2020年4月から画廊通信で、世界を震撼させている「コロナ禍」の現在を特集してきました。私達がギャラリーや財団、サロンなどで繋がっている皆さんが、世界中でこの未曾有の時をどのように過ごし、どのように考えているのかを伝えていただくものです。
今号までで28回。まだ続き、最終的に冊子として纏める予定です。
お願いした皆さんと、その内容、地域は下記のようになります。

1 森孝一     (公財)神戸文化支援基金
2 藤野一夫    神戸大学      ドイツ
3 きたむらさとし   絵本作家      英国
4 武谷なおみ   イタリア文学​ イタリア
5 松谷武判    美術家       フランス
6 服部孝司    (公財)神戸市民文化振興財団
7 ひがのぼる   子ども国際交流
8 松田素子    編集者    宮沢賢治
9 山崎佳代子   詩人     セルビア
10 後藤正治    ノンフィクション作家
11 松塚イェンセン哲子 美術家  デンマーク
12 名倉誠人    マリンバ奏者 アメリカ
13 弓張美季       ピアニスト   オーストリア、ドイツ
14 辰巳リリアナ             ブルガリア
15 長谷川さおり   美術家    ドイツ
16 塩見正道    映画     堀田善衞
17 石橋毅史    文筆業    香港、台湾、韓国
18 森井宏青    美術家    フィンランド
19 フランティシェック・ノボトニー ヴァイオリニスト チェコ
20 マウロ・イウラート ヴァイオリニスト  ヨーロッパ
21 セキヤマキ   ピアニスト    英国
22 島田剛     国際協力   アフリカ
23 山田晃稔    美術家    フランス・ペルシュ地方
24 片山ふえ    著述家    ロシア
25 松谷武判    美術家    フランス
26 中川真     国際協力   ミャンマー
27 伊良子序      ジャーナリスト   イタリア
28 斉藤祝子    美術家    カナダ

最終的には30名になると思います。

今号で斉藤祝子さんが世界最長となったカナダ・トロントのロックダウンについて書いてくださっています。
法哲学者の井上達夫さんは、欧米のロックダウンに比して、危機の実相を直視していないと、日本の状況について述べています。同調圧力による社会的制裁でいいのか、と。

鞆の浦のこと
万葉歌人、大伴旅人が妻をしのんだ歌が残る広島県福山市 鞆の浦(とものうら)で、県道建設に伴う港湾の埋め立てを広島地裁が差し止めたのは2009年のこと。判決は鞆の浦の景観を「文化的・歴史的価値をもつ国民的財産」としました。
その鞆の浦を描いた高野卯港さんの「鞆の浦風景」が森栗茂一さん(大阪大学名誉教授)の努力で「鞆の浦歴史民俗資料館」に収蔵されたのは素晴らしいことでした。
これは、卯港さんの亡くなった翌年2009年にギャラリー島田で開催した「高野卯港追悼展」でも展示していた作品です。
卯港さんは奥さんの京子さんと鞆の浦を訪れ、その風景を描きはじめました。
「鞆の浦風景」が完成したのは卯港さんが亡くなる1か月前でした。

あぶり出しのように…
2年前に転倒し、一時気を失って救急車で搬送された。その後、記憶に問題が起こり、再検査。
文字が書けない、図形が描けない…。
この年齢に達して、この日々はとても辛い。説明しても分かってもらえない。
脳の老化は仕方がない、これからは「老い」を生きてくださいと医師が伝えた。
孫の迪ちゃんとひらがな練習を一緒にしたり、そんな日々がしばらく続いた。
去年の誕生日には『声の記憶 「蝙蝠日記」2000-2020 クロニクル』を出版した。私のその状態を案じた「風来舎」の伊原さんが纏めてくれた。
私のその時の状態は「読む」「選ぶ」が出来なくて、すべてお任せでした。
ギャラリーの仕事も財団の細部にわたる仕事も、ほぼ任せるようにしてきた。
大体のことは委譲しながら、自分の残りの日々を数えている。
それがこのごろは摩訶不思議なことに、記憶や文字が日々の営みのなかで「あぶり出し」のように蘇ってきた感じがあります。不思議です。何の欲もない日々だからでしょうか。
私は、人とのやり取りはメールや電話ではなく、ハガキか手紙なのです。それが10日ほど前から、まあ整った字でほぼ間違いもなくかなり長い文章が書けて、自分でびっくりしています。