月別アーカイブ: 2015年5月

Gallery SHIMADA メールマガジン 1097号

□■□2015年5月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
  Info―1097号        
      失ったものを忘れた人たちの姿です。
 
1 蝙蝠日記    城崎国際アートセンター
2 展覧会案内   森井宏青展   山縣寛子展「蔵書島案内」
          島田容子がブログで紹介しています
3 今日の言葉   イエスマンしか出世できない

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蝙蝠日記  昨日、円山川公苑美術館での石井誠展への旅を書きました。
そこを出て、平田オリザがアドヴァイザーを務める話題の城崎国際アートセンター
へ行ってきました。
昨年、「こぶし基金」がここのオープニングプログラム 劇団CORPUS(カナダ)『ひつじ』公演
を助成したので、一度見ておきたかったのです。
http://kiac.jp/
■■
展覧会への誘い
昨日、始まった二つの展覧会に多くの方が訪れました。
まずはその会場風景を島田容子の案内でご覧下さい。
森井宏青展   5/30(土)〜6/10(水)
http://gallery-shimada.com/blog/?p=5618

山縣寛子展「蔵書島案内」 5/30(土)〜6/10(水)
http://gallery-shimada.com/blog/?p=5623

森井さんが創造した空間構成は不思議な物語を紡ぎ、見飽きることがありません。
愚かしく救いよう無い「人」の姿を象徴的に描こうと思いました。失ったものを忘れた
人たちの姿です。
下記でその全文を読んで下さい。導かれるように私たちの物語を読み解きましょう。
http://gallery-shimada.com/?p=2873
森井さんの卓抜した技法なども丁寧に解説してくださり、資料も置いてくださっています。

山縣さんの作品には必ず本が出てきます。その魅力については改めて書きます。
■■   
今日の言葉
上位者の顔色をうかがい、右といえば右をみるイエスマンしか出世できない」仕組みに改
組された。そんな世界ではもうイノベーションも起こらないし、舵取りを間違っても補正
が利かなくなる。危機的状況だと思う。  内田樹 神戸新聞 5月6日
蝙蝠から
城崎への旅の友の一つは周防正行「それでもボクは会議で闘う」(岩波書店)と「後藤正
治ノンフィクション全集第9巻」(ブレーンセンター)でした。
後藤さんがその中で「思想の整体師」として内田樹のことを書いておられます。
内田さんの日常、家族のことまで今回、知りました。(p478−517)

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公益財団法人「神戸文化支援基金」(こぶし基金)は兵庫・神戸の文化の土壌を
豊にする芸術活動に助成しています。
http://www.kobushi-kikin.com/
本基金へのご寄付は、公益財団法人への寄付として寄付控除の対象となります。
・みなと銀行 北野坂支店 普 1656831 公益財団法人神戸文化支援基金
・郵便振替口座:公益財団法人 神戸文化支援基金 00950-0-322393
他行から振込みの場合は店番 099 当座 0322393
■発行元 ギャラリー島田・アートサポートセンター神戸

Gallery SHIMADA メールマガジン 1096 号

□■□2015年5月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
  Info―1096号        
          円山川公苑美術館へ

1 蝙蝠日記    普遍、不死となった
2 展覧会案内   森井宏青展         今日から
          山縣寛子展「蔵書島案内」 今日から
3 堀文子[一所不住・旅]  不在ではなく不住(ふじゅう)ですね。 6月7日まで。 
4 ネパール災害支援  6月8日にカトマンズ市内で「鎮魂と追悼のライブ」
5 今日の言葉  作品とは まさに生きること

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蝙蝠日記  命と引き換えに紡ぎ出された作品
昨日、昨年亡くなられた石井誠さんの展覧会に行ってきました。
円山川公苑美術館は城崎温泉駅からバスで10分ほど。大変美しい自然に囲まれた美術館です。
http://www.maruyamagawa.com/
すでに行かれた皆さんから「素晴らしかった」という感想が届き、ABCTVとNHK
日曜美術館でも紹介されました。
外は夏の日差しで緑が耀き、爽やかな風のなか円山川では15人くらいの小学生が漕ぐ
カッターが2艘、のどかに流れていました。
館内はきっとした緊張感に包まれ、たった一人で1時間ほど、石井さんの作品と語り合い、
石井さんを想ったのでした。
会場入り口では大作「樹」(岡本太郎現代芸術賞入選2011年)が迎え、主展示室に入ると
正面が「再生」右手に「魂」左手に「生は生たりえるか」(第7回手島右卿賞受賞作品)
の大作に囲まれます。
そして奥の展示室へは、石井さんが「土」から連想される生きとし生けるものたちへ
の壮大なエネルギーは私の心から離れないと語っていた「土」で繋がっていきます。
命と引き換えに紡ぎ出された作品は石井さんの病との闘いによって尊いのではなく、自らへの問いかけの厳しさと、到達した天地(あめつち)であり宇宙(こすも)としての作品によって普遍、不死となったのだと感じ、ながく佇んできました。 昨年2月のギャラリー島田での展覧会です。
http://gallery-shimada.com/?p=1469
その時の展示作業をご覧下さい。
「生は生たりえるか」、そして床に拡げられているのが「樹」です。
http://gallery-shimada.com/blog/?p=4361
■■
森井宏青展         5/30(土)〜6/10(水)
山縣寛子展「蔵書島案内」 5/30(土)〜6/10(水)
今日からはじまる二つの展覧会は、実はご夫妻です。作家としては全く別の個性を
持ち、別々に活動されているのですが、私が上下同時開催をお願いしました。

森井さんの紹介と作家の言葉は下記でご覧下さい。
http://gallery-shimada.com/?p=2873
「愚かしく救いよう無い『人』」の姿を象徴的に描こうと思いました。失ったものを忘
れた人たちの姿です」という言葉が印象的です。
森井さんの作品は大な物語を伝えるものです。読みに来て下さい。そしてまた、お二
人の物語でもあるようです。興味深いですね。

山縣寛子展「蔵書島案内」
山縣さんは初登場です。「蔵書島」とは! いいですね。
山縣さんの本への偏愛、いいですね。その言葉です。
http://gallery-shimada.com/?p=2877


6月のギャラリー島田は「本」をテーマに次々と・・・
画廊通信の蝙蝠日記は「一冊の本を生きる」です。
http://gallery-shimada.com/koumori/?p=468
■■
私はCODE海外災害救助市民センターの理事を務めていた時期があります。
今回のネパール大地震も心痛み、CODEの募金活動にも参加したりもしました。
今回、村井雅清さんからの協力要請を受けて、カトマンズ在住の音楽家、井上想さんの
ネパール国内での活動をアート・サポート・センター神戸によって支援することにしまし
た。
▲CODEからです
ネパール大地震発生から1ヶ月を過ぎましたが、被災地では特に山間部に点在する被災村
では、雨・風を凌ぐことすらままならない地域が多くあります。カトマンズ市内は少しず
つ平常を取り戻しつつある一方、労働者が大量に移動しているような現象もおき、「まる
で日本の正月のようだ?」と閑散としている地域も見られるとレポートが現地の音楽家か
ら入っています。
 さて、その音楽家井上想さんが、この6月8日にカトマンズ市内で「鎮魂と追悼のライ
ブ」をされます。また、このライブが終われば、被災村々を巡回し、ライブ活動を続けま
す。CODEのスタッフが現地入りしたときに、井上さんに案内をしてもらったり、ネパー
ルでのキーパーソンを紹介して頂いたりと随分助けて貰いました。
下記 Face Bookにそのチラシが掲載されています。
https://www.facebook.com/NGO.CODE?fref=nf
巡回ツアー全体予算25万円のうち10万円を支援いたします。
井上想さんはギャラリー島田にも何度か来られたインド音楽奏者で、画家・高濱浩子さん
の友人でもあります。
http://www.cap-kobe.com/club_q2/2012/04/19200806.html
カトマンズでの活動は下記で
https://www.facebook.com/pages/Dhrupad-Caravan/550674431721557?fref=ts 井上想さんを通じてのネパール志縁をまた呼びかけさせていただきます。

■■   
今日の言葉
まさに生きること、命の燃焼そのもの、体外放出されたエネルギーの魂に他な
らない。そっと静かに祈られた願いと生きてきた結晶、何よりも純粋なもの、
自画像であり、遺書である。
石井誠さんの言葉から「作品とは」

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公益財団法人「神戸文化支援基金」(こぶし基金)は兵庫・神戸の文化の土壌を
豊にする芸術活動に助成しています。
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本基金へのご寄付は、公益財団法人への寄付として寄付控除の対象となります。
・みなと銀行 北野坂支店 普 1656831 公益財団法人神戸文化支援基金
・郵便振替口座:公益財団法人 神戸文化支援基金 00950-0-322393
他行から振込みの場合は店番 099 当座 0322393
■発行元 ギャラリー島田・アートサポートセンター神戸

Gallery SHIMADA メールマガジン 1095 号

□■□2015年5月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
  Info―1095号        
          中西勝さんの訃報
            
1 蝙蝠日記  煙に巻かれて・・・
2 神戸塾火曜サロン  映像民族学者 姫田忠義の軌跡を追う
3 展覧会から 榊原めぐみ  イロノココロコロ 
4 中島淳のアジト談義  「社会を変えていく 小さな装置をデザインする」
5 今日の言葉 カネでは買えない豊かな人間関係
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蝙蝠日記 煙に巻かれて・・・
中西勝さんが22日、お亡くなりになました。91歳でした。
お話や、賑やかなこと、お酒、とりわけ煙草が大好き。
奇想天外と思えるお話しを延々と聞かされて、文字とおり煙りに巻かれ、少々
辟易しながら聞いていたのも今は懐かしい。
作品としては若い時代に世界を放浪していた時代が好きで蒐集していた。
下記は、その一部をご覧いただいた。
コレクションによる 中西 勝展は 2009でした。
http://gallery-shimada.com/?p=1152

神戸の大震災のあと立ち上げた「アートエイド神戸」の実行委員になっていただき7年間
壁画キャンペーンなど、ご一緒し、神戸二紀会の審査をさせていただいたり、何度も鴨子
ヶ原のアトリエへ伺った。
なんと言ってもシスメックスのテクノセンター入り口に200号の作品を納めてのも懐かしい思い出です。
今、こうべゆかりの美術館で「中西勝展」が開催中です。
是非、お運びいただき先生をしのんで下さい。ご招待いたします。
7月12日まで。  20名様
http://www.city.kobe.lg.jp/culture/culture/institution/yukarimuseum/ ■■
サロン
292回を迎える神戸塾火曜サロンは  映像民族学者 姫田忠義の軌跡を追う2015です。
宮本常一、林光、姫田忠義、この三人が制作に関わった記録映画「うつわ —食器の文化」
(1975年/41分)の上映と真木啓子さん(工芸店ようび 店主)によるトークを行ないま
す。真木さんは「辻留」の先代主 辻 嘉一の指導を受け、多くの好事家に愛され信頼され
ました。
「辻留」さんの依頼で椀をつくられた奥田達郎さんについて真木さんは下記のように書か
れています。
工芸の世界では桃山時代を頂点としているように思えます。達朗さんはそれを賞で古
い道具として愛玩するのではなく、いかに現代の生活の中に生かすことが出来るか、
生きることの出来る道具であるかを考え具現した人でした
これは真木さん自身のお考えでもあるでしょう。
「ようび」は『用の美』に由来します。
トークは真木容子さんと姫田忠義さんの次男で映像プロデューサーの姫田蘭さんです。

会場ではみずのわ出版のこだわりの本をご覧いただき販売もします。
みずのわ出版の柳原一徳さんは第30回出版梓会文化賞記念特別賞を受賞した。もとは神
戸で創業したが思うことあり故郷、周防大島へ帰り半出帆、半農家としてお一人出版社と
して奮闘してきた。装幀はすべて林哲夫さん。林さんは画家としては島田で発表して下さ
っていますが古書の蒐集・評論、装幀家としても著名。柳原さんは偏壷だけど筋が通って
いて純、その本への愛は執念といってもよく、どれも素晴らしく近年、ますます凄く、
鬼気迫るものがあり、それを手に取るだけで満たされるものがあります。
最新刊、臼田捷治『書影の森 筑摩書房の装幀1940-2014』は本体10,000円ですが、十
分の値打ちがあり、喜びがあります。そして筑摩書房の装幀の歴史を周防大島で一人奮闘
する柳原に委ねる人も偉い。林哲夫さんが臼田さんからこの企画の話を初めて聞いたのは
林さんが2012年3月にデザイン書籍部門優秀賞で竹尾賞を授賞された式でだったそうで
す。優れた内容で造本・装幀にも拘り続けている
柳原・林コンビが、ともに認められるということに喝采を挙げたいと思います。
■■
第292回 神戸塾火曜サロン 5月26日(火) 午後7時開演  
開催協力金 一般1000円 学生・留学生 500円 高校生以下 無料
電話、メール、FAXでご予約下さい。
■■
― 第11回中島淳のアジト談義 ―
ゲストとして招かれました。題して「社会を変えていく 小さな装置をデザインする」
異端デザイナー島田が中島淳さんや皆さんと喧々諤々やります。
2015年6月7日(日)14 時〜16時半–
メガネの三城神戸三宮店コミュニティルー ム
(神戸市中央区御幸通8-1-14 S・ヨシマツビ ル9F)電話 078-241-1001
の三宮各駅からフラワーロードを南へ徒歩3分。国 際会館の北隣のビル。
参加費 1000円 主 催 神戸芝居カーニバル実行委員会
問 合せと申込 090−1914−4907
■■
榊原メグミ展 
イロノコニコニコ イロノコハイハイ イロノコムニュムニュ イロノコオネム 
イロノココロコロ。
イロノコわらう イロノコたつ イロノコたべる。イロノコ走る イロノコ飛ぶ
 イロノコ喋る。もう大人。
今のイロノコはワクワクイキイキしながら迷いなくある
http://gallery-shimada.com/blog/?p=5607
■■   
今日の言葉
何も無いアジアの村で得たものは、
カネでは買えない豊かな人間関係です。
生活があまりにも便利になり過ぎ、
自分のことだけ考えていれば
夜が明け、
日が過ぎて行くかのように思えて・・・。
人は独りでは生きていけない、
お互いに分かち合っていきる他に
道は無いのが、
この宇宙船地球号の実態なのです。
岩村昇  PHD協会

蝙蝠から
ネパールのこと
心痛みます。
Do Something!!

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Gallery SHIMADA メールマガジン 1095号

□■□2015年5月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
  Info―1095号        
          [一所不在・旅] ふたたび
            
1 蝙蝠日記  堀文子[一所不在・旅 ]ふたたび
2 展覧会案内 小曽根環展   ライブペインティング
        榊原めぐみ展  今日から  生き生きと躍動しています。
3 堀文子[一所不在・旅]   時流をよそに脱俗を夢見て
4 今日の言葉  奴隷根性を一掃せよ
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蝙蝠日記 私たちはまやかしの日常を生きている
前回と同様、県美での会議が終わったあと、また堀文子展に運んだ。
二度目ということでゆったりと愉しんだ。平日というのに多くのご婦人で賑わって
いた。
2003年に同じ兵庫県美でみた秋野不矩(あきの・ふく)展―創造の軌跡―を思い出した。
あの展覧会も素晴らしかった。
http://www.artm.pref.hyogo.jp/2002-2008old/exhibition/t_0304/top.html 秋野不矩さんは93才でお亡くなりになられたが堀さんは今、96才である。
お二人の晩年といってもいい時代のまことに瑞々しく旺盛な制作の軌跡には圧倒
される。

福島空港のロビーに堀さんの,《ユートピア》(2001年)が陶板で設置されたとあるが
私がこの空港を使った2013年夏にはなかった。昨年2月のことのようだ。画家が生死の
間を彷徨ったあと、荒涼たる大地にも見える黒い岩肌を背景に堀が愛するものたち、たと
えば堀さんが50年前に描いた[楽しい仲間]などを呼び集めたような躍動感あるモチーフ
が飾られている。
「フクシマ」に誰がこの絵を飾ろうと思い選んだのかは知らないが、素晴らしい選択です
ね。永久にこの地の再生、命の蘇りを画家と重ねて祈念して欲しい。

この展覧会は堀文子の画業を巡る旅で構成されていて1939年の自画像から2014年の
「冬枯れの萩の姿」(2014年)まで、言葉を大事にしてきた画家の言葉とともに旅を
する。そして前号でも紹介しましたが
「奢らず、誇らず、羨まず、欲を捨て、時流をよそに脱俗を夢見て、私は一所不在の旅を
続けてきた」
という言葉で送られるのです。

またパウル・クレーに惹かれていた時代の「街」のモチーフが子どもの絵本に再現されて
いたり。
今、ギャラリー島田で個展を開催している小曽根環さんの「木目」や「ゆらぎ」への関心
が「ゆらぐ水面」(2001年)の3点、「樹霊の表情」(2008年)の3点に繋がっていまし
た。
小曽根さん、見に行って下さいね。

1966年のメキシコ滞在中に衝撃を受けて描いたという市場で老婆が半殺しにした
鶏をぶら下げた姿は、私がホーチミンの市場で見た姿と重なりました。
それは残酷さの衝撃というよりも、私たちがまやかしの日常を生きていることを突きつけ
られつことであり、私も堀さんの「神々しさ」すら感じたという言葉に強く同感しました。
▲▲
話は尽きません。
堀さんは「ホワイボン」を問い続けている作家です。私もそうです。
「ホワイボン」とは???
今夏のミニアテュール展のテーマとして出しました。
「ホワイボン」とは
■■
展覧会案内
小曽根環展 1/fゆらぎ ―記憶のアーカイブ
大変、好評ですね。一見して新しい世界へ入ってと感知できるもので、作家としての
覚悟が窺がえて、私もうれしいです。
◇ライブペインティング
完成まじかの小曽根さんの大きな硝子面によるライブペインティングが
この二日間で完成します。ご覧下さい。
それを生き生きと島田容子が伝えています。
また15日に行なわれたギャラリートークもどうぞ。
http://gallery-shimada.com/blog/?p=5594
23(土) 、24日(日) 各日15:00〜17:00
ギャラリー島田B1F 展覧会会場にて。

榊原メグミ展  今日から
私の頭の中からニョキニョキとアイデアが溢れ出して
描いている最中は気づけば顔がほころんでいて
時々、あまりの楽しさに踊りながら制作した作品たち。
空間から作品たちの
新鮮なエネルギーを
感じていただけると
うれしいです。   榊原メグミ
島田の言葉あそびもお読み下さい。
http://gallery-shimada.com/?p=2826
その楽しい会場風景をどうぞ
http://gallery-shimada.com/blog/?p=5607
■■   
今日の言葉
滝井繁男(元最高裁判事)
国民は長い間、統治客体であることに慣れ、統治主体としての自覚を欠いたまま半世紀
以上を過ごしてきている。(略)意識改革は一朝一夕に出来ることではない。

「奴隷根性を一掃せよ」 憲政の神様と呼ばれた尾崎行雄の「民主政治読本」から

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Gallery SHIMADA メールマガジン 1094 号

□■□2015年5月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
  Info―1094号        
          どうしてこんなに
            
1 蝙蝠日記  忙しいのだろう
2 展覧会案内 小曽根環展  ライブペインティング
        川端祥夫展  今日16:00までです。 
3 堀文子[一所不在・旅]   素晴らしい! ご招待します 
4 今日の言葉   「群れない、慣れない、頼らない」
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蝙蝠日記  余りに多い間違い
危ない記憶。頻繁な誤字・脱字。
みなさん、呆れて、諦めた。
二日続けて目的地を間違えて大汗をかき運動不足を解消した。
前号でも富長敦也さんのプロジェクトのLove StoneがLobe Stoneに
コンクール大賞がなんと対象となっていた。
Lobeとは耳朶(みみたぶ)のこと。そういえば富長さんの作品、とりわけ
私たちが磨いた石は耳朶だった。(見苦しいいいわけ)

同時進行で様々なことを抱えていて、それを丁寧にやりたいと思う気持ちと
頭脳と体の退化・低下で、ついていけない。遊離、乖離して破綻状態ですね。

いいわけばかりではね。
せめて今から発信するメルマガをもう一度、読み直そう。
■■
小曽根環展 1/fゆらぎ ―記憶のアーカイブ 5/27(水)までです。
◇ライブペインティング
完成まじかの小曽根さんの大きな硝子面によるライブペインティングが
次の二日間で完成します。ご覧下さい。
23(土) 、24日(日) 各日15:00〜17:00
ギャラリー島田B1F 展覧会会場にて。
作家の言葉と、BBプラザ美術館顧問 坂上義太郎の作品紹介は下記で
http://gallery-shimada.com/?p=2783
展示空間については島田容子がご案内しています。
http://gallery-shimada.com/blog/?p=5579

YOSHIO KAWABATA ドローイング展 ― 響きあうものたち ―
今日までです。
川端さんと様々に対話を続けています。この個展が川端さんの次のステップへの
扉をかけると感じています。
展示空間については島田容子がご案内しています。
http://gallery-shimada.com/blog/?p=5570
■■
ご招待情報
堀文子[一所不在・旅]   兵庫県立美術館  追加で5名様をご招待
http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_1504/index.html
■■   
今日の言葉
堀文子の言葉から
「群れない、慣れない、頼らない」
「芸術とは、何物にも従属しない個々の生命のリアリズムであると思います」
「ものを創る人間は、常に驚いていなくてはいけないの。ひとところにジッとしていられ
ないんです」
「淋しさや孤独は絵かきの目を美しいものに向けてくれるのです」
「奢らず、誇らず、羨まず、欲を捨て、時流をよそに脱俗を夢見て、私は一所不在の旅を
続けてきた」
蝙蝠から
学芸員の飯尾由貴子さん、鈴木慈子さん、素晴らしい展覧会を企画してくれてありがとう。
「私は一所不在の旅を続けてきた」という堀さんの言葉からとられた本展のタイトル。
私たちに至福の同行巡礼を体験させてくれます。
図録も美しい。
その最後に書かれた言葉です
「孤独を力にし、草木と呼吸をともにし、旅と転居をくりかえしながら。数々の作品を発
表してきた堀文子こそ、現代の隠者といえるのではなかろうか」(鈴木慈子)
深く誘われる時空へ皆様もどうぞ。

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Gallery SHIMADA メールマガジン 1093 号

□■□2015年5月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
  Info―1093号        
        富長敦也のハートボイルド展
         世界をつなぐ未来の彫刻   

1 蝙蝠日記  Lobe Stone
2 展覧会案内 小曽根環展  今日から
        川端祥夫展  今日から
3 ギャラリートーク  小曽根環さんと越智裕二郎さん 本日17:00から
4 今日の言葉   新しい物語のはじまりに
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蝙蝠日記  ときわミュージアム彫刻野外展
まずはお詫びしたします。
このところメルマガの二重発信、号数の混乱が続きました。
大変、申し訳ありません。
1091号が重複していて今号を1093号といたします。

山口県宇部市の「緑と花と野外彫刻による公園」へ行ってきました。
そこで「富長敦也のハートボイルド展―世界をつなぐ未来の彫刻」が開催されて
います。
富長さんは2013年第25回UBEビエンナーレで「Our Love」で対象を受賞され
その後、一年をかけて世界中でハートに石を磨くプロジェクトを展開され80ヶ所
5000人以上の人が磨いた120点の作品が大集合。

「こぶし基金」はこのプロジェクトを助成し、ギャラリー島田でも昨年の夏に約20名の
皆さんとハートに磨きをかけました。
その時の楽しい模様をご覧下さい
http://gallery-shimada.com/blog/?m=201408
そしてその石と再会してきました。
私が紹介した沖縄、佐喜眞美術館でのLobe Stoneも。

ときわ野外彫刻公園は常盤湖、白鳥湖を抱いた広大な公園に90体ほどの彫刻が点在し
ています。とても全部は見切れないですが植松 奎二、森口宏一、新宮晋、増田正和を
はじめ旧知の作家と出会いながらの散策はとても楽しかったです。
http://www.ube-museum.jp/index.php?easiestml_lang=ja
ゴールデンウィークあけの平日で天気予報も雨にも関らず、雨も降らず、多くの方で
賑わっていました。
無料で開放されているのですね。

この日は、宇部市にある菊川画廊にも向かう予定でした。ここで今夏、高野卯港展を
企画していただいていて最近交流があるからです。
でも両方に運ぶことは難しそうで決めかねて出発したのですが・・・・
でもとても無理でした。
事前に電話で「新山口駅からタクシーでどれくらいかかりますか?」と問うと、親切な
女性の声で「さあ十分ちょっと」でしょうか。ならば2000円か3000円とふんでタクシ
ーで向かうとなんと30分以上で7000円もかかりましたよ。
帰りは懲りてバスで駅へ。今度は860円でしたが29駅、1時間かかりました。

でも富長敦也さんがずっと石を磨きながら追及してきた「人」のありかた、佇まいがこの
プロジェクトで「人と人との幸せな関係」、磨くという行為と体験によるコミュニケーシ
ョンが拓く可能性の発見を新鮮にうれしく感じた一日でした。
■■
駆け込むように乗った新幹線。
夕刻から
「アジール島田」という六回の講座の幕開けにかけつけ第1回の「異端概論」を、活発な
応答で二時間を超えて、若い人たちと応酬して、ぐったり。バタンキューでした。
■■
小曽根環展 1/fゆらぎ ―記憶のアーカイブ
5/16(土)〜5/27(水)
小曽根環さんが周到に準備を重ねられ、ギャラリー空間そのものにまで拘れました。
多分、こられた皆さんも「あれ?どこか違う」と感じられると思います。
そして作品についても1/fゆらぎの表現に格段の豊かさを感じさせるものとなりました。
作家の言葉と、BBプラザ美術館顧問 坂上義太郎の作品紹介は下記で
http://gallery-shimada.com/?p=2783
展示空間については島田容子がご案内しています。
http://gallery-shimada.com/blog/?p=5579

YOSHIO KAWABATA ドローイング展 ― 響きあうものたち ―
5/16(土)〜5/21(木)
作家の言葉と島田誠の言葉は下記で
http://gallery-shimada.com/?p=2822
展示空間については島田容子がご案内しています。
http://gallery-shimada.com/blog/?p=5570
■■
本日 5/16(土) 17:00より ゲストに美術評論家の越智裕二郎さんをお招きし、ギャラリ
ートークを行います。小曽根さんの作品世界を紐解く重要な機会となります。ぜひご参加
くださいませ。トークの後は、交流の場をもちたいと思います。
■■今日の言葉
大戦殉難北方異民族慰霊祭から
靖国神社の末社としての全国の護国神社は、国家のために命を捧げた英霊の御魂を鎮める
ための場です。
 しかし、決して英霊に迎えられことのない戦争の最大の犠牲者である「異」、すなわち
銃後の民やわが国に協力したために非業の死を遂げた異民族の諸霊の声を積極的に拾い
上げていく新しい祈りの場が、この青葉したたる神戸護国神社の碑前に呱々の声を挙げた
ことはとても意義深いものがあります。
 私は、この記念すべき風変わりな慰霊祭に立ち会った人たちを中心として、国家権力の
意志を相対化させ、真の平和を実現するための「新しい物語のはじまり」にむけ、自覚的
な言葉とその防衛線をすこしずつ広げていきたいと願っています。
        大戦殉難北方異民族慰霊祭実行委員長    扇 進次郎
蝙蝠から
私もお誘いを受けてはじめて参加した慰霊祭の挨拶の抜粋です。
私の昨日のアジールでの話しも「異」にまつわるものでした。

「##################################
公益財団法人「神戸文化支援基金」(こぶし基金)は兵庫・神戸の文化の土壌を
豊にする芸術活動に助成しています。
http://www.kobushi-kikin.com/
本基金へのご寄付は、公益財団法人への寄付として寄付控除の対象となります。
・みなと銀行 北野坂支店 普 1656831 公益財団法人神戸文化支援基金
・郵便振替口座:公益財団法人 神戸文化支援基金 00950-0-322393
他行から振込みの場合は店番 099 当座 0322393
■発行元 ギャラリー島田・アートサポートセンター神戸

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□■□2015年5月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
  Info―1091号        
          PARASOPHIA(その3)

1 蝙蝠日記   農民ダ・ヴィンチ
2 展覧会案内  大塚温子展
3 火曜サロン 室内合奏団 THE STRINGS「知られざる名曲と作曲家の軌跡」
4 今日の言葉   未来は空中に浮かぶものではない
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#################################
蝙蝠日記  農民ダ・ヴィンチ
いつまでもPARASOPHIAを書いているわけにはいきませんね。これで最後です。
まずは美術館に入った大展示室の中央に高さ15mの青竹約300本で組み上げられた六
角形七段の塔(バコダ)を見上げる。蔡国強(ツァイ・グオチャン)の祝祭空間、そこに
カラフルな玩具や旗、絵、雑具が雑多に取り付けられ、凧がゆらゆら。会期中にさらに子
ども達が飾ったという。その周りを中国の農民が壊れた農具や機械部品で作った不細工な
人形がカタカタと動く。バコダの下から照明されたシルエットが天井に映し出されていて
これにも見とれる。
電気仕掛けの安物のブリキロボットが筆を持ってアクションペインティング。そして
この作品がSHOPで販売されています。これ誰の作品だろうか。
その隣の部屋ではジャン・リュック・ヴィルムートの「カフェ・リトルボーイ」はだれも
が落書き感覚でメッセージを書き込んでゆき最初の広島原爆投下のメッセージは上書き
されて作品が判読不能に変容していく。
「ダ・ヴィンチ」も「原爆」も無邪気に大衆によって上書きされ意味を失い、ただただ
表層へと流れる。それも表現者の隠れされた意図なのか肯定なのか。

地下では「美術館の誕生」を資料とスライドショーで見せている。しかし第2次大戦(敗
戦)後、米軍に接収されていたことを何より雄弁に語るのは靴磨きの看板「SHOE SHINE
SERAVICE」 NO TIPPING CASH ONLYなどの文字であり82年の歴史を語るのは地
下へ至る、欠けたり割れたりした階段の踏み石でそれが美しかった。
■■
倉智敬子+高橋悟(Keiko Karachi & Satoru Takahashi)のユニットは昨年の横浜トリエ
ンナーレで出会い強く記憶に残っていました。横トリでは《法と星座・Turn Coat/Turn Court》
今回は《装飾と犯罪・Sense/Common》と題されていてまず謎を投げられます。横トリでは
大法廷は赤で組み立てられ首座には大きなハンマーが振り上げられ「ドーン」とハンマーが
判決を下すように鳴り響きます。誘導されるように裏側に周りこむと大きな鏡がはめ込まれ
テニスコートが私たちを映しこんでいます。そこを抜けると二つの鉄格子の檻が。
PARASOPHIAは法廷は白で組み立てられ、通り抜けた広場は石庭を思わせ、白い海図が
配置された先は白い鉄格子。背後で審判のハンマーを聞く。鏡で区切られた「こちら」と「あ
ちら」の境界。どちらも簡明なコンセプトの先は鑑賞者たる私たちがどんどんと自問し試行し
検証していく場となる。表面的には「最後の審判」と「刑罰」の間にある私たち自身の審問
を促され、その答えは自ら出す以外にすべはない。このユニット関連の[レクチャー]が上
野千鶴子「おまかせ民主主義からの脱却」というのも極めて分かりやすい。
「地球的規模で不穏なナショナリスムやナンセンスか進行する中、制度・国境・人種・ 性
別を越えた新しい市民主体の活動について考える」という倉智敬子+高橋悟の言葉などは
今、私が抱え、苦しみながら書いている「草地賢一:神戸からボランティア元年を拓く」
の主題そのものと言っていい。
■■
五十嵐太郎による「愛知トリエンナーレー揺れる大地」(2013)や森村泰昌による「横浜
トリエンナーレ 華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」そして河本信治の
「PARASOPHIA」それぞれがアーティスティックディレクターの明確なコンセプトがあ
り、それによってアーティストが選ばれ、その回答を作品として参加する。私たちもまた
受身の鑑賞者・消費者としての客体であることに止まらず自分の存在を問い直しながら主
体者として評価する。まさに「おまかせからの脱却」を迫られるのです。
長い論考「歴史の問い直しが多様化し造形感覚は混迷」を読ませてくださった吉村良夫
さんは三日間通われたそうですし、事前にブックレットや資料を下さったSさんは二回、
私はたんにメルマガで書くために何度も何度もPARASOPHIAを反芻しています。

そうした行為そのものが同意や反撥を促しながらアートがもつ本質的な力を示している
と思います。
翻って「神戸ビエンナーレ」はどうでしょうか。
前回も相当な批判にさらされながら、相も変らぬラインナップで改良への努力はしている
ものの改革への姿は見えてきません。
伝説のギャラリー「北野サーカス」の福野輝郎さんが兵庫県立美術館でのトークでこの
ことを指して、絞り上げるように「神戸のアーティストは恥ずかしくないのか」と大声で
喝破しました。
第一回の「神戸ビエンナーレ」を私が批判したことに起因する様々なことは、芸術文化
の役割からは最も遠いことです。

私も福野さんと同じ事を問いたいと思います。
PARASOPHIAは今日が最終日です。HPです。
http://www.parasophia.jp/
■■
展覧会案内
大塚温子展  14日まで
大塚温子の三回目となる個展。遠い記憶を古層を掘り当てるように誠実に辿ってきた
大塚が、まるで蛹が羽化(emerge)したように変容(metamorphose)してみせた。解放された線と踊る色。
新しい視座をえた喜びが素直に伝わってくる。さあ、旅立ちの行方はどこへ。
会場風景をご覧下さい
http://gallery-shimada.com/blog/
■■
第290回神戸塾 
火曜サロン 室内合奏団 THE STRINGS「知られざる名曲と作曲家の軌跡」
ギャラリー島田×ザ・ストリングス 室内楽コンサート2015
「知られざる名曲と作曲家の軌跡」
ザ・ストリングスのモダントリオ《ヴァイオリンとクラリネットとチェロ》
2015年5月12日(火)、19時開演(18時30分開場
入場料:1,500円《全席自由》(ASK会員1,000円)
プログラムなど詳細は下記をご覧ください。
http://gallery-shimada.com/salon/?p=217

■■今日の言葉
戦後ドイツと日本はともに敗戦国として出発した。やがて経済大国となったことは共通し
ているが、国のありようは随分と異なっている。(略)
政権が変わっても脱原発という流は不変だ。今、ドイツの総発電における再生エネルギー
の割合は4分の1を超えている。
 さらに日・独の大きな相違は財政状況であろう。ドイツは赤字国債の発行ゼロを実現し
ているのに対し、日本の国債残高は800兆円を超えようとしている。
消費税率はドイツが19%(食料品などは6%)と高いが、財政破綻は国の存立を脅かすと
いう国民的合意の有無に由来するのであろう。(略)
 未来は空中に浮かぶものではなく、歴史に直結してあるものだ。過去の自省と清算の上
に未来はある。異なる意味で切実に、もうひとつの敗戦国の戦後70年に学ぶべきものは
大いにある。  後藤正治 神戸新聞「指針21」2015年5月8日

「##################################
公益財団法人「神戸文化支援基金」(こぶし基金)は兵庫・神戸の文化の土壌を
豊にする芸術活動に助成しています。
http://www.kobushi-kikin.com/
本基金へのご寄付は、公益財団法人への寄付として寄付控除の対象となります。
・みなと銀行 北野坂支店 普 1656831 公益財団法人神戸文化支援基金
・郵便振替口座:公益財団法人 神戸文化支援基金 00950-0-322393
他行から振込みの場合は店番 099 当座 0322393
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□■□2015年5月
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          PARASOPHIA(その3)

1 蝙蝠日記   農民ダ・ヴィンチ
2 展覧会案内  大塚温子展
3 火曜サロン 室内合奏団 THE STRINGS「知られざる名曲と作曲家の軌跡」
4 今日の言葉   未来は空中に浮かぶものではない
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蝙蝠日記  農民ダ・ヴィンチ
いつまでもPARASOPHIAを書いているわけにはいきませんね。これで最後です。
まずは美術館に入った大展示室の中央に高さ15mの青竹約300本で組み上げられた六
角形七段の塔(バコダ)を見上げる。蔡国強(ツァイ・グオチャン)の祝祭空間、そこに
カラフルな玩具や旗、絵、雑具が雑多に取り付けられ、凧がゆらゆら。会期中にさらに子
ども達が飾ったという。その周りを中国の農民が壊れた農具や機械部品で作った不細工な
人形がカタカタと動く。バコダの下から照明されたシルエットが天井に映し出されていて
これにも見とれる。
電気仕掛けの安物のブリキロボットが筆を持ってアクションペインティング。そして
この作品がSHOPで販売されています。これ誰の作品だろうか。
その隣の部屋ではジャン・リュック・ヴィルムートの「カフェ・リトルボーイ」はだれも
が落書き感覚でメッセージを書き込んでゆき最初の広島原爆投下のメッセージは上書き
されて作品が判読不能に変容していく。
「ダ・ヴィンチ」も「原爆」も無邪気に大衆によって上書きされ意味を失い、ただただ
表層へと流れる。それも表現者の隠れされた意図なのか肯定なのか。

地下では「美術館の誕生」を資料とスライドショーで見せている。しかし第2次大戦(敗
戦)後、米軍に接収されていたことを何より雄弁に語るのは靴磨きの看板「SHOE SHINE
SERAVICE」 NO TIPPING CASH ONLYなどの文字であり82年の歴史を語るのは地
下へ至る、欠けたり割れたりした階段の踏み石でそれが美しかった。
■■
倉智敬子+高橋悟(Keiko Karachi & Satoru Takahashi)のユニットは昨年の横浜トリエ
ンナーレで出会い強く記憶に残っていました。横トリでは《法と星座・Turn Coat/Turn Court》
今回は《装飾と犯罪・Sense/Common》と題されていてまず謎を投げられます。横トリでは
大法廷は赤で組み立てられ首座には大きなハンマーが振り上げられ「ドーン」とハンマーが
判決を下すように鳴り響きます。誘導されるように裏側に周りこむと大きな鏡がはめ込まれ
テニスコートが私たちを映しこんでいます。そこを抜けると二つの鉄格子の檻が。
PARASOPHIAは法廷は白で組み立てられ、通り抜けた広場は石庭を思わせ、白い海図が
配置された先は白い鉄格子。背後で審判のハンマーを聞く。鏡で区切られた「こちら」と「あ
ちら」の境界。どちらも簡明なコンセプトの先は鑑賞者たる私たちがどんどんと自問し試行し
検証していく場となる。表面的には「最後の審判」と「刑罰」の間にある私たち自身の審問
を促され、その答えは自ら出す以外にすべはない。このユニット関連の[レクチャー]が上
野千鶴子「おまかせ民主主義からの脱却」というのも極めて分かりやすい。
「地球的規模で不穏なナショナリスムやナンセンスか進行する中、制度・国境・人種・ 性
別を越えた新しい市民主体の活動について考える」という倉智敬子+高橋悟の言葉などは
今、私が抱え、苦しみながら書いている「草地賢一:神戸からボランティア元年を拓く」
の主題そのものと言っていい。
■■
五十嵐太郎による「愛知トリエンナーレー揺れる大地」(2013)や森村泰昌による「横浜
トリエンナーレ 華氏451の芸術:世界の中心には忘却の海がある」そして河本信治の
「PARASOPHIA」それぞれがアーティスティックディレクターの明確なコンセプトがあ
り、それによってアーティストが選ばれ、その回答を作品として参加する。私たちもまた
受身の鑑賞者・消費者としての客体であることに止まらず自分の存在を問い直しながら主
体者として評価する。まさに「おまかせからの脱却」を迫られるのです。
長い論考「歴史の問い直しが多様化し造形感覚は混迷」を読ませてくださった吉村良夫
さんは三日間通われたそうですし、事前にブックレットや資料を下さったSさんは二回、
私はたんにメルマガで書くために何度も何度もPARASOPHIAを反芻しています。

そうした行為そのものが同意や反撥を促しながらアートがもつ本質的な力を示している
と思います。
翻って「神戸ビエンナーレ」はどうでしょうか。
前回も相当な批判にさらされながら、相も変らぬラインナップで改良への努力はしている
ものの改革への姿は見えてきません。
伝説のギャラリー「北野サーカス」の福野輝郎さんが兵庫県立美術館でのトークでこの
ことを指して、絞り上げるように「神戸のアーティストは恥ずかしくないのか」と大声で
喝破しました。
第一回の「神戸ビエンナーレ」を私が批判したことに起因する様々なことは、芸術文化
の役割からは最も遠いことです。

私も福野さんと同じ事を問いたいと思います。
PARASOPHIAは今日が最終日です。HPです。
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■■
展覧会案内
大塚温子展  14日まで
大塚温子の三回目となる個展。遠い記憶を古層を掘り当てるように誠実に辿ってきた
大塚が、まるで蛹が羽化(emerge)したように変容(metamorphose)してみせた。解放された線と踊る色。
新しい視座をえた喜びが素直に伝わってくる。さあ、旅立ちの行方はどこへ。
会場風景をご覧下さい
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■■
第290回神戸塾 
火曜サロン 室内合奏団 THE STRINGS「知られざる名曲と作曲家の軌跡」
ギャラリー島田×ザ・ストリングス 室内楽コンサート2015
「知られざる名曲と作曲家の軌跡」
ザ・ストリングスのモダントリオ《ヴァイオリンとクラリネットとチェロ》
2015年5月12日(火)、19時開演(18時30分開場
入場料:1,500円《全席自由》(ASK会員1,000円)
プログラムなど詳細は下記をご覧ください。
http://gallery-shimada.com/salon/?p=217

■■今日の言葉
戦後ドイツと日本はともに敗戦国として出発した。やがて経済大国となったことは共通し
ているが、国のありようは随分と異なっている。(略)
政権が変わっても脱原発という流は不変だ。今、ドイツの総発電における再生エネルギー
の割合は4分の1を超えている。
 さらに日・独の大きな相違は財政状況であろう。ドイツは赤字国債の発行ゼロを実現し
ているのに対し、日本の国債残高は800兆円を超えようとしている。
消費税率はドイツが19%(食料品などは6%)と高いが、財政破綻は国の存立を脅かすと
いう国民的合意の有無に由来するのであろう。(略)
 未来は空中に浮かぶものではなく、歴史に直結してあるものだ。過去の自省と清算の上
に未来はある。異なる意味で切実に、もうひとつの敗戦国の戦後70年に学ぶべきものは
大いにある。  後藤正治 神戸新聞「指針21」2015年5月8日

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公益財団法人「神戸文化支援基金」(こぶし基金)は兵庫・神戸の文化の土壌を
豊にする芸術活動に助成しています。
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・みなと銀行 北野坂支店 普 1656831 公益財団法人神戸文化支援基金
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□■□2015年5月
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          PARASOPHIA(その2)

1 蝙蝠日記 魅せ方を心得ている 
2 アジール神戸学校  島田が話します
3 ご招待情報
4 今日の言葉   真の愛国とは
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蝙蝠日記  PARASOPHIAについて
全体に触れる余裕はないが、印象に残ったものとしては石橋義正を挙げよう。田中功起、
倉智敬子+高橋悟、残念ながら、そこにありながら見られなかった、やなぎみわについて
も語りたい。そしてなんといっても蔡國強(ツァイ・グオチャン)の「農民ダ・ヴィンチ」
会場全体がバコダ(六角の塔)となり無邪気ともみえ渾然一体となった「京都ダ・ヴィン
チ」。これが入り口にあり思わず長滞在を愉しんだ。アン・リスレゴーのSF的映像イン
スタレーション、京都芸術センターでのアーノウト・ミックの「異言」はマインドコント
ロールによる理解しがたい宗教的熱狂で心がうすら寒い。

さて石橋義正はともかく見せる、魅せ方を心得ている。美しい女性を今そこに実在してい
るかのように性的な面を濃厚に孕みながらリアルなオブジェ、映像、写真、が組み合わさ
り、部屋や廊下など場面が転換するごとに鮮明なメッセージを伝え見事である。ある種の
エンターテインメントを心得ながら表層に止まらないのはプロフェショナルな手腕だと
思う。
ただ、これは私だけのことかもしれないが、音楽が「いかにも」という感じがして残念で
した。音楽は、旋律、ハーミニー、リズムなどで、それ自身が完結した世界を伝え聴覚を
通じて感覚を支配する。石橋の巨大なスクリーンに投影された自然の映像においては無音
の雄弁の選択はなかったのか。
流される音楽にすこしに違和をもったのは美術館の地下室でのインスタレーションを行
なった高嶺格(たかみねただす)についても感じたのですが、高嶺はダムタイプのパフォ
ーマーとしてもその後の表現においても音が重要な表現であるから、音への違和はそのま
ま表現への違和となるのかもしれない。

石橋義正との最初の出会いは2003年のヴェネチア・ビエンナーレの
「ZONE OF URGENCY」(危機)でのKyupi Kyupi The Wide Show(Video)でした。
Kyupi Kyupiが何かは全く知らず日本のアーティストだというだけでカラフルで動きのあ
る映像に見入っていました。帰国して次男からKyupi Kyupiについて聞いた覚えがありま
す。
そういえば高嶺格もこのヴェネチア・ビエンナーレの参加作家でした。
簡単ですがそのことに触れた蝙蝠日記は下記でお読みいただけます。 
http://gallery-shimada.com/koumori/?p=112
■■
やなぎみわについては、何故か移動舞台ステージ「舞台車」は華麗な「ねぶた山車燈籠」
のような舞台は閉じられただのトレーラー状態で残念でした。
昨年の横浜トリエンナーレでは台湾の高雄港から黒潮にのって漂着したという「舞台車」
を見上げ、そこから生まれる物語を想像したのでした。
やなぎみわとの自覚的な出会いは2002年の兵庫県立美術館開館記念展「未来予想図: 私
の人生劇場.」でした。この展は、榎 忠, かなもりゆうこ, 児玉靖枝, しばたゆり, 内藤絹子, 黄 鋭, 堀尾貞治, 松井智惠, 森村泰昌, やなぎみわ というラインナップも先見 性を感じ、このキュレーションは素晴らしいです。そして、やなぎみわの「エレベーターガール」「マイ・グランドマザーズ」などと出会っていき、その造形能力の高さと、それ ぞれの作品で伝える女性の社会的問題への提起などの意識が高く、例えば今回であれば中
上健次の「日輪の輪」の演劇化をこの舞台車で上演しながら旅をするという。やなぎの次々
とステージを変えながら自ら大衆社会へと飛び出して行く強い意識は「今の日本は、歴史
をつくらない『忘却』による乗り越え方がどこまで続くのか、非常に不安なんです」とい
う自身の言葉に鍵がある。

PARASOPHIAは重層的な歴史都市である京都の1933年創建の市立美術館全体をたぶん
始めて隅から隅まで会場としたことと、参加作家それぞれに事前に招いて、時と場を体験
した上での制作を求めたと思われ、参加作家にも京都、この美術館という意識を孕みこん
だ作品が多いと感じ、評価が分かれるところとなっています。
そのことに正面から挑んだ田中功起は2013年のヴェネチア・ビエンナーレで高い評価を
えた作家です。記録と記憶を巡る多様な問題の考察を続けているのですが、私は初見でした。
ただ「1946年〜52年占領期と1970年人間と物質」という難解なテーマを語り合うワークシ
ョップやリーディングを延々と見続けるのはなかなか難しい。それをアートとして提起するこ
とにおいては成功しているとはいえません。
まだ蔡國強まで届きません。
さて最終日にはやなぎみわの移動舞台ステージ「舞台車」は披露されるのだろうか。

PARASOPHIAは10日が最終日です。HPです。
http://www.parasophia.jp/
■■
アジール神戸学校  15日に話します。
私たちの世代が若い人たちに伝えておきたいこと、若い人たちが聴きたいことを語り合う
アジール神戸学校が始まり、最初の話し手として招かれ、5月から毎月、全6回を担当し
ます。
「若い」は年齢ではなく「素直な心を失っていない」ことだそうです。
第1回は「異端概論」です。異端であることは楽しく、美しいというお話。
その後のテーマは
「発言と改革」「物語概論」「人生は四階建ての家」「磁場とはなにか」「神戸ビエンナーレ」
 などを皆さんと語り合いたいと思います。
5月15日(金)19:30から21;00 場:ギャラリー4  会費 1500円 
兵庫県神戸市中央区海岸通9 チャータードビル 2F 078-392-2880
詳細はお問い合わせ下さい。
■■
ご招待情報
堀文子{一所不在・旅}展  兵庫県立美術館 6月7日まで  10名様
http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_1504/index.html
鳥の目から世界を見る ボーダレス・アートミュージアム  NO-MA 2名様
関西二紀展  6月16−21日  2名様
中西勝展  神戸ゆかりの美術館 7月12日まで  20名様
http://www.city.kobe.lg.jp/culture/culture/institution/yukarimuseum/tenrankai/ 神戸の歴史とアートに旅ー近代化の轍  BBプラザ美術館      5組
http://bbpmuseum.jp/
■■今日の言葉
日本は戦争責任と戦争犯罪を認めることで世界の理性と正気の声になれる。大変難しいこ
とだが、尊敬に値するし、日本国内で平和を求める声が強まれば素晴らしい。それこそが
真の「愛国」だと思う。歴史家 ジョン・ダウアー 
5月5日 神戸新聞
蝙蝠から
このダウアーさんをはじめとするアメリカの日本研究者は歴史研究者187人が
戦後70年の平和国家としての日本の歩みが世界での尊敬を集めてきたことを
讃えると同時に、それを踏み外さぬよう安倍首相に「大胆な行動」を呼びかける
声明を出しました。
「##################################
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豊にする芸術活動に助成しています。
http://www.kobushi-kikin.com/
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・みなと銀行 北野坂支店 普 1656831 公益財団法人神戸文化支援基金
・郵便振替口座:公益財団法人 神戸文化支援基金 00950-0-322393
他行から振込みの場合は店番 099 当座 0322393
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□■□2015年5月
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          PARASOPHIA(その2)

1 蝙蝠日記 魅せ方を心得ている 
2 アジール神戸学校  島田が話します
3 ご招待情報
4 今日の言葉   真の愛国とは
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蝙蝠日記  PARASOPHIAについて
全体に触れる余裕はないが、印象に残ったものとしては石橋義正を挙げよう。田中功起、
倉智敬子+高橋悟、残念ながら、そこにありながら見られなかった、やなぎみわについて
も語りたい。そしてなんといっても蔡國強(ツァイ・グオチャン)の「農民ダ・ヴィンチ」
会場全体がバコダ(六角の塔)となり無邪気ともみえ渾然一体となった「京都ダ・ヴィン
チ」。これが入り口にあり思わず長滞在を愉しんだ。アン・リスレゴーのSF的映像イン
スタレーション、京都芸術センターでのアーノウト・ミックの「異言」はマインドコント
ロールによる理解しがたい宗教的熱狂で心がうすら寒い。

さて石橋義正はともかく見せる、魅せ方を心得ている。美しい女性を今そこに実在してい
るかのように性的な面を濃厚に孕みながらリアルなオブジェ、映像、写真、が組み合わさ
り、部屋や廊下など場面が転換するごとに鮮明なメッセージを伝え見事である。ある種の
エンターテインメントを心得ながら表層に止まらないのはプロフェショナルな手腕だと
思う。
ただ、これは私だけのことかもしれないが、音楽が「いかにも」という感じがして残念で
した。音楽は、旋律、ハーミニー、リズムなどで、それ自身が完結した世界を伝え聴覚を
通じて感覚を支配する。石橋の巨大なスクリーンに投影された自然の映像においては無音
の雄弁の選択はなかったのか。
流される音楽にすこしに違和をもったのは美術館の地下室でのインスタレーションを行
なった高嶺格(たかみねただす)についても感じたのですが、高嶺はダムタイプのパフォ
ーマーとしてもその後の表現においても音が重要な表現であるから、音への違和はそのま
ま表現への違和となるのかもしれない。

石橋義正との最初の出会いは2003年のヴェネチア・ビエンナーレの
「ZONE OF URGENCY」(危機)でのKyupi Kyupi The Wide Show(Video)でした。
Kyupi Kyupiが何かは全く知らず日本のアーティストだというだけでカラフルで動きのあ
る映像に見入っていました。帰国して次男からKyupi Kyupiについて聞いた覚えがありま
す。
そういえば高嶺格もこのヴェネチア・ビエンナーレの参加作家でした。
簡単ですがそのことに触れた蝙蝠日記は下記でお読みいただけます。 
http://gallery-shimada.com/koumori/?p=112
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やなぎみわについては、何故か移動舞台ステージ「舞台車」は華麗な「ねぶた山車燈籠」
のような舞台は閉じられただのトレーラー状態で残念でした。
昨年の横浜トリエンナーレでは台湾の高雄港から黒潮にのって漂着したという「舞台車」
を見上げ、そこから生まれる物語を想像したのでした。
やなぎみわとの自覚的な出会いは2002年の兵庫県立美術館開館記念展「未来予想図: 私
の人生劇場.」でした。この展は、榎 忠, かなもりゆうこ, 児玉靖枝, しばたゆり, 内藤絹子, 黄 鋭, 堀尾貞治, 松井智惠, 森村泰昌, やなぎみわ というラインナップも先見 性を感じ、このキュレーションは素晴らしいです。そして、やなぎみわの「エレベーターガール」「マイ・グランドマザーズ」などと出会っていき、その造形能力の高さと、それ ぞれの作品で伝える女性の社会的問題への提起などの意識が高く、例えば今回であれば中
上健次の「日輪の輪」の演劇化をこの舞台車で上演しながら旅をするという。やなぎの次々
とステージを変えながら自ら大衆社会へと飛び出して行く強い意識は「今の日本は、歴史
をつくらない『忘却』による乗り越え方がどこまで続くのか、非常に不安なんです」とい
う自身の言葉に鍵がある。

PARASOPHIAは重層的な歴史都市である京都の1933年創建の市立美術館全体をたぶん
始めて隅から隅まで会場としたことと、参加作家それぞれに事前に招いて、時と場を体験
した上での制作を求めたと思われ、参加作家にも京都、この美術館という意識を孕みこん
だ作品が多いと感じ、評価が分かれるところとなっています。
そのことに正面から挑んだ田中功起は2013年のヴェネチア・ビエンナーレで高い評価を
えた作家です。記録と記憶を巡る多様な問題の考察を続けているのですが、私は初見でした。
ただ「1946年〜52年占領期と1970年人間と物質」という難解なテーマを語り合うワークシ
ョップやリーディングを延々と見続けるのはなかなか難しい。それをアートとして提起するこ
とにおいては成功しているとはいえません。
まだ蔡國強まで届きません。
さて最終日にはやなぎみわの移動舞台ステージ「舞台車」は披露されるのだろうか。

PARASOPHIAは10日が最終日です。HPです。
http://www.parasophia.jp/
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アジール神戸学校  15日に話します。
私たちの世代が若い人たちに伝えておきたいこと、若い人たちが聴きたいことを語り合う
アジール神戸学校が始まり、最初の話し手として招かれ、5月から毎月、全6回を担当し
ます。
「若い」は年齢ではなく「素直な心を失っていない」ことだそうです。
第1回は「異端概論」です。異端であることは楽しく、美しいというお話。
その後のテーマは
「発言と改革」「物語概論」「人生は四階建ての家」「磁場とはなにか」「神戸ビエンナーレ」
 などを皆さんと語り合いたいと思います。
5月15日(金)19:30から21;00 場:ギャラリー4  会費 1500円 
兵庫県神戸市中央区海岸通9 チャータードビル 2F 078-392-2880
詳細はお問い合わせ下さい。
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ご招待情報
堀文子{一所不在・旅}展  兵庫県立美術館 6月7日まで  10名様
http://www.artm.pref.hyogo.jp/exhibition/t_1504/index.html
鳥の目から世界を見る ボーダレス・アートミュージアム  NO-MA 2名様
関西二紀展  6月16−21日  2名様
中西勝展  神戸ゆかりの美術館 7月12日まで  20名様
http://www.city.kobe.lg.jp/culture/culture/institution/yukarimuseum/tenrankai/ 神戸の歴史とアートに旅ー近代化の轍  BBプラザ美術館      5組
http://bbpmuseum.jp/
■■今日の言葉
日本は戦争責任と戦争犯罪を認めることで世界の理性と正気の声になれる。大変難しいこ
とだが、尊敬に値するし、日本国内で平和を求める声が強まれば素晴らしい。それこそが
真の「愛国」だと思う。歴史家 ジョン・ダウアー 
5月5日 神戸新聞
蝙蝠から
このダウアーさんをはじめとするアメリカの日本研究者は歴史研究者187人が
戦後70年の平和国家としての日本の歩みが世界での尊敬を集めてきたことを
讃えると同時に、それを踏み外さぬよう安倍首相に「大胆な行動」を呼びかける
声明を出しました。
「##################################
公益財団法人「神戸文化支援基金」(こぶし基金)は兵庫・神戸の文化の土壌を
豊にする芸術活動に助成しています。
http://www.kobushi-kikin.com/
本基金へのご寄付は、公益財団法人への寄付として寄付控除の対象となります。
・みなと銀行 北野坂支店 普 1656831 公益財団法人神戸文化支援基金
・郵便振替口座:公益財団法人 神戸文化支援基金 00950-0-322393
他行から振込みの場合は店番 099 当座 0322393
■発行元 ギャラリー島田・アートサポートセンター神戸