 展覧会案内  「高野卯港展 哀しみを抱いて」 5/13(土)―24(水)
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卯港さんの世界は、宮本輝の「泥の河」の世界である。この小説の舞台は、
昭和30年の大阪。まだ戦後を引きずっていた時代で主人公の信雄、喜一は9
歳。そのころ卯港は7歳。ほぼ同じ世界、同じ境遇を生きた。生後1年のとき
父は戦争引き上げマラリアで没。母の手で育てられた。
洛陽で様々に染め上げられ、刻々に変幻し、黄昏てゆく空。そこに鮮やかな
緑や黄を勢いよく刷く。高野卯港の夢と現実とのあわいを揺れ動く思いが凝
縮され、独特の色彩が綾なす感傷美に留まらない切迫した気配は誰にも表現
できない荘厳にして絢爛たる滅びの交響詩である。孤愁を湛えた暗い透明感
のある画面が、惻惻たる余韻を漂わせて美しい。
その美しい世界をご覧ください。
http://gallery-shimada.com/?p=4409

2008年10月3日 歿 最期まで付き合い、見届けた。

展示作業風景です。
新しいインターンさん(中国から)も加わって。
http://gallery-shimada.com/blog/?p=7126

ギャラリー島田Troisにも展示しております。ご覧ください。

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3 アート・サポート・センター神戸から      ◎後援しています◎
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Journey with Music
加川プロジェクトで毎回、東北への思いを即興演奏に込めて演奏してくださ
ったイヨウユミさん。
ピアニスト、作曲家、即興演奏、劇音楽の作曲、指揮者、役者など多方面の
顔を持つ彼女ですが、今回は彼女の大好きな作曲家シューベルトの演奏をお
聞きください。
・シューベルトの即興曲142
・さすらい人幻想曲
・即興演奏

《 イトウユミ ピアノリサイタル Journey with Music Series No.10 》
5月13日(土) 灘区民ホール 14:00―15:30 (13:30開場)
前売:2,000円 当日:2,500円 灘区割:500円引き 
お問い合せ:078-802-8555

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4 今日の言葉
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「人生はいかに悲しいことか。ぼくの願うことの事々は壊れています。この
世に悲しむために生まれてきたようなものだ。これから先、ずっと生きてゆ
かねばならないとは――
ぼくの日記は悲しみばかりだ。」
高野卯港(1972年11月16日の日記から)

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■□■□ 2017年5月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1319号 5月6日 

■□■□ 2017年5月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1319号 5月6日 
 
            さまざまな交差の場として  

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1 蝙蝠日記  
 
2 展覧会案内  今日から「南輝子展 WAR IS OVER !」   
          
3 今日の言葉
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1  蝙蝠日記  これはクレージーだ!!
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新しいインターンさんと面接をした。
ほとんど大学からの紹介で優秀な人材です。
私がこのギャラリーの内容や学びどころについて説明をし、
「年間、50くらいの展覧会をしている」と言うと
立ち会っていた猪子大地が「いやもっとです」という。

それで数えてみた。
昨年(2016年)が58回。
今年(2017年)が62回であり、全て決まっている。
来年(2018年)は40周年で、大きな展覧会の構想がいろいろあり
ほとんどの日程が決まっていて、三つ目のギャラリーTroisも加わってくる。

どの展覧会も「作家とともにつくる」ことを心がけているので、誰もが忙し
いはずである。

スタッフ(子育て中も含めて)4名と新しい中国からの二人を含めて6名の
インターンさんが学びながら働いていることになります。
過去を含めればドイツ、台湾、ブルガリア、中国と多彩です。
6名のうち2人は9月からフランス、ルーマニアに留学するそうです。
今後はアート・サポート・センター神戸を含めてボランティアさんもお願い
する予定です。

こうしたインターンさんたちはスタッフブログの展示作業で紹介されたりし
ています。今回のブログでもKさんが・・

ならば何人くらいの作家さんが登場しているのだろうか。
グループ展や、なんと言っても「ミニア千ュール神戸展」。
毎年200人くらいでしょうか?
いや、もっと?

そう、忘れないように付け加えれば公益財団法人「神戸文化支援基金」の本
部、事務局でもあり、そのスタッフも出入りしています。

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2 展覧会案内    
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今日から「南輝子展 WAR IS OVER !」が始まります。
会場風景をご覧ください。
http://gallery-shimada.com/?p=4377

島田の言葉です。
南輝子は画家であり歌人である。歌集「Roy-cwratone(精霊ながし)」
「ジャワジャカルタ百首」「WAR IS OVER!百首」の刊行の都度、生命の輝き
を謳い上げる絵を発表している。
根底には神戸の震災によってジャワで虐殺された父への思いが封印を解かれ、
全身で対峙し魂の震えと戦(おのの)きの表現者となった。南の言葉と絵画
は「IF YOU WANT!」という刃を自らの喉元に突き付けていることによって、
時代の空気を切り裂こうとしている。

展示作業風景です(南さんも、スタッフも、インターンさんも)
http://gallery-shimada.com/blog/?p=7115

そしてこの展覧会に合わせて「WAR IS OVER! 百首」(ながらみ書房)を
上梓されました。

「杉本裕子展 ―‘17」
http://gallery-shimada.com/?p=4371
連日、絶え間なしににぎわっていますね。
自由な空気感がいいですね。
10日(水)が最終日です。(火曜は18:00、最終日は17:00まで)

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3 今日の言葉
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ふめば肉体につたはるおんうおん桜花ふみしむ父踏むように

口にして胎内燃ゆる文字にしてたましい歪む言葉ぎゃくさつ

歳月やジャワ・ジャカルタの虐殺をひとに語りてさらにへだたる

はちぐわつの帽子かぶればいつせいに遠き呻きが駆け寄ってくる

「WAR IS OVER ! 百首」(ながらみ書房)より

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■□■□ 2017年5月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1318号 5月4日

■□■□ 2017年5月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1318号 5月4日 
 
            身捨つるほどの祖国はありや。

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1 蝙蝠日記  
 
2 展覧会案内  南輝子展(予告) 
          
3 今日の言葉
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1 蝙蝠日記
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マッチ擦るつかのま海に霧ふかし身捨つるほどの祖国はありや。
(寺山修司青春歌集(角川文庫)P27 祖国喪失 壱 の 冒頭より)

5月4日は寺山修司が47歳で亡くなった日です。1983年のことです。 
処女作品集「われに五月を」と題されています。

「身捨つるほどの祖国」を問わねばなりません。

4月29日 昭和の日
5月1日 メーデー
5月3日  憲法記念日
5月4日  みどりの日
5月5日  こどもの日
昭和の日、みどりの日は、ともに昭和天皇に結び付く祝日であることを想え
ば黄金週間は単なるバカンスとは言えない、深い意味を持っていて、この時
期に憲法改悪と共謀罪への道が開かれようとすることは、あってはならない
ことです。
憲法を考える、あるいは変えるということを否定するものではありません。
その目的については、あってはならないことが前提とされているので、改悪
と断定いたします。

今朝、なかにし礼(作家・作詞家)が「憲法は芸術だ」(朝日新聞)に戦争
で三度棄民され、兵士でもない8歳での加害体験を語っています。
ここにも寺山修司の名があり、あっという間に核兵器保有国となり、このま
まではいつか戦争になる、この気配を止めないといけない。それを個人とし
て言い続ける。とあります。(オピニオン 9面)

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2 展覧会案内    
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「杉本裕子展 ―‘17」
まるで画家の画室に遊んでいるようににぎやかに、ゆったりと、様々に触れ、
様々に話し、・・・
みなさんも「ひととき」をお過ごしください。
http://gallery-shimada.com/?p=4371

◎予告です 
「南輝子展 WAR IS OVER !」が6日(土)から始まります。
http://gallery-shimada.com/?p=4377
南さんの父は生まれたばかりの南さんの顔も名も知らぬ間に兵士でもなかっ
たのにジャカルタで終戦後に虐殺されたのです。
南さんの言葉です。
殺すな!殺させるな!殺されるな!アジア太平洋戦争で殺された女、父達
2300万人の無念をおもう時、日本国憲法施行から70年の今年こそ、みんなで
手をつなぎ、心をつなぎ、いまあるこの平和を、次の世代へ、その次の世代
へ、世界へ、手渡さねばなりません。
WAR IS OVER, IF YOU WANT IT.
(南輝子)
 
そしてこの展覧会に合わせて「WAR IS OVER! 百首」(ながらみ書房)を
上梓されました。

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3 今日の言葉
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僕はもう花ばなを歌わないだろう
僕はもう小鳥やランプを歌わないだろう
春の水を祖国とよんで 旅立った友らのことを
そうして僕が知らない僕の新しい血について
僕は林で考えるだろう
木苺よ 寮よ 傷をもたない僕の青春よ
さようなら
きらめく季節に
だれがあの帆を歌ったか
つかのまの僕に
過ぎてゆく時よ
二十才 僕は五月に誕生した
僕は木の葉をふみ若い樹木たちをよんでみる
いまこと時 僕は僕の季節の入口で
はにかみながら鳥たちへ
手をあげてみる
二十才 僕は五月に誕生した

1975年1月、寺山修司処女作品集「われに五月を」より後半のフレーズです。
寺山は1935年1月生まれ。20才の5月を謳い、それから27年後の5月に逝った。

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■□■□ 2017年5月 Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1317号 5月1日

■□■□ 2017年5月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE Info―1317号 5月1日 
 
            花々の絨毯とオペラへどうぞ

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1 蝙蝠日記  
 
2 展覧会案内   杉本裕子展 西久保専司展
          
3 今日の言葉  

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1 蝙蝠日記  花々の絨毯とオペラへどうぞ
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原田の森ギャラリー リニューアル・オープン展
    ―ひょうごから世界へー
    [新進気鋭20人の挑戦]

中規模なのが残念ですがそれぞれに見所があり、思わず長い時間を過ごしま
した。
熱心に見入っている知人に尋ねたら面白いので3回目だと答えました。

20人のうち8人の作家がギャラリー 島田に関わりがありました。
なかでも面白かったのは山村幸則の映像「風を待つ」とミクストメディア
「空をみる」。
「空をみる」は外から見上げるのですが、警察に通報があったそうです。何
で??

クボ 健史のオブジェ(屋外展示)も館外展示ですが、しゃがんで覗き込んで
下さい。

どちらも新作で挑んでいて新鮮でした。
タイトルが「森の森のコウモリ」。いいですね。

ポーランドに一年滞在制作する東影智裕、
内藤絹子、来年、登場する築山有城、様々に仕事をしてきた坪田昌之、など。
5月7日までです。
本館1F、2Fとも記念展です。お運びください。

北野坂でのインフィオラータは5月3日(水・祝)〜5月5日(金・祝)です。
その一筋西がハンター坂です。
喧騒を離れてゆったりとした空間へどうぞ。

ギャラリー島田Troisもコレクションを見ていただきますね。
CLOSEの時はそとからでごめんなさい。

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2 展覧会案内    
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「杉本裕子展 ―‘17」 4/29(土) ― 5/10(水)  B1F
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多くの方がゆったりとした時間を過ごされています。
杉本さんの作品に「画室にて」というタイトルを見かけますが、ギャラリー
空間そのものがアトリエ化しているのです。
それは、こんな風なのです。
http://gallery-shimada.com/?p=4371
多くの資料やスケッチファイルなども
そして杉本さんも。
「丸ごと杉本裕子」とともに ゆったりと春をお楽しみください。

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「COLOR×COLOR 西久保専司展」 4/29(土) ― 5/4(木)  1F deux
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こちらは初登場ながらベテランの西久保さん。
 ひたすらCOLOR×COLORの不思議さ。
http://gallery-shimada.com/?p=4374

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3 今日の言葉
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operaとarte
イタリア語で仕事は「オペラopera」ともいう。
一般にはオペラというと「蝶蝶夫人」や「アイーダ」のような豪華なオペラ
ハウスで上演されるオペラを思い浮かべるが、もともとオペラというラテン
語には「仕事」という意味があった。
仕事はオペラのように楽しくするものであって、その楽しみの中に「アルテ」
つまり美があり芸術がある。そのような要素をもう一度復活して、それを洗
練化していくことが、大量生産システムが生き詰まった成熟社会に中で見直
され始めているといってよい。
佐々木雅幸「創造都市への挑戦―産業と文化の息づく街へ」
(岩波現代文庫)P64

3月4日。福島県白河市でのシンポジウムでご一緒した佐々木さんから、もっと
勉強するようにと贈られた本から。
私のGWの課題図書です。

そうか、ここはオペラ劇場で私はそこを率いているのか。だから楽しいのか。

みなさん、GWはこちらでオペラを楽しんで下さい。
劇場までは花々の絨毯がお待ちしています。

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