□■□2014年8月
Gallery SHIMADA & Art Support Center KOBE
Info―1006号
「わたしらは侮辱の中に生きている」
1 蝙蝠日記 「わたしらは侮辱の中に生きている」
2 東北へ行ってきます。
3 Kobe Art Award. 贈呈式のご報告
3 メルマガ1000号記念 感想文特集 その四
4 今日の言葉 あなたがすることはほとんどは無意味であるが
それでもしなくてはならない。
面白いと思われたらお勧めください
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■■蝙蝠日記 「わたしらは侮辱の中に生きている」
戦後日本の核心「永続敗戦論」(白井聡)は、この言葉ではじまる。中野重治の言葉を
大江健三郎が「さよらな原発10万人集会」(2012年7月16日)で引いた。
福島の事故以来引き続いて生じてきた、次々と明るみに出てきた様々なことがらはこの日
本列島に住むほとんどの人々に対する「侮辱」と呼ぶ他はない。(P6)
敗戦の責任を自ら厳しく問うことなく、戦前の権力構造が相当程度温存されてきて限りない「無責任の深淵」が拡がるばかりです。(P115) 戦後、だけでなく「3.11後」についても同じことがまたしても。です。
誰も責任を取らず、究明や根本的な対策もなきままに空疎な希望的観測によって、再稼動
のみならず、輸出すら敢行されようとしています。
◇
この国の知的荒廃は、この権力構造が唯一真剣に取り組んでいたのは、私たちを騙すことだけであり、私たちも、進んで騙されてきたのです。 気がついていても見て見ぬふりをする。
その限界点をもう超えてしまっているかもしれません。
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Kobe Art Award.の贈呈式の模様をご覧下さい
http://gallery-shimada.com/blog/
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東北へ行ってきます。
「加川広重巨大絵画プロジェクト2015―フクシマ」の準備のために実行委員会のみなさん5名で16日〜19日の四日間、福島、相馬、仙台、蔵王、石巻、いわき市を巡ってきます。 「加川広重巨大絵画プロジェクト2015」は来年、阪神淡路大震災から20年を合わせて
1月10日〜18日にデザイン・クリエイティブセンター神戸(KIITO)で三度目の開催と
なります。
■■■■感想文特集 その四
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古田佳美さまからいただきました
ギャラリーの類は身近かなようで、実は敷居が高い。
そんな印象を持っているのは、私だけなんだろうか。
美術館とギャラリーの違いってなんだろうと考えた。
まずは規模が違う。宣伝の仕方も違う。
チケットを買わないといけない。それくらい「目的」となるのが美術館だ。
そのぶん、街に点在するギャラリーは身近か。
ついでにひょろりと覗く気楽さがある。
…はずなんだけれど
それは芸術に近い生活をしている人の話であって
日々雑多なことに追い回されて、芸術自体に縁遠い者には
却って美術館のほうが身近かかもしれない。
街でふと目にする美術館情報を見て訪れる計画をたてる。
回数は少なくとも、美術館に訪れるのは「晴れの日」なのだ。
そんな「晴れの日」は迎えたことがあっても
街にあるギャラリーを覗いたことのある人は、周りを見渡しても本当に少ないと言える。
ましてや馴染みのギャラリーのある人は、更に少ない。
情報がない以上、ギャラリーが街に物理的にいくつあっても
それは精神的に身近かであるとは言えないのかもしれない。
歩いていて時々目にするギャラリーも
外からチラリと眺めるだけで、飛び込みで入ることはほぼ皆無と言っていい。
外からでも見えるようにガラス戸にしてくれていても、その扉を押すことが意外にも大変
なのだ。
事実、私自身もギャラリー島田さんに出会うまでは
案内を戴かない限り、自分から見知らぬギャラリーを訪れたことはなかった。
京都と大阪の境目、山崎に住むそんな私が
神戸のギャラリー島田さんの存在を知ったのは、他でもない石井一男さんの作品だった。
どこで目にしたのか、記憶が定かでないけれど
石井一男さんの作品に触れたとき、心の奥から静かに揺さぶられるものを感じた。
それは円空の作品に出会った時に似た感覚に近かったようにも思う。
その石井一男さんの作品展をやっていたのがギャラリー島田さんだった。
神戸は学生時代からよく訪れている場所だったけれど
京都からわざわざ絵を見にいくほど、私は芸術に近い生活をしているわけではない。
それなのに訪れてみたい気持ちになって車を飛ばした。
それがギャラリー島田さんに行った最初だ。
遠方にいると、残念ながらギャラリー島田さんの情報を目にすることはできない。
ということでメルマガの登録をした。
もちろん石井一男さんの展示を見逃さないようにと。
そして何度か訪れた。
会場でご本人をお見かけしたときは、絵と同じようにただ眺めてしまった。
この絵を描いておられるのはこういう人なんだって、作品と同じくらいインパクトがあっ
た。
裏切りがなかったことが、更に絵に興味を抱かせた。絵に膨らみができた。
そして、こういう出会いが出来るのもギャラリーの良さだと知った。
石井さんと島田さんとの出会いを知ってからは、島田さん自身、島田さんの眼力にも興味
をもった。
ぼんやり遠巻きにして通り過ぎていた「ギャラリー」に、初めてやっておられる方の顔を
見た思い。
そこに血が流れた。
ギャラリーに「意思」があることを知った。
石井さんの絵と同時にやっておられた展覧会で、須飼秀和さんの絵に出会ったことも大き
い。
須飼秀和さん自身にもお会いでき、お話もできた。
趣向の違うお二人の展覧会を同時期に開催されていることが、とてもいいと感じた。
絵は全く違うのに、なにか馴染む。違和感がない。
石井さんの作品でじっくり心の中と向き合って、須飼さんの作品でふんわりと解放する。
お二人の作品に同時に出会えることで、更にそれぞれの良さが増すようだった。
この組み合わせを企画されたこと、それこそが島田さんのセンスであり
お二人のファンになった私は、すっかり島田さんにやられたなとニヤリとしてしまう。
重ねて…私だけの印象かもしれないけれど
日々の生活の中で、ギャラリーと名の付くものは敷居が高い。
街を歩いていて、知らないギャラリーはやはり遠巻きに外からチラリと眺めるだけだ。
そんな中で、日々送られてくるギャラリー島田さんのメルマガは
生活の中にちょっと「寄り道」してみませんかという声が聞こえてくるようで
外から眺めていたものに、一歩踏み込んでみようかなと思わせてくれる。
奇しくも先日友人たちと訪れた際に、1階の入り口で立ち止まっていたら
どこからか島田さんご本人が現れて
「どうぞお入りください」とにこやかに声を掛けてくださった。
まさにメルマガそのものと言える瞬間だったかもしれない。
そんな一声がメルマガからも聞こえてくる。
島田さんの日々のアンテナの鋭さと、そこから来る寄り道情報に
ときどき乗ってみようかと思いながら、今日もメルマガを拝見している。
私にとっての寄り道情報は、絵だけではない。
はっきりとした意思を感じる「今日の言葉」を読むのも楽しみだ。
あのメルマガは島田さんにしか流せない、血の通った情報だと思う。
馴染みのギャラリーがあること、それは私にとってちょっと自慢したくなる心の宝である
と同時に、
そこから来るメルマガは、生活の中の「うるおい寄り道情報」でもあって
その向こうは見知らぬ世界に通じている。
現実のギャラリーではなかなか手ごわいガラス戸が、メルマガによって開かれるように感
じている。
始めるのは容易いけれど、続けるのは大変な作業。
これからも粛々と続けて扉を開けてくださいますよう、1000号の発行を心からお祝いしま
す。
■
芦田淑子さまからいただきました
メールマガジン1000号おめでとうございます
ギャラリー島田のメールマガジンは ほんまもんのアート作品や
アーティストに 導いてくれるだけでなく
ぼんやりとして見逃してしまう 現状や歴史のことに
気付かせてくれる 貴重なマガジンと思います
その姿勢は エラソウではなく、胡散臭くもなく、権力にだまされる
こともなく 浮ついたところもないので とても信頼しています
おくっていただき 読ませていただくのを楽しみにしています
こんな生き方をしてる方がいる という方々(故人も含む)の
紹介を読むと 嬉しい気持ちでいっぱいになります
お元気で たくさん発行してください! お願いいたします
■■今日の言葉
あなたがすることはほとんどは無意味であるが、それでもしなくてはならない。
そうしたことをするのは、世界を変えるためではなく、世界によって自分が変えられない
ようにするためである」(ガンジー)P201
「侮辱の中に生きる」ことに順応することは、「世界によって自分が変えられる」ことに
ほかならない。私はそのような「変革」を断固として拒絶する。私が本書を読む人々に
なにかを求めることが許されるとすれば、それは、このような「拒絶」を共にすることへ
の誘いを投げ掛けることであるに違いない。(P202)
戦後日本の核心「永続敗戦論」(白井聡)の最後の言葉から
蝙蝠から
昨日、読了しました。
1000号をちょうど超えたときに、このガンジーの言葉に出会い、心に刻みました。
中島淳さんから「誰に向かって書いているのか」と問われましたが、中島さんの
推測とおり、その答えはガンジーの教えのとおりです。
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公益財団法人「神戸文化支援基金」(こぶし基金)は兵庫・神戸の文化の土壌を
豊にする芸術活動に助成しています。
http://www.kobushi-kikin.com/
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・みなと銀行 北野坂支店 普 1656831 公益財団法人神戸文化支援基金
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■発行元 ギャラリー島田・アートサポートセンター神戸
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発行責任者 島田誠
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