□■□2014年10月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
Info―1031号
自然と老いをめぐって
1 蝙蝠日記 ヘルマン・ヘッセと河合拓始
2 展覧会案内 河合美和展
TALA展
3 こぶし基金から ありがとうございました
4 今日の言葉 信頼に満ちた喜びの花がお前の心に花咲く
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蝙蝠日記 ヘルマン・ヘッセ
河合拓始(ピアニスト・作曲家)さんが「ヘッセに寄せて 自然と老いをめぐって」と題
した渾身のコンサートを開催されます。
◆
ヘルマン・ヘッセと言えば、20代に読みふけった記憶があります。多感に生きを探り求め
る頃に出会った人は多いとおもいますが、内容についての記憶は朧(おぼろ)です。
「車輪の下」「春の嵐」は書棚の片隅で紙やけした文庫本でありましたが読んだはずの「デ
ミアン」などは見当たりません。文庫の奥付がどちらも昭和47年です。
いつも一人の主人公を軸として、いかにして自分自身を発見できるか、自分の生き方とは
なにかを問い続けた魂の記録こそが青春の彷徨であり、それがまた老いへの考察とつなが
っていったのですね。
◆
12月2日(木)神戸元町凮月堂ホールでのコンサートは、ヘルマン・ヘッセの詩文の朗
読を縦糸に、6人の音楽家の作品を春夏秋冬になぞらえた4グループに再構成して、コン
サート全体でひとつの循環的な時間と世界観を表現する、河合拓始渾身のプログラムです。
「ヘッセによせて〜自然と老いをめぐって〜」
コンサートのチラシは下記で
http://kobe-shibai.blogspot.jp/2014/10/blog-post_13.html
◆
河合拓始さんはギャラリー島田のサロンで即興ソロ演奏ライブをしていただきましたが
ヘッセが後半生をスイスの田舎に暮らしながら「人は成熟するにつれて若くなる」といっ
て自然と老いをめぐる思索を深めたように、河合さんも2012年に東京から福岡県糸島市
に引越すと言う人生の大きな転換をされました。玄界灘に突出した糸島半島は朝鮮半島
と一衣帯水の位置にあり、原始・古代の昔から、玄界灘を介した異国間交流が行われ
稲作文化や政治など、様々な先進文化受容の地として発展した場だそうで、『魏志倭人
伝』に記された「伊都国」の地としても知られています。
ヘッセに倣(なら)って糸島へ住まいを移されたことと、このコンサートの在り方は深く
繋がっているようです。
◆
単なる、難解な現代音楽のコンサートという枠を超えて河合拓始の世界観を披瀝する場に
立ち会うような稀な体験だと思います。
ご予約・お問い合わせ:090-1914−4907 神戸芝居カーニバル実行委員会(中島)まで。
またギャラリー島田でもご優待チケットを販売しています。
前売 3000円を2700円で。
■■
展覧会案内
◆河合美和展 11/1(土) 〜 11/12(水)
雄大な自然を心象的に取り入れながら自己の内面表現へ向かって厳しく律していた抽象
の時代、そして内に分け入るように脱力し感性を解きほぐしてきたこのごろ。描かれたも
のは「森」に違いないが、樹々は陰陽を孕み、風は葉を揺らし音楽を奏で、花も水も光彩
に耀き、そしてそれらを豊かに抱いている自身の命をも慈しんでいる。
作家の言葉は下記で
http://gallery-shimada.com/?p=2350
会場風景 スタッフコメントは下記で
http://gallery-shimada.com/blog/
◆TALA展 11/1(土) 〜 11/6(木)
自身の心の何を選択し、どこに向かいたいのかということを日々考えながら、まっすぐ創
作にあたりたいと思っています。自身を受け入れ、自分の心に付着し溜まっていったいろ
いろな感情や記憶、想いそして大切に記憶しているその時々の感覚や感触を使って素直に
制作すること。そうやって現れた作品たちが、今度は厳しく僕に問いかけ、時には同調し
てくれ、新たに次の作品へと向かわせてくれるのです。
僕はこんなちょっとした幸せが大好きです、という作品がたくさんできました。 TALA
http://gallery-shimada.com/?p=2346
会場風景 スタッフコメントは下記で
http://gallery-shimada.com/blog/?p=5102
■■「こぶし基金」から
前号でご紹介させていただいた「2014ありがとう展」が終了し、その足で
募金箱を届けて下さいました。ご本人は領収書も不要ということで、お名前を出される
ことも望んでおられないと思いますが、寄付のありかたの、うれしい例として報告させて
いただきます。¥1,039,000をいただきました。
■■■■今日の言葉
「秋の雨」
おお雨よ、秋の雨よ、
灰色のベールにかすむ山々、
元気なく垂れた葉をつけた樹木よ、
くもった窓越しに病みつかれた年が
別れがたくのぞき込む。
こごえながら、水のしたたるコートを着て
おまえは外へ出て行く、森のほとりの
色あせた葉のあいだから
酔ったヒキガエルと山椒魚がよたよた這い出す
そして坂道を
果てしなく水が音を立てて流れ
イチジクの木のそばの草のなかに
辛抱強い池となってたまる
そして谷間の教会の塔からは
埋葬される一人の村人のために
ためらいがちにもの憂く
鐘の響きがしたたり落ちる
だがお前、愛する者よ、
葬られる隣人を悲しむのはやめよ、
夏の幸せや
青春の喜びをもう懐かしむな!
すべては誠実な記憶のなかに持続し
言葉に、絵に、歌になって保存される
永劫回帰の祝祭のための心構えをして
新しくなった高貴な衣装をつけて
保存することを助け、変化を助けるのだ
そうすれば信頼に満ちた喜びの花が
お前の心に花咲く。 ヘルマン・ヘッセ
蝙蝠から
朝晩は、肌寒くなりました。今朝は、今にも降りだしそうな秋の空が
拡がっています。「秋の雨」はコンサートで河合さんが朗読する一篇です。
ひたすら、うすっぺらく、のっぺらぼうになるばかりの昨今の日本。
ヘッセの深く沈積するような世界を懐かしく思い出すとともに、今、ヘッセを
知らない世代の皆さんも河合拓始に導かれるようにひと時、かけがえのない時空を
旅しませんか。
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公益財団法人「神戸文化支援基金」(こぶし基金)は兵庫・神戸の文化の土壌を
豊にする芸術活動に助成しています。
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