月別アーカイブ: 2015年2月

Gallery SHIMADA メールマガジン 1069 号

□■□2015年2月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
  Info―1069号
         
          静けさを両手で受け止める

1 蝙蝠日記   ベオグラード日誌から
2 展覧会案内  藤崎孝敏の世界       
         矢原繁長個展 「直感」   
3 今日の言葉 

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蝙蝠日記  セルビア大使館(品川)にて
「ベオグラード日誌」は次のように始まります。
静けさを両手で受けとめることが、今までにないほど、大切なときが、やってきた。黒い
岩肌を伝う水の音、山鳥の囀り、森を吹き渡る風、栗鼠の呼吸、月の運行、胡桃のように
大粒な星の光、そして海、子供、男と女・・・。その言葉ひとつひとつに胸をひらくこと
が大切なときが、還ってきた。ますます精巧な武器や機械に人間が囲まれてしまった今、
という時代だからこそ。
はじめに から p12

季村敏夫さんは山崎さんの導きで20年まえの自らの被災体験を語り、困難の中にまるご
とある日常のこととして深く深く刻まれた共感と敬意を、聞き取れぬほど抑制された
言葉で語ります。
異様な静けさ、夢、夢のさなか、蠟燭の火、微かな声、生きるものへの優しい眼差し、
そこから襟を正して学ぶ、と。

ジチャ修道院にて(山崎さんの挿話から)
第2次世界大戦勃発。セルビアはナチス・ドイツの占領下におかれ、ニコライ総主教は地
位を剥奪されドイツの強制収容所ダッハウに送られる。
(修道院は爆撃される)
ジャチ修道院が傷を負うのは当然だ。この修道院は民とともに傷を負い続けてきた。民と
ともに受ける傷、民のために負う傷こそ僧院の栄華、民が苦しむときに無傷でいたら、民
を欺き自らの過去を裏切ったことになるだろう。
 描かれた壁画、消し去られた壁画、これから描かれるはずの壁画・・・・。
目に見えぬもの、たとえば時の流れを、私は聖堂でみたのだった。
P184

バルカン半島の交通の要所であるがゆえに様々な征服者、いくつもの戦争が繰り返されて
歴史の変転に翻弄されてきた。山崎さんはベオグラードで、宇宙飛行士ユーリー・ガガー
リンの名をとった通りに住み続けているのに、国の名前は何度も変わり、ユーゴースラビ
ア社会主義共和国連邦から、セルビア共和国となった。
この歴史的時間を背負った地でしか紡ぎだせない言葉がここにある。山崎さんは30年
間をここで暮らし、3人の子供を育てそして詩人となりベオグラード大学で日本文学を講
じ(教授)、日本とセルビアの架け橋となり、難民の支援に奔走する。

ここで取り上げられているセルビアの詩人たちの詩は難解なことばはなく平易なのに深
く美しい。それは、この場と時間を深く内に孕んだ地下水であるからに他ならない。水道
水に人工甘味料を加えたもの、自販機やスーパーで売っているものとは物が違うのだ。

■■■展覧会案内■■■■■■

藤崎孝敏の世界展  3月4日まで
ギャラリー島田での未発表大作をはじめ1990年代のパリ、ピガール時代の優れた作品群
から2013年までの作品25点をご覧いただきます。

矢原繁長個展 「直感」
素晴らしい作品世界を提示してくれました。
一貫して追求してきた回答がここにあります。
お運び下さい。
会場風景をご覧下さい
http://gallery-shimada.com/blog/?p=5308
■■今日の言葉 
わかっている、人生なんか無いと
はっきり、わかっている

だが僕が書いたのは
まさに無きひとたちの
ため

ある瞬間
だれかが僕の詩を自分のことのように感じ
その絵を楽しみに
自分を見つけ

次の瞬間には僕を見つめるだろう
どこか雲のあいだから
悲しい眼をして

そして今、人は絵そのものになる

雲の絵、まなざしの絵、自分自身の絵になる

絵――ボイスラブ・カラノビッチ

「ベオグラード日誌」p193,194
「##################################
公益財団法人「神戸文化支援基金」(こぶし基金)は兵庫・神戸の文化の土壌を
豊にする芸術活動に助成しています。
http://www.kobushi-kikin.com/
本基金へのご寄付は、公益財団法人への寄付として寄付控除の対象となります。
・みなと銀行 北野坂支店 普 1656831 公益財団法人神戸文化支援基金
・郵便振替口座:公益財団法人 神戸文化支援基金 00950-0-322393
他行から振込みの場合は店番 099 当座 0322393
■発行元 ギャラリー島田・アートサポートセンター神戸

Gallery SHIMADA メールマガジン 1068号

□■□2015年2月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
  Info―1068号
         
          心に届く表現が誕生する場

1 蝙蝠日記   ベオグラード日誌
2 展覧会案内  藤崎孝敏の世界       今日から
         矢原繁長個展 「直感」   今日から
3 今日の言葉 
国や言葉を越えて、心を開き合える仲間にめぐり合うことは、なんという喜びだ
ろうか。

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蝙蝠日記  セルビア大使館(品川)にて
「ベオグラード日誌」で読売文学賞を受賞された山崎佳代子さんの受賞を祝うトークショ
ーが昨日、セルビア大使館(品川)で開かれ、行ってきました。
トークのお相手は季村敏夫さん。私は季村さんに教えられてこの本を5日前に取り寄せて
深い感銘を受けて読み終えたばかりで会場に着いた。
ベオグラードはバルカン半島の交通の要所であるがために戦略的拠点として、町
は古代より現代までの間に140回にわたって戦いの場となった。そこに若き日、
留学しセルビア人を夫とし、3人の母となり、詩人として、セルビアの詩と日本の詩を相互に翻訳し、ベオグラード大学教授として日本文学を講じ、難民の子ども 達の支援をする。

「ちいさな声」を繋ぐということに拘る季村敏夫さんと山崎さんは、短い立ち話ていどの
出会いから、お互いを瞬時に理解し、このトークに至った。
季村さんは、私に短く、この本のことを伝え、なにかに引き寄せられるように、私はこの
場へ坐っていた。
季村さんは、穏やかに言葉を選び、眼差しを遠くに、小さな声で、山崎さんに寄り添うよ
うに語った。そして互いに相手の詩を朗読した。

人と人との巡りあい、繋がりこそが、目に見えない小さな力、しかし、それだからこそ内
なる世界を少しずつ変える力になるのではないだろうか。この小さな力さえあれば、様々
な土地に刻まれた記憶の豊かさに触れ、命の重さの等しさを感じ取り、自然の力の深さを
確かめ合うことが出来る。生活というささやかな営みに潜む、無数の小さな力が結び合う
とき、なにかを変えることが出来る。  終りにー「小さな言葉」という小窓から
  P226-227

山崎さんの言葉も、セルビアの詩人たちの言葉も、かすかな声として平易であり、夢と現
の間のようでいて深い。このことを襟を正す思いで読み、聴いていました。
私たちを取り巻く言葉の浅さにほとんど絶望する思いがありますが、「ベオグラード日誌」
については次号でまた書いてみたいと思っています。
■■■展覧会案内■■■■■■
藤崎孝敏の世界展が今日から始まります。
藤崎孝敏という豊かな才能をもち、酔いどれ詩人や娼婦たち、貧しい農民や希望なき
人々への共感をパリ・ピガールのアトリエを構えて、ヒリヒリと魂を揺さぶるような
作品を愛して、私もパリへと何度も訪ねたものです。
ギャラリーゴトウ(銀座)での新作展も見てきました。(25日まで)
http://www.gallery-goto.com/
でも、やはりピガール時代の作品にこそ藤崎さんの作家としての魂の燃焼があると私は
思います。
会場風景をご覧下さい。
http://gallery-shimada.com/blog/?p=5326
藤崎さんのために私が作った公式HPです
その魅力はお伝えできるでしょう。
前出の季村敏夫さんによる評論もお読みいただけます。
http://cauvine.com/
しかし、事情があって現在は更新されていません。

矢原繁長個展 「直感」
2011年にギャラリー島田で初個展、振り返ってみれば、以降毎年の開催となる。鉛に
よって「時間」を造形し、東北の震災、原発を理念的に象徴した。その後の「封印」
シリーズでは、硬質な文体による初詩集「輪郭のない時刻」を鉛で封印してみせ、「境
界線」のシリーズでは、基地などと向き合ってきた。詩と造形で先端的に現代と向き
合おうとする姿勢は哲学思想の領域に浸透しつつある。
矢原繁長さんとは、展覧会にいたるまで、いつも何度も何度も議論しながら準備しま
す。といっても私は「部分」を知りだけで、そこから私のイメージを超えたものを
創造するのが作家です。展示に立ち会っていませんので、楽しみにしています。
会場風景をご覧下さい
http://gallery-shimada.com/blog/?p=5308
■■今日の言葉 
 多くの人々がニューヨークの9月11日やフクシマの3月11日を記憶する。だが記憶に
刻まれるべき日付は無数にある。コゾボ、イラン、イラクをはじめ、記憶されないだけで
はなく語ることさえ許されぬ悲劇の日々が、次々と世界史に書き込まれレいく。
 しかし国や言葉を越えて、心を開き合える仲間にめぐり合うことは、なんという喜びだ
ろうか。
終りにー「小さな言葉」という小窓から  P226-227      山崎佳代子
「##################################
公益財団法人「神戸文化支援基金」(こぶし基金)は兵庫・神戸の文化の土壌を
豊にする芸術活動に助成しています。
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本基金へのご寄付は、公益財団法人への寄付として寄付控除の対象となります。
・みなと銀行 北野坂支店 普 1656831 公益財団法人神戸文化支援基金
・郵便振替口座:公益財団法人 神戸文化支援基金 00950-0-322393
他行から振込みの場合は店番 099 当座 0322393
■発行元 ギャラリー島田・アートサポートセンター神戸

Gallery SHIMADA メールマガジン 1067 号

□■□2015年2月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
  Info―1067号
         
       しのびよる暗い時代の歌「シャンテ」の数奇な足取り
        海文堂書店から神戸ゆかりの美術館へ   

1 蝙蝠日記   今の時代だからこそ
2 展覧会案内  日々、変っていきます
3 加川広重さん 今日の「あなたへー往復書簡」(神戸新聞)
4 今日の言葉 絶望の中にあってどういう抵抗の方法があるのか(なかにし礼)

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蝙蝠日記  今の時代だからこそ見て欲しい、感じて欲しい
1920年代から30年代にかけて、パリを中心に活動を続け、帰国後は阪神地区の美術文化
の発展に尽くした洋画家、角野判治郎(1889―1966)の大作「シャンテ」が神戸ゆかり
の美術館で展示されている。
http://www.city.kobe.lg.jp/culture/culture/institution/yukarimuseum/tenrankai/index.html フランス語で「歌」を意味する「シャンテ」は1937(昭和12)年の文展に出品された。
縦1.3、横3.8m.ギターに合わせて歌う男たちの目や口は黒く塗りつぶされ、驢馬がヴァ
イオリンを弾く。フランス仕込みの明るく、しゃれた画風が特徴の角野さんの作品の中で
は、極めて異質。渡欧していたころ、ドイツではナチスが政権を握り、大恐慌や二・二六
事件などの時代背景を強く反映した異色の作品です。
▲文展出品後、「シャンテ」は自宅のある神戸・須磨のアトリエに眠っていたが、角野さ
んの没後、私は縁あって作品の整理に立会い、36点の作品を小磯記念美術館に寄贈、この
「シャンテ」は託されて発表から55年ぶりに海文堂に飾られた。
憶えておられるだろうか。飾られた2階への踊り場の右手壁は、この「シャンテ」のため
に用意されたようにぴったりだった。
・しかし2013年9月末で海文堂書店も閉じられ、元町から男手5人で担いで北野のギャ
ラリー島田まで運んで保管。粘り強くお願いをして「神戸ゆかりの美術館」への収蔵が
決まり安堵しました。発表から55年で海文堂へ、それから23年で神戸ゆかりの美術館で
安住の地を得ました。
その模様を下記で
http://gallery-shimada.com/blog/?p=5294

 神戸画壇の重鎮でありながら、生前、一度も個展を開かず、一枚の絵も売らなかった
角野さんの主要作品が小磯記念美術館に、そして記念碑的な大作が神戸ゆかりの美術館
に収蔵されたことによって、最良の居場所を得たことになります。
「シャンテ」から聴こえる歌は、いままた微かに聴こえてくる暗い時代の響きを伝えて
います。いづれ勇ましい戦への轟音のなかにかき消されぬように願いながら見つめて
きました。

神戸ゆかりの美術館 企画展 「アーカイブ/港町の情景 時代を語る絵画」にはたくさん
の私が展覧会を手がけた作家さんが並んでいます。
カタログ順に挙げれば
別車博資、坂本益夫、菅原洸人、徳永卓魔、川西裕三郎、西村功、中西勝、河本和子、
長尾和、成田一徹、トーマス・マックナイト。津高和一。

今回のもう一つの見どころは、1922年創業、90年の歴史を持つ 「アカデミー・バー」
の壁画をエピソードにした展示です。
私も何度か足を運んだ名物バーで、神戸の著名画家たちが壁に落書きをしています。
落書きの主たちの作品を集めて展示しているのも「神戸の残り香」に違いありません。
ブログの写真で黒地に白い形が浮かんでいるのが壁に残された作家たちの絵の位置、その
向こうに、その作家たちの作品が並んでいます。
「アカデミー」という懐かしいサロンと作家たちの交流。今、残しておかなければという
心意気、これぞARCHIVEですね。
http://gallery-shimada.com/blog/?p=5294
因みに成田一徹さんの「アカデミー・バー」の壁画を切り絵作品も展示されています。
是非、お運び下さい。
■■
ずっと続けている、美術作品の「居場所」を求めての寄贈・仲介プロジェクトも
299点となりました。
■■■展覧会案内■■■■■■
「物語を紡ぐ」ギャラリー島田コレクションから 2月7日(土)〜2月18日(水)
 会場風景をご覧下さい。
http://gallery-shimada.com/blog/
■■
今日の「あなたへー往復書簡」(神戸新聞)は加川広重さん。12日の菊本千永(洋舞家)さんへの返信です。菊本さんは藤田佳代舞踊団のメンバーで、昨年のKIITOで「届ける」 を踊られました。どちらもとてもいい文でした。
■■今日の言葉 
ぼくは絶望しているんですよ。こんな時代がね、生きている間にくるとは本当に思わなか
った。
絶望の中にあってどういう抵抗の方法があるのか。目下思案中。
一時でも長く戦争のない時間を延ばすことが最低限の知性であり、抵抗であろうと思うん
ですよ。正直にものを書くしかない。自分の書斎で書きためていく。それが死後発見され
るかもしれないけど、それでもいい。
なかにし礼(作家・作詞家)「人生の贈りもの」(朝日新聞 2月12日 夕刊)から
の抜書き

「##################################
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Gallery SHIMADA メールマガジン 1066号

□■□2015年2月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
  Info―1066号
         
            根雪が溶けるように 

1 蝙蝠日記   日々、崖っぷちに向かって
2 展覧会案内  ギャラリーコレクションによる「物語を紡ぐ」
         会場風景をご覧下さい
3 加川広重さん 今夜、報道ステーションに登場
4 今日の言葉 暗転はゆっくり、大規模に  (辺見庸)

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蝙蝠日記  轟音となる恐怖
容易に抜けない疲労感が、薄皮を剥ぐように、根雪が溶けるように、すこしづつ
和らいでいく気がします。
でも残務はまだまだ山のよう。すこし虚脱した事務局も溜息をつきながら、その
山を見上げ、崩しにかかっています。

その一方で、迷走がはじまっている世界が、この地球の生きとし生きるものがひりひり
と神経を逆撫でし、微かな異音が次第にクレッシェンドを奏で始め、轟音となる恐怖を
感じます。

日々のメディアが私たちの崖っぷちへの行進を伝えていることに慄(おのの)いています。
■■■展覧会案内■■■■■■
「物語を紡ぐ」ギャラリー島田コレクションから 2月7日(土)〜2月18日(水)
 会場風景をご覧下さい。
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■■
加川広重さんが今夜の報道ステーションに登場します。
22:30ころの登場のようです。
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■■今日の言葉 
日常というのは、急にこの日から崖っぷちですという変化の仕方はしない。暗転はゆっく
り、大規模にいくわけで、その過程は見ることができない。でも敏感に耳を立て、目を見
開き、五感を研ぎすませていれば感じることは出来ると思う。
転換期を語るー戦後70年の視点 辺見庸 2015年2月11日 神戸新聞
蝙蝠から
辺見庸の生きてきた軌跡は戦後70年ときっちり重なる。私は2年多く生きてきた。
この「崖っぷち感」は日々、重く迫ってくる。
辺見庸の詩文集「生首」(毎日新聞社)を書棚から取りだす。表紙は梅田恭子さんの作品。
梅田さんの受信装置は辺見さんと同じ五感だ。
梅田恭子『白道ノ下』−ドーローイングと銅版画は3月7日〜12日 ギャラリー島田
Deux(1階)で開催されます。

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Gallery SHIMADA メールマガジン 1065号

□■□2015年2月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
  Info―1065号
          物語を紡ぐ

1 蝙蝠日記  作品たちの居場所
2 展覧会案内  ギャラリーコレクションによる「物語を紡ぐ」
         会場風景をご覧下さい
3 今日の言葉 美以外に人間をペシミズムの泥沼から救ってくれるものはない

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蝙蝠日記  
今年、最初の展覧会が「津高和一 20年目の架空通信」
続いて「色が伝えること」、そして昨日から「物語を紡ぐ」。これが終わると
「藤崎孝敏の世界」が続きます。
すべてギャラリー島田のコレクションを様々な切り口でご覧いただくものです。

昨日こられたお客様が「島田さん、この作品は貴重だから売ったらあかん」と強く
言われ、コレクターの鏡のTさんは、「島田さんのコレクションなら美術館が喜んで
受け取ってくれるわ」と言ってくださいました。しかし、いい作品を手元に残して
島田コレクションを成し、誇りたいという気はありません。
作家、作品の居場所を探す。
随分と貴重な作品を美術館や公共施設に寄贈してきました。

今回、美術館へ寄贈が内定した高野卯港さんのデッサンを含めると寄贈・仲介の実績は
299点となり石川県立美術館と関西学院への鴨居玲の貴重な資料を含みます。
最適な時に最適な場所へ。

今回の展覧会でも、愛する作家、作品の居場所が決まっていって欲しいです。
何故、それらの作家や作品と出会い、愛おしいと思っているかをお話ししましょう。
■■■■展覧会案内■■■■■■
「物語を紡ぐ」ギャラリー島田コレクションから 2月7日(土)〜2月18日(水)
お待たせいたしました。
会場風景をご覧下さい。
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高野卯港・松村光秀・岩井博石・藤崎孝敏・大竹茂夫・福島清・横尾忠則・武内ヒロクニ
木下晋・忠田愛・西村宣造・中西勝・岡野耕三(遺作)などなど
初めての公開
石井一男さんの20号とSM
西村功さんの30号の優品2点 なども見どころです。
■■今日の言葉 
芸術というものは、生存の恐しさに脅え、意気沮喪した人間に救済として与えられる仮象
だと、私は考える。
生存に対する幻滅なしには、真の芸術への希求もない。
恐怖が救済を約束する。
美以外に人間をペシミズムの泥沼から救ってくれるものはない。
洲之内徹:凝視と放心(木下晋さんの話)より
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■発行元 ギャラリー島田・アートサポートセンター神戸

Gallery SHIMADA メールマガジン 1064号

□■□2015年2月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
  Info―1064号
           蝙蝠は寝とれ!

1 蝙蝠日記   お休み
2 明子日記   まきこまれてなんぼ
3 展覧会案内  ギャラリーコレクションによる「物語を紡ぐ」
         二つのギャラリーにユニークな作家たちが大集合
4 今日の言葉 「国民の質がその国の政治の質を決定する」

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蝙蝠日記
前回に続いておやすみです。
そのほうがいい!!
蝙蝠は寝とれ!
■■
明子日記
無事に会期を終えました。
なかなか思うようにことが運ばず、事務局の機能としては足りないことだらけでした。
なんとか取り繕ってオープンし、準備不足で慌ただしく出演者を迎え、
ご挨拶もできないままお別れし、また次の準備に走り・・・
こんな事務局に、みなさん優しい言葉をかけて下さり、助けて下さいました。

今回のスタッフは、誰一人違った人だったらまわせなかったと思います。
司会をお願いしたアナウンサーさんには、台本もない、呼び込み方も決まっていない状態
から打合せまでお任せしました。音響スタッフには設備の手配からステージの設置など大
道具さんの役までしてもらいました。機械系統が弱い事務局の代わりにプロジェクターの
設営をして頂いた神戸市役所の職員さん。映画監督が納得するまで何時間いえ何日にもわ
たってお付き合い頂きました。
お一人お一人紹介したいエピソードがたくさんあふれています。

このプロジェクトは「巻き込まれてなんぼ」と私は思っています。
外側から見るのと、関わっている人が内側からの視線はやはり違います。
ボランティアさんたちも日に日に変わっていかれる様子が見えました。
お一人お一人が「やらねばならない」という大きな何かに取りつかれていたのかもしれま
せん。

阪神淡路大震災20周年。
20年前、私は高校生でした。大阪に住んでいたので震度5の体験だけですみました。
はじめの揺れで父は末っ子である私を抱きかかえにきました。きっとどの家庭でも起こっ
た家の中の様子ですね。神戸の友人のお家でも同じことがおきました。
少しの場所の違いで友人のお父様は妹さんを抱えたまま亡くなったそうです。
ほんの少しの位置の違いで、我が家にも起こりえたことなのだと思います。
「私は亡くなった父の保険金で大学を出してもらったのだ」と前だけを向いてがむしゃら
に走り続けてきた友人ですが、20年たってようやくまわりも見えはじめたのか彼氏ができ
たと報告がありました。私もまわりの友人たちも彼女へは震災の話はしません。
もう忘れさせてあげたいです。泣いたりせずに普通に祝ってあげたい。『待ったかいあっ
てええ人捕まえたな!!』って。

忘れている日常、忘れさせてあげたい気持ち、忘れられない記憶、忘れさせてはいけない
現実。
自分の中でもまだまだ整理はできませんが、今回たくさんの「東北と神戸」と「東北と東
北」そして「次世代の神戸と神戸」ができました。
一緒にゆっくり考えていければと思います。

リアリティを持って次代へ伝えていけるのは私たちの世代が最後かもしれない。
そして、阪神淡路大震災後、世の建物を変え、街を変え、今の常識を作ってきたのは
20年前の私たち世代なのだと思います。
次は私たちがフクシマと向き合っていかなければいけません。
島田さんをはじめ、実行委員のみなさんが繋いで下さった「志縁」を大切にし、
仲間とともに東日本大震災のその後と向き合っていきたいと思います。

1年半ほど前、ソファでころんとしていた時にかかってきた1本の電話。
「中井さん、今お仕事してないよね!1月5日から17日まで空いてる?
手伝って欲しいプロジェクトがあるんだけど。」
あの時はまさかこんなことになるとは思いもしませんでした(笑)が、
「巻き込まれてよかった」と感謝しています。  
中井明子

中井さんは前回と今回の「加川広重巨大絵画プロジェクト」の事務局を取りまとめてくださり、
島田容子との最強コンビで多くの困難を乗り切って下さいました。

laborやworkではない「やるべきこと」と思える「仕事」に燃えたチームを誇りに思い、未来への
希望を感じました。
■■■■展覧会案内■■■■■■
「物語を紡ぐ」ギャラリー島田コレクションから 2月7日(土)〜2月18日(水)
昨日も終日、設営に追われていて、HPの更新や会場風景の撮影などが出来ていません。
「色が伝えるもの」−現代美術編は、来られる方は多くはなかったのですが、ゆっくりと
お話しが出来、お求めいただいた方はほとんどギャラリー関係だったのが意外でもあり、
うれしくもありました。

今回は作品も作家の生き方もミステリアスであったり壮絶であったり異端であったり
私との深い関りをもった作家の作品をご紹介します。
ギャラリー島田Deuxでは「異端美術舗―蝙蝠亭日乗」として「物語を紡ぐ」作家を
蝙蝠亭主との会話を愉しみながら(お値段交渉も)ごゆっくりお過ごしください。

高野卯港・松村光秀・岩井博石・藤崎孝敏・大竹茂夫・福島清・横尾忠則・武内ヒロクニ
木下晋・忠田愛・西村宣造・中西勝・岡野耕三(遺作)などなど
初めての公開
石井一男さんの20号
西村功さんの30号の優品2点 
■■今日の言葉 
「世の中に悪が栄えるのは、我々がノーという勇気を持たないためである」
「国民の質がその国の政治の質を決定する」
イギリスの作家、サミュエル・スマイルズ

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・みなと銀行 北野坂支店 普 1656831 公益財団法人神戸文化支援基金
・郵便振替口座:公益財団法人 神戸文化支援基金 00950-0-322393
他行から振込みの場合は店番 099 当座 0322393
■発行元 ギャラリー島田・アートサポートセンター神戸

Gallery SHIMADA メールマガジン 1063号

□■□2015年2月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
  Info―1063号
         大仕事を終えて

1 蝙蝠日記   お休み
2 容子日記   70年も生きるつもり
2 今日の言葉 理想主義の必要性と実際性への信念を失うことなく

登録、解除は下記から(新しくなっています)
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http://gallery-shimada.com/mailmagazine/

面白いと思われたらお勧めください
#################################
容子(やすこ)日記 
大仕事を終えて
あと70年も生きるつもりの私がすでに「一世一代の大仕事」と言ってしまった、
今回の加川プロジェクト。

阪神淡路大震災当時、私は中学生でした。神戸で、震源にわりと近い地域に住ん
でいましたが、被害は少なく、家は半壊程度。
電気も数時間後に復旧しましたので、テレビで長田地区の火事の様子を机の下に
もぐりながら見ていました。水の復旧は遅く、お風呂には何週間も入れ なかっ
たように記憶しています。

大学は、東京の大学に行きましたので、神戸出身者はめずらしく、「神戸出身=
地震」とみんなから言われました。震災経験者であるという何か役割の ような
ものを期待される(大袈裟ですが)ことにびっくりし、なんだかトラウマのよう
な異物感が発生したようにも思います。

卒業後、神戸に戻り、毎年1.17を迎えるごとに何も変わらない自分がいました。
3.11が起こり、被災地に出向くことはありませんでしたが、加川プロジェクトが
始まり、関わることになりました。
こうした震災を考える機会に参加することは、ある意味自分を癒しているのでは
ないか(それが良いとか悪いとかではなく)、
と何か本筋ではない感覚が一番大きく占めていた一昨年と昨年でした。

今回は、加川さんの向き合ったテーマが「フクシマ」であること、「フクシマ」
と対をなすように宮本佳明さんの「福島第一原発神社」を展示すること になっ
たこと。さらに、プロジェクトの芯を「建築」としたことで、「建築」自体の重
みもあいまって、
プロジェクト全体が深く重いテーマを抱えましたし、ベースが「建築」である私
にとっては個人的にも大きな意味をもちました。

また、一回目の2013年、二回目の2014年と、回をかさねるごとに規模が大きくな
り、関わる出展者・出演者やスタッフにいたるまで、発起人で ある島田誠とは
「はじめまして」の場合が多く発生し、関わるみなさんと共通認識を持つことの
重要性と難しさを、実働部隊として身をもって知ること になりました。

手に負えない規模であることを分かりながらも、どうすることもできず、でも、
どうしてもやり遂げなければいけない、と私を駆り立てたのは、
直接に関わらせていただいたみなさんの「真剣さ」に触れたこと。(それは普段
のギャラリーの仕事でもそうなのですが、状況がそれを濃縮かつ鋭利にし、受
けとめるのには相当の覚悟とエネルギーが必要でした)
また、もう30年目はないかもしれない、30年目にはリアリティをもって後世に伝
えられる世代が大減少してしまう、という危機感が増してきたこと。
そして、東北への思い、神戸の私達なら東北に寄り添えるかもしれない、という
思いが強くなったこと。
以上のことからだったように思います。

島田誠の「種蒔き」のこと、今回、ようやくほうぼうから芽が顏を出したような
気がしていて、その意味で、成功したのじゃないかな、とホッとしています。

また、大学時代に認識させられた「震災経験者であること」を、今ようやく咀嚼
できたようにも思います。
20周年の東遊園地には例年の3倍もの人が集ったそうですが、それだけ、やっと
咀嚼できた・向き合うことができた人が増えた証拠でもあるのかな、と思います。

laborやworkではない「やるべきこと」と思える「仕事」をさせていただける境
遇に、あらためて感謝しつつ、このプロジェクトで繋がったみなさんとともに、
今後も、震災のこと、日々のこと、日本のこと、真摯に向き合っていきたいと思い
ます。  

スタッフの島田容子の日記で、普段は毎月発行される画廊通信の小さなコラムです。
したがってメルマガの読者には届かないと思いますので、ここで紹介させていただきました。
今回、加川プロジェクトに多くの感想を寄せていただきました。
他のスタッフたちは、関ったことから学んだことを語り、来れれた方からは体験したことからの深い
感想をいただき、おおきな励ましをいただきました。いずれも素晴らしいものでした。
いずれ纏めて読んでいただけるようにしたいと思います。

laborやworkではない「やるべきこと」と思える「仕事」に燃えたチームを誇りに思い、未来への
希望を感じました。
■■今日の言葉 
(敗戦によって)うちひしがれた日本は、このような凄まじい状況のなかで再出発の離れ
業に立ち向かい、新憲法に具体化された「平和とデモクラシー」の理想に、社会のあらゆ
る層の人々が奮い立ったのでした。政治やイデオロギーの衝突は戦後日本にいつもありま
した。しかし、じつに多くの日本人が豊かで平和を愛する社会を懸命に創りあげた、その
草の根の回復力、規律、反戦の理想は、どれほど称賛してもしつくせるものではありませ
ん。
 この危うい時代に新年を迎えるのあたって、真摯で責任ある批判的学問の伝統が、平和
と正義という目標を見失うことなく、理想主義の必要性と実際性への信念を失うことなく、
世界中で栄えていきますようにと、心から願います。
ジョン・W・ダワー(歴史家)1月1日 朝日新聞からの抜粋
蝙蝠から
ダワーさんの文の前段から
第2次世界大戦での死者
民間人の被害者数:3800万〜5500万(飢饉病気による1300万〜2000万)。
軍人の被害者数:2200万〜2500万。捕虜としての死者数も含む。
日本
兵士  210万人
民間人 100万人

ベトナム戦争
軍人 146万人  
市民 667万人 (行方不明を含む)

イラク戦争
アメリカ軍  4500人
イラク人   10倍以上 及び その後の混乱

「##################################
公益財団法人「神戸文化支援基金」(こぶし基金)は兵庫・神戸の文化の土壌を
豊にする芸術活動に助成しています。
http://www.kobushi-kikin.com/
本基金へのご寄付は、公益財団法人への寄付として寄付控除の対象となります。
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大仕事を終えて
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今回の加川プロジェクト。

阪神淡路大震災当時、私は中学生でした。神戸で、震源にわりと近い地域に住ん
でいましたが、被害は少なく、家は半壊程度。
電気も数時間後に復旧しましたので、テレビで長田地区の火事の様子を机の下に
もぐりながら見ていました。水の復旧は遅く、お風呂には何週間も入れ なかっ
たように記憶しています。

大学は、東京の大学に行きましたので、神戸出身者はめずらしく、「神戸出身=
地震」とみんなから言われました。震災経験者であるという何か役割の ような
ものを期待される(大袈裟ですが)ことにびっくりし、なんだかトラウマのよう
な異物感が発生したようにも思います。

卒業後、神戸に戻り、毎年1.17を迎えるごとに何も変わらない自分がいました。
3.11が起こり、被災地に出向くことはありませんでしたが、加川プロジェクトが
始まり、関わることになりました。
こうした震災を考える機会に参加することは、ある意味自分を癒しているのでは
ないか(それが良いとか悪いとかではなく)、
と何か本筋ではない感覚が一番大きく占めていた一昨年と昨年でした。

今回は、加川さんの向き合ったテーマが「フクシマ」であること、「フクシマ」
と対をなすように宮本佳明さんの「福島第一原発神社」を展示すること になっ
たこと。さらに、プロジェクトの芯を「建築」としたことで、「建築」自体の重
みもあいまって、
プロジェクト全体が深く重いテーマを抱えましたし、ベースが「建築」である私
にとっては個人的にも大きな意味をもちました。

また、一回目の2013年、二回目の2014年と、回をかさねるごとに規模が大きくな
り、関わる出展者・出演者やスタッフにいたるまで、発起人で ある島田誠とは
「はじめまして」の場合が多く発生し、関わるみなさんと共通認識を持つことの
重要性と難しさを、実働部隊として身をもって知ること になりました。

手に負えない規模であることを分かりながらも、どうすることもできず、でも、
どうしてもやり遂げなければいけない、と私を駆り立てたのは、
直接に関わらせていただいたみなさんの「真剣さ」に触れたこと。(それは普段
のギャラリーの仕事でもそうなのですが、状況がそれを濃縮かつ鋭利にし、受
けとめるのには相当の覚悟とエネルギーが必要でした)
また、もう30年目はないかもしれない、30年目にはリアリティをもって後世に伝
えられる世代が大減少してしまう、という危機感が増してきたこと。
そして、東北への思い、神戸の私達なら東北に寄り添えるかもしれない、という
思いが強くなったこと。
以上のことからだったように思います。

島田誠の「種蒔き」のこと、今回、ようやくほうぼうから芽が顏を出したような
気がしていて、その意味で、成功したのじゃないかな、とホッとしています。

また、大学時代に認識させられた「震災経験者であること」を、今ようやく咀嚼
できたようにも思います。
20周年の東遊園地には例年の3倍もの人が集ったそうですが、それだけ、やっと
咀嚼できた・向き合うことができた人が増えた証拠でもあるのかな、と思います。

laborやworkではない「やるべきこと」と思える「仕事」をさせていただける境
遇に、あらためて感謝しつつ、このプロジェクトで繋がったみなさんとともに、
今後も、震災のこと、日々のこと、日本のこと、真摯に向き合っていきたいと思い
ます。  

スタッフの島田容子の日記で、普段は毎月発行される画廊通信の小さなコラムです。
したがってメルマガの読者には届かないと思いますので、ここで紹介させていただきました。
今回、加川プロジェクトに多くの感想を寄せていただきました。
他のスタッフたちは、関ったことから学んだことを語り、来れれた方からは体験したことからの深い
感想をいただき、おおきな励ましをいただきました。いずれも素晴らしいものでした。
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希望を感じました。
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業に立ち向かい、新憲法に具体化された「平和とデモクラシー」の理想に、社会のあらゆ
る層の人々が奮い立ったのでした。政治やイデオロギーの衝突は戦後日本にいつもありま
した。しかし、じつに多くの日本人が豊かで平和を愛する社会を懸命に創りあげた、その
草の根の回復力、規律、反戦の理想は、どれほど称賛してもしつくせるものではありませ
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 この危うい時代に新年を迎えるのあたって、真摯で責任ある批判的学問の伝統が、平和
と正義という目標を見失うことなく、理想主義の必要性と実際性への信念を失うことなく、
世界中で栄えていきますようにと、心から願います。
ジョン・W・ダワー(歴史家)1月1日 朝日新聞からの抜粋
蝙蝠から
ダワーさんの文の前段から
第2次世界大戦での死者
民間人の被害者数:3800万〜5500万(飢饉病気による1300万〜2000万)。
軍人の被害者数:2200万〜2500万。捕虜としての死者数も含む。
日本
兵士  210万人
民間人 100万人

ベトナム戦争
軍人 146万人  
市民 667万人 (行方不明を含む)

イラク戦争
アメリカ軍  4500人
イラク人   10倍以上 及び その後の混乱

「##################################
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豊にする芸術活動に助成しています。
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過去に目を閉ざす者は現在にも盲目になる

1 蝙蝠日記    戦後70年の付け
2 今日の言葉 非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、また
そうした危険に陥りやすいのだ

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蝙蝠日記   戦後70年の付け
ヴァイツゼッカー元ドイツ大統領が1月31日に亡くなった。
第2次世界大戦終了40周年の1985年5月、「荒野の40年」と題した議会演説で

 罪の有無、老幼いずれを問わず、われわれ全員が過去を引き受けねばなりません。全員
が過去からの帰結に関り合っており、過去に対する責任を負わされているのであります。
 心に刻みつづけることがなぜかくも重要であるかを理解するため、老幼たがいに助け合
わねばなりません。また助け合えるのであります。
 問題は過去を克服することではありません。さようなことができるわけはありません。
後になって過去を変えたり、起こらなかったことにするわけにはまいりません。しかし過
去に目を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となります。非人間的な行為を心に刻もう
としない者は、またそうした危険に陥りやすいのです。

と訴え、ナチス・ドイツによる犯罪を「ドイツ人全員が負う責任」だと強調。歴史を直視
するよう国民に促した言葉は、90年の東西ドイツ統一後もドイツの戦争責任を語る際の規
範となった。

ヴァイツゼッカーさんについては批判があることも承知していますが、それでもドイツが
戦後責任を逃げることなく向き合ってきて今を築き上げてきた精神はこの演説にも脈う
って、心を打ちます。

阪神大震災は、この演説から10年後。「50年目の戦場こうべ」と呼ばれました。
今年は戦後70年を迎えた。
ヴァイツゼッカーさんが亡くなった翌2月1日。
後藤健二さんが湯川遥菜さんに続いて「イスラム国」によって殺害された。

私たちは荒野を歩む覚悟もなく、「繁栄の60年」と「失われた10年」を生きてきました。
現首相のやたらに断定して見得をきる言葉は薄く、虚しく、かつ極めて危険です。
責任と向かい合うことなく、お任せしてきた付けをいま、私たちは引き受ける責任を
負っているのです。
私たちが誇るべき後藤健二さんをこのような形で失ったことは、遡れば私たちの責任へと
たどり着くことをヴァイツゼッカーさんは語っているのです。
■■今日の言葉 
過去に目を閉ざす者は結局、現在にも盲目となる(Wer aber vor der Vergangenheit die Augen verschliest, wird blind für die Gegenwart.)。非人間的な行為を心に刻もうとしない者は、また そうした危険に陥りやすいのだ…」。

「荒野の40年」と題された歴史的な演説は下記で読むことが出来ます。
http://www.asahi-net.or.jp/~EB6J-SZOK/areno.html

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