□■□2016年8月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
Info―1237号 8月13日
何かに護られ、何かを託されて
(その1)
1 蝙蝠日記 肝を冷やすできごとが・
2 加川広重巨大絵画 第4作「飯館村」
3 緊急公開研究会「移民・難民をめぐる文化政策」 ギャラリー 島田Troisにて
大変、盛況のうちに充実した研究会が開催されたそうです。
4 今日の言葉 組織に属さず、孤立を恐れず、腕力に頼らず
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■■蝙蝠日記 何かに護られ、何かを託されて
1989年7月27日に脳脊髄鞘腫という難病の手術を受けました。
それから28年。
天命のように護られ、そのあとの日々を託されたように生きてきました。
ようやくの夏季休廊です。
8月7日のKOBE ART AWARD贈呈式を済ませ、腰痛や疲労と付き合いながら
8日、9日は西へ、11日から13日は東へゆったりと旅する予定でした。
ところが、ゆったりとした旅程ではあるのですが、西は、尾道から広島へ。
行きつく先は原爆ドーム、広島平和記念資料館、広島市現代美術館。
8月6日の平和記念式典のまだ余韻を濃く漂わせた広島は外国人の姿が多いのに驚きました。
原爆ドームはアーサー・ビナードさん、スズキコージさんのトークが誘ったのでしょうか。
広島市現代美術館は、ずっと行きたいと思っていたのですが、今回のきっかけは、加川プロジ
ェクトの記録集を吉村良夫さん(美術評論家)にお送りしたら
大変なご活躍の跡ですね。身にしみてきます。と書かれ吉村さんの評論(美術フォーラム)
「過ち」を繰り返さないための共生感覚を探る
が送られてきました。
2015年7月から2016年3月にかけて広島市現代美術館での
被爆70周年:ヒロシマを見つめる三部作への評論でした。
私たちは
阪神大震災20周年:加川広重巨大絵画三部作からフクシマでした。
兵庫県美の出原均さんが企画し、ここへ巡回した「1945±5年」展と再会します。
そしてコレクション展:特集ヒロシマの現代美術で岡部昌生のフロッタージュ
の大作を見たのですが、この作品が、今度の二つの旅を繋いでいきます。
■
11日の東北行は加川さんの第4作「飯館村」が仙台メディアテークで展示されるからです。
2012年の同じころ、ここで加川さんの巨大絵画と出会い、思ってもみなかったプロジェクト
に関わることになったのでした。。
東北に行く都度、仙台空港に迎えに来て下さる佐藤普(仙台司製茶)さんが
定点観測のように被災地の復興状況を案内して下さる。
「亘理に5年目にようやく再開したばかりの美味しい料理屋さんがあるから」と車を走らせた。
亘理と聞いて胸が騒いだ。
東北の震災から一か月しか経っていないころ亘理を通った。その時のことを思いだした。
当時の記録から
福島県境の亘理、山元町までつぶさに案内してもらった。沿岸部から仙台東部高速道までの地
帯は津波により破壊しつくされ、とりわけ福島県境に近い地帯は瓦礫の撤去も放置されたまま
で、おりしも霙(みぞれ)交じりの雨の中、破壊された堤防に土嚢が積まれ、道沿いのガード
レールは吹き飛び少し離れた家に帯のように巻きつきその横の工場建屋は飴細工のように曲が
った骨格だけを残して瓦礫だらけの地にうなだれていた。遥か沖に見える横一列の白波が津波
の再訪のようにも見え、海沿いに見事に咲き誇る桜木は「鳥の海」という明媚な名前に相応し
いが暗鬱な低い空のもとの黙示録的風景には足が竦(すく)んだ。
その時に見た亘理の「鳥の海」という標識が忘れられない。
■
開店したばかりの「あら浜」という料理店で「穴子蒸籠」を美味しくいただき、仙台メディア
テークでの加川さんの第4作「飯舘村」の発表展示に。
福島原発から遠く離れているのみ放射能汚染で全村が待避に追い込まれた「飯舘村」の静かな
美しい村の秋と冬の情景です。
赤とんぼがいろんなところに描かれ、帰村出来ない人々のやるせない想いが伝わってきます。
スランスで歌われた「あかとんぼ」がずっと心に残っていたのと、夜、描いているときにアト
リエ(倉庫)に垂らしたシートに、灯りに誘われた蜻蛉がバタバタと当たるのだそうです。
それで完成4日前に描き入れた赤とんぼがこの作品に情感を与えていました。
会場では神戸とフランスでのプロジェクトのDVDが放映されフランスの合唱が流れ続けて
いました。
夜は加川夫妻と鼓太郎君、珠枝ちゃん(7ヶ月)と美味しい食事を。
ほんまに楽しかったです。
■
でも、そのあと肝を冷やすできごとが・・・
それが、
「何かに護られ、何かを託されて」の意味なのですが、それは次回に。
■■ 今日の言葉
加藤は、天下の大勢に従わず、流行を追わず、奢侈を好まず、権力に寄らず、権力者を権力者
ゆえに敬さず、組織に属さず、孤立を恐れず、腕力に頼らず、愚痴をこぼさず、大口を叩かず
、声高に叫ばず、女性を軽んぜず、弱者を蔑まず、不合理を尊ばず、みずから確認できたこと
しか信じなかった。
こういう姿勢で、戦中から戦後にかけて生き抜いた日本人はきわめて稀だった。
その意味では「現代の日本人の平均にちかい」人間が「現代日本人の平均から遠い」生き方を
貫いた。つまり、そういう生き方が現代日本でも可能であったことを『羊の歌』は示唆する。
つまり、加藤の生き方は平均的日本人の一つの生き方であったことをはっきり記しておきたか
ったに違いない。
鷲巣力「『加藤周一という生き方』(筑摩選書)P105 ,106
蝙蝠から
昨夜のNHK 23:00からのETV特集は「加藤周一 その青春と戦争」でした。
ここにもヒロシマと原爆ドームが出てきました。
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