□■□2015年2月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
Info―1069号
静けさを両手で受け止める
1 蝙蝠日記 ベオグラード日誌から
2 展覧会案内 藤崎孝敏の世界
矢原繁長個展 「直感」
3 今日の言葉
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蝙蝠日記 セルビア大使館(品川)にて
「ベオグラード日誌」は次のように始まります。
静けさを両手で受けとめることが、今までにないほど、大切なときが、やってきた。黒い
岩肌を伝う水の音、山鳥の囀り、森を吹き渡る風、栗鼠の呼吸、月の運行、胡桃のように
大粒な星の光、そして海、子供、男と女・・・。その言葉ひとつひとつに胸をひらくこと
が大切なときが、還ってきた。ますます精巧な武器や機械に人間が囲まれてしまった今、
という時代だからこそ。
はじめに から p12
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季村敏夫さんは山崎さんの導きで20年まえの自らの被災体験を語り、困難の中にまるご
とある日常のこととして深く深く刻まれた共感と敬意を、聞き取れぬほど抑制された
言葉で語ります。
異様な静けさ、夢、夢のさなか、蠟燭の火、微かな声、生きるものへの優しい眼差し、
そこから襟を正して学ぶ、と。
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ジチャ修道院にて(山崎さんの挿話から)
第2次世界大戦勃発。セルビアはナチス・ドイツの占領下におかれ、ニコライ総主教は地
位を剥奪されドイツの強制収容所ダッハウに送られる。
(修道院は爆撃される)
ジャチ修道院が傷を負うのは当然だ。この修道院は民とともに傷を負い続けてきた。民と
ともに受ける傷、民のために負う傷こそ僧院の栄華、民が苦しむときに無傷でいたら、民
を欺き自らの過去を裏切ったことになるだろう。
描かれた壁画、消し去られた壁画、これから描かれるはずの壁画・・・・。
目に見えぬもの、たとえば時の流れを、私は聖堂でみたのだった。
P184
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バルカン半島の交通の要所であるがゆえに様々な征服者、いくつもの戦争が繰り返されて
歴史の変転に翻弄されてきた。山崎さんはベオグラードで、宇宙飛行士ユーリー・ガガー
リンの名をとった通りに住み続けているのに、国の名前は何度も変わり、ユーゴースラビ
ア社会主義共和国連邦から、セルビア共和国となった。
この歴史的時間を背負った地でしか紡ぎだせない言葉がここにある。山崎さんは30年
間をここで暮らし、3人の子供を育てそして詩人となりベオグラード大学で日本文学を講
じ(教授)、日本とセルビアの架け橋となり、難民の支援に奔走する。
ここで取り上げられているセルビアの詩人たちの詩は難解なことばはなく平易なのに深
く美しい。それは、この場と時間を深く内に孕んだ地下水であるからに他ならない。水道
水に人工甘味料を加えたもの、自販機やスーパーで売っているものとは物が違うのだ。
■■■展覧会案内■■■■■■
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藤崎孝敏の世界展 3月4日まで
ギャラリー島田での未発表大作をはじめ1990年代のパリ、ピガール時代の優れた作品群
から2013年までの作品25点をご覧いただきます。
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矢原繁長個展 「直感」
素晴らしい作品世界を提示してくれました。
一貫して追求してきた回答がここにあります。
お運び下さい。
会場風景をご覧下さい
http://gallery-shimada.com/blog/?p=5308
■■今日の言葉
わかっている、人生なんか無いと
はっきり、わかっている
だが僕が書いたのは
まさに無きひとたちの
ため
ある瞬間
だれかが僕の詩を自分のことのように感じ
その絵を楽しみに
自分を見つけ
次の瞬間には僕を見つめるだろう
どこか雲のあいだから
悲しい眼をして
そして今、人は絵そのものになる
雲の絵、まなざしの絵、自分自身の絵になる
絵――ボイスラブ・カラノビッチ
「ベオグラード日誌」p193,194
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■発行元 ギャラリー島田・アートサポートセンター神戸